BボーイShigekix（半井重幸）4位「このムーブメントはより大きくなっていく」パリ2024 ブレイキン
パリ2024で新種目として初めて実施されたブレイキンの女子種目・BガールでAmi（湯浅亜実）がオリンピック初代女王に輝いてから一夜が明けた8月10日（土）、コンコルド広場で男子種目・Bボーイの予選～決勝までが行われた。
2018年のユースオリンピックで銅メダルを獲得したBボーイShigekix（半井重幸＝なからい・しげゆき）を含め、8人のトップブレーカーが決勝ラウンドに進出する中、オリンピックの初代王者の座を掴んだのは、カナダ代表のBボーイPhil Wizard。銀メダルがDanny Dann（フランス）、銅メダルがVictor（アメリカ合衆国）、3位決定戦で敗れたShigekixは4位となった。
パリ2024の決勝ラウンドでは、ブレイカーは1度のダンスバトルで対戦相手と交互に3回のダンスを披露し、ジャッジ（審査員）が各ダンスを5つの基準に則って評価・投票し、多数決でその勝敗を決める。
準々決勝に進出した22歳のShigekixは、2019年世界王者の35歳、Menno（オランダ）と対戦。ダイナミックさの中にもテクニカルな技をふんだんに織り交ぜたパフォーマンスを披露したShigekixに対し、Mennoは独創的なムーブを独自のアプローチで組み合わせたダンスで魅せたが、3対0（9-0、6-3、7-2）でShigekixが白星を勝ち取った。
準決勝では、ヨーロピアンゲームズ覇者のDanny Dann（フランス）が世界チャンピオンVictor（アメリカ合衆国）と対戦し、2対1（6-3、6-3、3-6）でDanny Dannが決勝進出を決め、会場を沸かせた。続いて、もう一方の準決勝にShigekixが登場し、2023年パンアメリカン競技大会を制したPhil Wizardと対戦。ブレイキンシーンのクラシックな1曲として知られる、ア・トライブ・コールド・クエストの「Scenario（シナリオ）」が流れると、会場が全体が音楽に乗って盛り上がった。そこでShigekixが力強いビートに合わせてテクニカルでエネルギッシュなフローを高い完遂度で決めると、Phil Wizardはオリジナリティとボキャブラリーの多さを評価され、0対3（4-5、3-6、3-6）でPhil Wizardが決勝に駒を進めた。
3位決定戦にまわったShigekixは、予選ラウンドの初戦で対戦し1対1だったVictorと、銅メダルをかけた2度目の対戦を行った。高い音楽とのシンクロ率、それぞれのスタイルが光る斬新なムーブからシグネチャームーブまで、すべてが詰め込まれたダンスの応戦となった戦いは、0対3（0-9、4-5、3-6）でVictorが勝利し銅メダルを獲得、Shigekixは4位となった。
決勝は開催国フランスのDanny Dann対カナダ代表のPhil Wizardの決戦となった。Danny Dannは彼のキャラクターを活かしたユニークでアクロバティックな動きを連発して地元ファンを味方につけると、Phil Wizardは独創的なフットワークと豊富なボキャブラリーで魅せ、会場を盛り上げ、決勝戦にふさわしいハイレベルなダンスバトルが繰り広げられた。結果は0対3（4-5、0-9、0-9）でPhil Wizardが初代オリンピックチャンピオンに輝き、Danny Dannが銀メダルを獲得した。
決勝ラウンドでパフォーマンスするBボーイShigekix（半井重幸）パリ2024 ブレイキン
「踊っていて気持ちよかったなっていうのがステージ上から感じた一番の感覚ですね」。コンコルド広場に集まった世界のブレイキンファンを沸かしたShigekixは、試合後にこう振り返った。
「トーナメントに関しては自分が準備してきたものを出せた瞬間もたくさんありましたし、確実にこのパリオリンピックを出場している自分としていない自分では大きな成長の差があったかなって、そういう風に思えるぐらい今日は良い経験が出来ました」と語ると、パリの舞台だけでなく、「今日を迎えるための経験がすごく自分の糧になっている」と感慨深く口にした。
「今日という日を経て、よりこの（ブレイキンの）ムーブメントは大きくなっていくと思います」と、このオリンピックデビューが普及や人気向上に大きく貢献したことに喜びを表すと、今後さらに発展するブレイキンシーンでより一層活躍できるように、「自分が良かったところはちゃんと見つめなおして、悔しい部分は先に繋げたいと思います」と前を向いた。