ブレイキン・Shigekix「これまでで一番いい自分の姿を見せたい」パリ2024で次のステージへ
パリ2024でオリンピック新種目として採用される、ブレイキンの初代オリンピックメダリストが、いよいよ8月9日(Bガール)と10日(Bボーイ)にコンコルド広場で決定する。
世界ランキング上位に名を連ねる強豪国・日本のブレイカーを代表するShigekix(半井重幸=なからい・しげゆき)に、思い入れのあるパリという地で迎える初めてのオリンピックへの想い、自身の挑戦についてOlympics.comインタビューで聞いた。
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4歳年上の姉・BガールAyane(半井彩弥=なからい・あやね)の影響で7歳からブレイキンを始めたShigekixは、現在も同じチームで共に練習に励み、お互いを高め合いながら技を磨く、姉弟ブレイカーだ。
弟の重幸は、日本の人気グミ菓子の名前と本名を由来にしたのダンサー名『Shigekix』で活躍し、11歳から国際大会に挑戦を始め、数多くのタイトルを獲得。中学卒業後、14歳からプロブレイカ―としてキャリアを積み、16歳で出場したユースオリンピック(2018/ブエノスアイレス)で銅メダルを獲得。2019年にパリ2024での新種目採用が決定し、ブレイキンが大きな話題を集めた後、2020年の世界最高峰のブレイキン国際大会を最年少で制するなどして世界中から注目を浴びる存在となった。全日本選手権3連覇、BfGワールドシリーズ、チャレンジシリーズ優勝など国内外で活躍の場を広げブレイキンシーンを10年に渡り牽引し、盛り上げてきた立役者が、いよいよオリンピックの舞台に立つ。
「今はとにかくワクワクしてる気持ちが一番ですね」
世界選手権では頂点に近づきながらも届かずにいたShigekixは、出場枠がかかった重要なアジア競技大会で見事表彰台の頂点に上り詰め、日本勢内定第1号としてパリへの切符を掴んだ。
すでに選考大会から半年以上が経ち、緊張感やプレッシャーといったものは一度通り越して、楽しみな気持ちが勝っていると語りながらも、「緊張感はムードとしてあるので、もう一回(緊張感やプレッシャーを)迎えるのは理解した上で、本番の瞬間に向けて今は備えてます」と笑顔をこぼした。「自分が目標としているところは、必ずと言ってもいいほどプレッシャーを伴うところだと思うので、それを受けて立てるぐらいのマインドで当日いないと、自分が求めている自分の姿まではたどり着けないと思うので。そういったプレッシャーは絶対必要だなっていうような気持ちもありますね」。世界最高峰の舞台で戦う自覚と誇り、その挑戦を楽しむブレイカーの顔をのぞかせた。
「僕としては、終着最終地点パリっていう感覚はなくて。もちろんそこに焦点を合わせてやってる部分はあるんですけど、僕はまだまだ年齢を考えてもキャリアを考えても、自分が目指しているところを考えても、このパリオリンピックっていうのは始まりに過ぎないと思ってるので。最高の始まりにできるように、ここは一つ自分のベストな姿で当日を迎えたいなっていう、そういったワクワク感と、これまでの歩みに対しての思いがあります」と心境を語った。
これまでにも、彼にとってユースオリンピックなど大きな成長のきっかけとなる分岐点がいくつもあったが、この1年はブレイカーとして特に大きな進歩を感じた年だったと振り返る。「ひとつ挙げるなら、やっぱり世界選手権(2023年9月25日)とアジア大会(10月7日)のこの2戦は、自分にとって1秒1秒が本当に大事な時間だった。自分に与えられた時間が限られてる中で、この1週間の時間をどういうふうに振り返り、それを学びにして進化させて、次のステージへっていう…一番自分が気持ちよく踊れる体と心と頭の状態でアジア大会を迎えようっていう、一人のプレイヤーとして成長をすごく感じたのは、その期間かなと思います」と語った。
「ネクストレベルの自分を見せたい」
幼少期の頃から海外遠征を含め、今までに30回以上訪れたことのあるパリは、Shigekixにとって「馴染み深いというか、自分にとって日本の次に時間を過ごしている場所で、どこか親近感があります」と語る。そんなパリのステージで、「今まで見たことのある、“あのShigekix”っていうところまでじゃなくて、“はじめて見たShigekix” みたいな瞬間を、感じさせたい。自分が感じたいっていう気持ちが一番強くあります」と意気込む。
「自分の成果を求めてしっかり準備できれば、結果もついてくるかなっていうのが今の率直な気持ちですね。やっぱり自分が楽しくないと、本当に人を楽しませたりとか、人の心を動かせるような踊りっていうのはできないなっていう風に特に最近感じていて。自分が楽しめてなかったら人が楽しめるわけがないし、人の心に届く踊りができるわけもない。これまでで一番いい自分の姿を見せたいとか、一番いい踊りを出したいみたいな、自分に対していい意味でプレッシャーをかける。モチベーションを高く持って挑めると、自然とその成果が結果を持ってきてくれるんじゃないかなっていう風に思う」と続けた。
「オリンピックという大会そのものの空気感を味わうこと。それをすごく楽しみにしていますね」
開会式では、オリンピック史上初となるスタジアムの外での開会式で、TEAM JAPANを代表し、フェンシング代表の江村美咲と共に旗手を務め、セーヌ川での歴史的なパレードを経験した。「僕の人生にとって、もう間違いなく生涯忘れることのない日々になると思います。振り返ってみると、本当にあの1秒1秒が自分の人生にとってかけがえのない時間だったなっていうふうに絶対思えると思うので、何かこう思い返した時に、本当に楽しかったなって思えるように、このオリンピックっていう大会そのもの、空気感から全て、見るもの、感じるものを楽しみたいなっていう風に思います」と期待感を示した。
ブレイキンBボーイ(男子競技)は、8月10日(土)の1日で予選から準々決勝、準決勝、決勝までが行われ、初代王者が決定する。だれがブレイキンの新たな歴史に名を刻むことになるのか。Shigekixの挑戦に期待したい。
ブレイキン日本代表、Shigekixの主な戦績
- 2023年10月 アジア競技大会(杭州)金メダル
- 2023年9月 世界選手権(ルーヴェン)3位
- 2023年8月 BfGワールドシリーズ(ポルト)優勝
- 2023年5月 BfGワールドシリーズ(モンペリエ)2位
- 2023年4月 BfGワールドシリーズ(リオ・デ・ジャネイロ)3位
- 2023年2月 BfGチャンレンジシリーズ(北九州)3位
- 2023年2月 JDSF全日本ブレイキン選手権 優勝(3連覇)
- 2022年11月 BfGチャレンジシリーズ(東京)優勝
- 2022年10月 世界選手権(ソウル)2位
- 2022年7月 IWGAワールドゲームズ(バーミンガム)3位
- 2022年1月 JDSF全日本ブレイキン選手権 優勝(2連覇)
- 2020年11月 BC One World Final優勝
- 2020年1月 JDSF全日本ブレイキン選手権 優勝
- 2019年8月 BC One Japan Cypher 2位
- 2018年10月 ユースオリンピック(ブエノスアイレス)銅メダル
- 2018年5月 世界ユース選手権(川崎)優勝
- 2017年12月 WDSFユースオリンピックアジア大陸予選(Chinese Taipei)優勝
パリ2024オリンピック、ブレイキンの試合日程
以下、現地時間と括弧内が日本時間。日本はパリより7時間進んでいる。※日程は変更になる可能性もある。
8月9日(金)
- 16:00(23:00)Bガール予選
- 20:00(翌3:00)Bガール準々決勝 第1試合
- 20:07(翌3:07)Bガール準々決勝 第2試合
- 20:14(翌3:14)Bガール準々決勝 第3試合
- 20:21(翌3:21)Bガール準々決勝 第4試合
- 20:45(翌3:45)Bガール準決勝 第1試合
- 20:52(翌3:52)Bガール準決勝 第2試合
- 21:14(翌4:14)Bガール3位決定戦
- 21:23(翌4:23)Bガール決勝戦
8月10日(土)
- 16:00(23:00)Bボーイ予選
- 20:00(翌3:00)Bボーイ準々決勝 第1試合
- 20:07(翌3:07)Bボーイ準々決勝 第2試合
- 20:14(翌3:14)Bボーイ準々決勝 第3試合
- 20:21(翌3:21)Bボーイ準々決勝 第4試合
- 20:45(翌3:45)Bボーイ準決勝 第1試合
- 20:52(翌3:52)Bボーイ準決勝 第2試合
- 21:14(翌4:14)Bボーイ3位決定戦
ブレイキン・Shigekixプロフィール