自分の国でオリンピックデビューを果たそうとしているBMXの天才、畠山紗英はリラックスした表情を浮かべる。しかしそれは、歩けるようになるくらいの頃から自転車に乗ってきた彼女にとっては当然のことかもしれない。
神奈川県出身の畠山は、3歳のときに初めてBMXに乗り、4歳でレースに出場した。10歳のときにUCI BMX世界選手権の年齢別で初優勝し、12歳、13歳の年も優勝。2017年には日本BMX選手権で優勝した。
現在、22歳の畠山は、スイスのUCIワールドサイクリングセンターを拠点に練習し、東京2020オリンピックで金メダルが期待されている。
成功の秘訣は? 楽しむこと。注目選手とされることを重荷ではなく、「嬉しい」と捉えている畠山。Olympics.comの独占インタビューでは、東京2020に向けて、緊張への対処法や、テニス界のスターである大坂なおみ選手に影響を受けている理由を明かしてくれた。
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Q:オリンピック前の最後の数ヶ月、どのように調整してきましたか?
畠山紗英(以下、畠山):トレーニングの内容は今までやってきたことと大きく変わることはなくて、スタートが課題なんですけど、そこも含めて練習しました。以前より良くなってきていると思います。
気持ちの面では、他のレースと同じように行こうと思って、(オリンピックを)意識したことは特にないですね。リラックスしていつも通りにできるようにすることが理想です。
Q:東京では選手村に滞在する予定ですか? 楽しみにしていることはありますか?
畠山:選手村に滞在する予定です。オリンピックは初めてなので、どんな感じか楽しみです。
いつも日本に帰るときは空港に家族が迎えにきてくれるんですけど、今回は着いたらそのまま選手村に向かって、大会が終わるまで家族に会えないので、不思議な感じですね。
Q:開催がすぐそこまで近づいています。どんな気持ちですか?
畠山:今はまだ緊張していなくて、ワクワクしている方が強いんですけど、自分の大会が近づくにつれて緊張が出てくるのかなって思います。
いつもレース前日くらいに緊張し始めるんですけど、緊張しすぎるのはあまり良くないので、そういうときは呼吸に意識を持っていきます。緊張しすぎているときはネガティブに考えちゃうことがあるので、そこを考えないように呼吸をします。
Q:東京オリンピックBMXレースの注目選手として名前が挙げられていますが、どんな気持ちですか?
畠山:嬉しいのが一番大きいですね。それと同時にプレッシャーもあるけど、プレッシャーはそこまでではないです。オリンピックが決まる前の選考基準の大会では、結果を出さないといけないという風に考えていましたけど、オリンピックが決まってからそれが軽くなったというか。
結果を出さなきゃいけないって、周りの人も期待してるだろうって、自分でプレッシャーをかけていたんだと思います。
Q:初めてのオリンピック、しかも自分の国で開催されるオリンピック、どのような気持ちで準備してますか?
畠山:オリンピックに出るのは小さい頃からの夢だったし、日本で開催されるということはすごくラッキーだなと思っています。こんな経験できる人は限られているので。初めての経験なので、会場の雰囲気などすべてを楽しみたいと思っています。
Q:一番のライバルは?
畠山:特にこの人というのはいなくて、オリンピックに出場する選手はみんな速いので、全員ライバルですね。
Q:スポーツ選手で影響を受けている人はいますか?
畠山:大坂なおみ選手はすごい、かっこいいなと思います。おっとりしてそうな感じがするけど、プレーすると強いのがすごいなって思います。
Q:家族の影響でBMXを始めたと伺っていますが、家族からパフォーマンスについて色々言われることはあるんですか?
畠山:以前はそうでした。お母さんが厳しくビデオでチェックして、「こうした方がいい、ああした方がいい」って。でも私がこっち(スイス)に来てからはなくなりました。
Q:2011年、2012年の世界選手権で成功を収めて、どんな変化がありましたか?
畠山:2008年から世界選手権に出ていて特に大きく変わったことはないですが、(優勝して)この競技をずっと続けていくという確信が生まれました。
BMXは日本ではマイナーなスポーツなので、特に生活が変わることはなかったですね。学校に行ったら普通の生徒でしたし。
Q:過去の出来事や失敗から学んだことで、東京大会で生かせるものはどんなことですか?
畠山:年齢別の世界選手権で3回優勝していますが、最後に優勝したのが2012年。そこから成績が落ちちゃって。次の年に2位になって、その次の年に3位になって、その次の年には決勝にも進めませんでした。
今までの経験を振り返ると、BMX自体を楽しむことが一番大事なんだなと思っています。結果が落ちちゃったときは、こんなに頑張っているのになんでだろうって思うこともありました。そのときは自転車に乗ることを楽しめていませんでした。始めたばかりの頃は結果とか気にせず、楽しいから乗っていただけなので。
Q:楽しむことがカギということですね。好きな言葉は何ですか?
畠山:「楽しんだもんがち」。楽しまないと上達しないし、楽しんで練習しないと結果もついてこない。自転車を始めた頃の楽しい気持ちを忘れないことは大事だなと思います。
Q:ぴろちゃんという名のうさぎのぬいぐるみを持ち歩いているという記事を読んだことがありますが、本当ですか?
畠山:そうですね。選手村にも持っていく予定です。
Q:東京でどのようなパフォーマンスをしたいですか?
畠山:自分の100%の力というか、いいパフォーマンスを発揮して、発揮できれば、結果もついて来るんじゃないのかなと思います。競技を通してかっこいい姿を見てもらいたいなと思います。