北京2022バイアスロンを総括! 最高の瞬間を振り返ろう

カンタン・フィヨン・マイエとマルテ・オルズブ・ローイズランドの驚異的な5つのメダル獲得から、ノルウェーのベー兄弟の活躍まで、北京2022のバイアスロン競技で記憶に残る瞬間や名言、全メダルを振り返る。

1 執筆者 Indira Shestakova
Tarjei Boe, Johannes Thingnes Boe, Tiril Eckhoff and Marte Olsbu Roeiseland of Team Norway
(2022 Getty Images)

北京2022冬季オリンピックでのバイアスロンは、興奮とドラマに満ちていた。ワールドカップ首位のカンタン・フィヨン・マイエ(フランス)は、出場した5レースで5つのメダルを獲得し、オリンピック史に名を刻んだ。

そしてノルウェーの**マルテ・オルズブ・ローイズランド**は、北京2022のバイアスロン女王と呼ぶにふさわしい。31歳の彼女は、3つの金メダルとふたつの銅メダルを獲得した。

ソチ2014の男子リレーで金、平昌2018でも同種目で銀メダルを獲得しているベー兄弟の兄・タリヤイ(33)は、北京2022ではリレーで金メダル2個、個人レースでも銅と銀メダルを獲得し、今大会がキャリアでもっとも成功をおさめたオリンピックとなった。弟の**ヨハネス・ティングネス・ベー**は、リレーでの金ふたつに加え、個人10kmスプリントと15kmマススタートでも優勝し、合計4つの金メダルを獲得。さらに個人20kmでも銅メダルを手にした。

女子10kmパシュートでは、今大会のバイアスロン競技で最もドラマチックといえる瞬間のひとつがあった。銅メダル獲得が確実と思われたノルウェーの**イングリッド・ランドマーク・タンドレヴォルド**が、最終周回で壁に衝突。その結果14位でフィニッシュし、彼女はその後医師の手当てを受けた。

男子リレーではさらにドラマチックな出来事があった。ROCが終始リードしていたが、最後の立射(立位の射撃)で**エデュアルド・ラティポフ**が5本のショットのうち4本を外し、2本のペナルティーループを強いられて後退。金メダルを逃したROCは、銅メダルに終わった。

しかし、そのラティポフに対し、優勝したノルウェーチームは、タリヤイ・ベーがインスタグラムでROCチームを励ますという、「#StrongerTogether」の精神を見せた。

また、ソチ2014で同じような状況に陥った、元バイアスリートのエミル・ヘグル・スベンセンも「エド・ラティポフに思いを寄せています。私もそれを体験しました(2014年)。ロシアのみなさん、どうぞ彼をいたわってあげてください」とツイートしている。

最高の瞬間トップ3

1. ノルウェーが席巻

北京2022では、女子リレーを除くすべてのレースで、ノルウェーのバイアスロン選手がメダルを獲得した(金メダル6個、銀2個、銅6個)。その卓越したパフォーマンスの秘訣はどこにあるのか?**ストラ・ホルム・ラグレッド**は成功の要因として、旺盛なチームスピリットとお互いに助け合う姿勢を挙げた。

「何があってもチームメイトが自分をサポートしてくれるのがわかっているということは、大きな自信につながります。悪い日も良い日も、彼らはいつも応援してくれて、バックアップしてくれる。それから僕たちは多くのことを共有しています。たとえば僕が得意としているのは射撃なので、その分野では僕が他の選手を助け、彼らは僕がより速く滑れるようヘルプしてくれる。そうやって常にお互いの背中を押しているんです。私たちはお互いを高め合いながら楽しむこともできる、素晴らしいチームなんです」

(2022 Getty Images)

2. カンタン・フィヨン・マイエの歴史的な成功

混合リレーと10kmスプリントで銀メダル、20kmと12.5kmパシュートで金メダルと、4つのレースで4つのメダルを獲得したフランス人のフィヨン・マイエは、これほどのゴールドラッシュは予想していなかったと語る。

彼の目標は、リレーで1勝、個人種目で1勝をあげることだった。しかし、実際にはそれ以上の結果を出し、男子リレーでは5個目のメダルとなる銀メダルも獲得。1980年以降、冬季オリンピックの同一大会で5つのメダルを獲得した初のバイアスリートとなった。また彼は、1924年大会以来、同じオリンピックで5つのメダルを獲得した最初のフランス人アスリートでもある。

競技最終日には、オルズブ・ローイズランドとヨハネス・ティングネス・ベーが、フィヨン・マイエに続き、同じ冬季オリンピックでバイアスロンの5つのメダルを獲得したふたり目と3人目の選手となった。

(1 Getty Images)

3. きょうだいで表彰台

北京2022では、ベー兄弟は、混合リレーと男子リレーで金、10kmスプリントではヨハネスが金、タリヤイが銅メダルと、3度、ふたり同時に表彰台に上がった。一緒に表彰台に立つというのは、兄弟にとってこの上なく幸せな瞬間に違いない。

しかし、きょうだい揃ってメダルを獲得したのは彼らだけではない。7.5kmスプリントと10kmパシュートで銀メダルを獲得するという素晴らしいオリンピックデビューを果たした22歳の**エルビラ・エーベリ(スウェーデン)。そして、彼女の姉で15kmインディビジュアルの2018年オリンピックチャンピオン、26歳のハンナ・エーベリは、北京では個人メダルは獲得できなかったが、女子リレーの主要メンバーとして活躍。エーベリ姉妹は、リン・ペルションモナ・ブロション**とともに見事なチームワークを発揮し、この種目で同国初のオリンピック金メダルを手に入れた。

(1 Getty Images)

アスリートたちの言葉

「正直、どうなっているのかわかりません。私の目標は、金メダルを1つ獲ることでした。今では3つと、銅メダルを2つ手に入れました。ただただ驚いています。本当に誇らしく思います」

北京2022で5個目のメダルを獲得したマルテ・オルズブ・ローイズランド

「カンタンのことを褒めるのは簡単なことです。彼はシーズンを通して素晴らしい活躍をしていて、今日も彼のシューティングは完璧でした。これが彼にとってふたつ目の金メダルですが、彼のパフォーマンスには本当に感動しました。彼は素晴らしいアスリートであるだけでなく、人としても素晴らしく、私たちの良き仲間のひとりです。彼は、彼にとってふさわしいものを、手にしているのです」

12.5kmのパシュートで20の的をすべて命中させて、ふたつ目の金メダルを獲得したカンタン・フィヨン・マイエについて、賛辞を贈ったヨハネス・ティングネス・ベー

「彼女のことを本当に誇りに思います。姉として誇らしいです。彼女の個人戦の銀メダルもうれしかったですが、今こうして一緒にやり遂げたことがとにかくうれしいです。これにはとても大きな意味があります」

女子リレーで妹のエルビラとともに金メダルを獲得したハンナ・エーベリ

北京2022バイアスロンの全メダリスト

ミックスリレー 4x6km(男女混合)

  • 金メダル:ノルウェー
  • 銀メダル:フランス
  • 銅メダル:ROC

女子種目

女子15kmインディビジュアル

  • 金メダル:デニス・ヘルマン(ドイツ)
  • 銀メダル:アナイス・シュバリエブシェ(フランス)
  • 銅メダル:マルテ・オルズブ・ローイズランド(ノルウェー)

女子7.5kmスプリント

  • 金メダル:マルテ・オルズブ・ローイズランド(ノルウェー)
  • 銀メダル:エルビラ・エーベリ(スウェーデン)
  • 銅メダル:ドロテア・ウィーラー(イタリア)

女子10kmパシュート

  • 金メダル:マルテ・オルズブ・ローイズランド(ノルウェー)
  • 銀メダル:エルビラ・エーベリ(スウェーデン)
  • 銅メダル:ティリル・エックホフ(ノルウェー)

女子 4x6kmリレー

  • 金メダル:スウェーデン
  • 銀メダル:ROC
  • 銅メダル:ドイツ

女子12.5kmマススタート

  • 金メダル:ジュスティーヌ・ブレザーズ(フランス)
  • 銀メダル:ティリル・エックホフ(ノルウェー)
  • 銅メダル:マルテ・オルズブ・ローイズランド(ノルウェー)

男子種目

男子20kmインディビジュアル

  • 金メダル:カンタン・フィヨン・マイエ(フランス)
  • 銀メダル:アントン・スモルスキー(ベラルーシ)
  • 銅メダル:ヨハネス・ティングネス・ベー(ノルウェー)

男子10kmスプリント

  • 金メダル:ヨハネス・ティングネス・ベー(ノルウェー)
  • 銀メダル:カンタン・フィヨン・マイエ(フランス)
  • 銅メダル:タリヤイ・べー(ノルウェー)

男子12.5kmパシュート

  • 金メダル:カンタン・フィヨン・マイエ(フランス)
  • 銀メダル:タリヤイ・ベー(ノルウェー)
  • 銅メダル:エデュアルド・ラティポフ(ROC)

男子 4x7.5kmリレー

  • 金メダル:ノルウェー
  • 銀メダル:フランス
  • 銅メダル:ROC

男子15kmマススタート

  • 金メダル:ヨハネス・ティングネス・ベー(ノルウェー)
  • 銀メダル:マルティン・ポンシルオマ(スウェーデン)
  • 銅メダル:ベトレショースタ・クリスティアンセン(ノルウェー)
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