東京オリンピック代表選考会を兼ねる第104回日本陸上競技選手権大会・長距離種目が、12月4日にヤンマースタジアム長居(大阪府)で開催された。女子5000メートルで田中希実(豊田自動織機TC)、女子10000メートルで新谷仁美(積水化学)、男子10000メートルで相澤晃(旭化成)が優勝。各種目でTokyo2020(東京五輪)日本代表に内定した。
女子5000メートルは、田中が15分5秒65で制した。既に参加標準記録(15分10秒00)を突破している田中は、今大会の優勝で東京オリンピック同種目日本代表に内定。2位は廣中璃梨佳(JP日本郵政G)で15分7秒11だった。
田中は、「自分の力に全く自信が持てなかったので、スタートが怖かった。ゴールして1位が確定して、嬉しいというよりは信じられない思いがある。今は、本当にホッとしている」とレースを振り返った。代表に内定した東京オリンピックに向けては、「ラストは脚が止まっていたし、これではまだまだ。これからつくっていきたいと思う」とコメントした。
女子10000メートルは、日本新記録となる30分20秒44をマークした新谷が優勝。既に参加標準記録(31分25秒00)を突破している新谷は、東京オリンピック同種目日本代表に内定した。2位は東京オリンピックマラソン日本代表内定の一山麻緒(ワコール)で、31分11秒56だった。
レース後新谷は、「今はすっきりした気持ちと、とても嬉しい気持ちを感じている」とコメント。東京オリンピックについては、「国民の皆さんが、東京五輪で私を含め、世界の超人たちを見たいという気持ちになったときに、初めて私たちが(期待に)答えられるのかなと思う。国民の皆さんと一緒に歩んでいきたい」と語った。
男子10000メートル2組を制した相澤は、日本新記録となる27分18秒75をマーク。参加標準記録(27分28秒00)を突破し、東京オリンピック同種目日本代表内定を勝ち取った。東京オリンピックマラソン日本代表内定の大迫傑(Nike)は、27分36秒93で6位だった。
相澤は、「今年1年間、この試合のためにやってきた。しっかり結果を残すことができて嬉しい」と振り返った。東京五輪に向けては、憧れのアスリートの名を挙げ「円谷(幸吉、1964年・東京五輪マラソン銅メダリスト)選手はトラック(種目)にも出場していたので、自分も"円谷幸吉選手2世"として、トラックで出場し、あとに続くことができれば…と思うようになり、今日のためにしっかり取り組んできた」と話した。
また、コロナ禍のなかで選考レースを終えることが出来たことについても感謝の言葉を述べ、「苦しんでいる人がたくさんいると思う。僕の走りで元気を与えることができたらいいなと思いながら走った」とエールを送った。
東京五輪内定条件
今大会の優勝者で、後述する期間内に東京オリンピック参加標準記録を満たしている選手は、日本代表に内定する。既に参加標準記録を突破している選手が今大会で優勝した場合、無条件で内定。また、今大会前の時点で参加標準記録を突破していない選手が、今大会で標準記録を突破した上で優勝した場合も、東京五輪代表に内定となる。
■東京オリンピック参加標準記録
3000m障害
- 男子:8分22秒00
- 女子:9分30秒00
5000m
- 男子:13分13秒50
- 女子:15分10秒00
10000m
- 男子:27分28秒00
- 女子:31分25秒00
参加標準記録の有効期間は、男女3000m障害と男女5000mが2019年5月1日から2020年4月5日と、2020年12月1日から2021年6月29日。男女10000mが、2019年1月1日から2020年4月5日と、2020年12月1日から2021年6月29日となっている。