【東京オリンピック出場枠争い】フェンシング:W杯エペ団体優勝で勢いづく日本、見延和靖、加納虹輝ら有力選手が代表確保か

開催国枠で8人を送り込める日本。その代表争いが始まっている

2020年の東京五輪に向けて、フェンシング界でも出場枠争い、代表争いが始まっている。伝統的に強い欧州勢に対し、日本勢も2019年3月のW杯スペイン大会でエペ団体を制するなど、力をつけてきている。代表枠選考基準となる世界のランキングや、日本の有力選手などをみていこう。

東京五輪出場枠争いの概要(日本以外)

東京五輪では、男女それぞれ個人・団体(チーム)種目それぞれ6種目行われる。FIE(国際フェンシング連盟)が発表する公式チームランキングにより出場権を獲得した場合、それ以外の場合で選出方法が変わる。なお、公式ランキングにおいては、2019年4月3日から2020年4月4日までに加算されたポイントによって決定される。

チーム資格においては、FIE公式チームランキング(2020年4月4日現在)上位4チームが、所属大陸関係なくオリンピック出場権を獲得できる。5位から16位にランクインしたチームについては、FIEの4つのゾーン(アフリカ、アメリカ、アジア・オセアニア、ヨーロッパ)からの最高順位にランクされたチームに出場資格が与えられる。

個人資格については、チーム資格を通じて出場権を確保した24選手(8チームそれぞれ3選手)は、個人競技にも出場できる。FIE 公式個人ランキング(2020年4月4日現在)で、FIE公式チームランキングを通じて有資格となった選手を除き、国別で最高順位の選手と各地域6名(ヨーロッパ2名、アジア・オセアニア2名、アメリカ1名、アフリカ1名)の選手も出場権を獲得できる。

出場権の掛かった主要大会

チーム(団体)資格における出場枠については、以下の大会が対象となる。

1) 団体ワールドカップ競技会

2) 団体世界選手権大会

3) 団体大陸選手権大会

個人資格における出場枠については、以下の大会が対象となる。

1) 個人グランプリ競技会

2) 個人ワールドカップ競技会

3) サテライト競技会

4) 個人世界選手権大会

5) 個人大陸選手権大会

<出場権争いの現状、出場決定選手>

上記の通り、2020年4月4日現在のFIE公式チームランキング、FIE 公式個人ランキングで出場権が決まり、各国に出場枠が与えられるため、2019年5月現在で出場が決まったチーム・選手はいない。

現在のランキング

下記のランキングは、2018-19シーズンで蓄積されたポイント数である。

【男子】

<サーブル団体>

1位 韓国

2位 イタリア

3位 ハンガリー

4位 ロシア

5位 イラン

9位 中国

13位 日本

<エペ団体>

1位 ロシア

2位 スイス

3位 韓国

4位 ハンガリー

8位 中国

10位 日本

<フルーレ団体>

1位 アメリカ

2位 イタリア

3位 ロシア

4位 韓国

6位 香港

7位 日本

10位 中国

<サーブル個人>※日本人選手のみ

33位 徳南堅太

37位 島村智博

41位 吉田健人

<エペ個人>※日本人選手のみ

5位 加納虹輝

8位 見延和靖

<フルーレ個人>※日本人選手のみ

25位 西藤俊哉

37位 松山恭助

40位 敷根崇裕

【女子】

<サーブル団体>

1位 フランス

2位 ロシア

3位 イタリア

4位 アメリカ

5位 韓国

6位 中国

9位 日本

<エペ団体>

1位 アメリカ

2位 ロシア

3位 ポーランド

4位 中国

7位 韓国

10位 香港

14位 日本

<フルーレ団体>

1位 フランス

2位 イタリア

3位 アメリカ

4位 ロシア

5位 韓国

6位 日本

10位 中国

<サーブル個人>※日本人選手のみ

26位 青木千佳

30位 福島史帆実

34位 高嶋理紗

<エペ個人>※日本人選手のみ

66位 下大川 綾華

75位 古俣潮里

<フルーレ個人>※日本人選手のみ

12位 菊池小巻

16位 宮脇花綸

22位 東晟良

東京五輪での活躍が予想される日本のフェンシング有力選手

3月にアルゼンチンで行われたワールドカップで、エペ団体日本代表(見延和靖、加納虹輝、宇山賢、山田優)が優勝した。エペ団体の優勝は日本史上初で、他の種目も含めると、2011年ワールドカップフランス大会男子フルーレ以来8年ぶりの快挙だった。

2018-19シーズンにおいては、個人でもグランプリ大会で1勝(見延)、ワールドカップでも2勝(見延・加納)し、2018-19シーズンランキングでも加納が5位、見延が6位だった。個人・団体共にメダルが期待できる。

フルーレ団体は2018-19シーズンランキング7位。1月に東京で行われた高円宮杯ワールドカップで、日本代表(西藤俊哉、敷根崇裕、鈴村健太、松山恭助)は惜しくも5位だった。

フルーレ個人でも、西藤、鈴村は2回戦で、ロンドン大会団体銀メダルメンバーの三宅諒、15歳で初のシニア大会だった飯村一輝は1回戦で敗れているが、今後の成績次第ではメダルの期待も高まる。女子もランキング上位に3人が名を連ねているので、レベルアップを期待したい。

日本人選手の出場枠/開催国枠争いの状況、選考大会への出場権獲得状況

日本人選手の選考については、大きく以下の通りとなる。

・日本代表がFIE 公式チームランキングにより出場権を獲得した場合

<代表候補選手>

1)2019年4月3日から2020年4月4日までのFIE競技会において獲得したポイント数によって決定されるFIE 公式個人ランキングの日本人上位2名。

2)強化本部が推薦する選手1名。

<リザーブ候補選手>

強化本部が推薦する選手1名。

・FIE 公式チームランキングによる出場権以外の出場資格について

1)2019年4月3日から2020年4月4日までのFIE競技会において獲得したポイント数によって決定されるFIE 公式個人ランキングから、FIE公式チームランキングを通して有資格者となった各国及び、個人種目別の選手を除いた、アジア・オセアニアゾーンの FIE公式個人調整済みランキング上位2名。(※各国各種目1名のみ)

2)アジア・オセアニアゾーン最終選考会の最上位者各種目1名

フェンシングの開催国枠について

東京五輪を開催する日本は、開催国枠として8名分の出場権を確保する。強化本部によって、FIEランキングを考慮した上で、メダルの可能性が有力視できる種目や個人に分配される。ただし、各国の種目別出場枠は3つまでとしている。ただ、上位に入っていくためには、開催国枠に頼らず、自力で出場権を確保しておきたいところだ。

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