新型コロナウイルス(COVID-19)は世界中で感染が拡大した。スポーツ界にも大きな影響を与え、ヨーロッパのサッカー界では各リーグが中断、打ち切りを余儀なくされた。ここでは各国リーグやUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ヨーロッパリーグ(EL)、EUROなどの再開、中止の状況などの状況を紹介する。
リーガ・エスパニョーラ(ラ・リーガ)は6月11日に再開予定
5月23日、スペインのラ・リーガは6月8日の週に再開することをリーグ公式Twitterで伝えた。5月30日には、リーグ戦を6月11日から再開することが公式サイト上で発表された。11日はセビージャ対ベティスの"アンダルシア・ダービー"が開催され、その他のクラブは13日と14日が再開初戦となる。最終節は7月18日と19日に行われる予定。
また、1日より各クラブが全面的な集団トレーニングを開始することも発表。ラ・リーガは公式戦開催に向けて4つ段階を設け、それに従い各クラブがトップチームの活動を行ってきた。まずは5月9日よりクラブ施設での個人練習を開始。18日には、最大10人までの少人数グループでのトレーニングが始まり、すぐに14人に拡大された。6月1日からは最終段階として、人数制限なしの集団トレーニングが実施される。
新型コロナウイルスの影響で、ラ・リーガは3月6日から8日に行われた第27節を最後に中断している。中断時点で1位バルセロナと2位レアル・マドリードが、勝点差2で首位を争っている。日本代表・乾貴士所属のエイバルは16位、久保建英所属のマジョルカは18位につけている。
プレミアリーグは再開日を6月17日に設定
プレミアリーグは5月28日、すべての安全要件が整っていることを条件に、リーグ戦再開日を6月17日に設定することに全20クラブが合意したと発表。6月17日は、カラバオカップ決勝戦のために延期されていたアストン・ヴィラ対シェフィールド・ユナイテッドと、マンチェスター・シティ対アーセナルが開催される。なお、試合は当面無観客で行われる。プレミアリーグのリチャード・マスターズ最高経営責任者は、「6月17日にプレミアリーグを再開することに暫定的に合意した。だが、全関係者の健康が最優先であるため、すべての安全要件を満たすまでは、この日を確定することはできない」と説明した。
プレミアリーグは新型コロナウイルス感染拡大により、3月7日と8日に開催された第29節を最後に中断している。現在、日本代表・南野拓実が所属するリヴァプールが、2位マンチェスター・シティに勝点25の差をつけ首位に立っている
セリエAは6月20日再開、コパイタリアが13日に先立って開催も
イタリアサッカー協会(FIGC)も28日、リーグ戦再開について発表。FIGCによると、イタリアのスポーツ相、ヴィンチェンツォ・スパダフォラ氏とジュゼッペ・コンテ首相の会談でサッカーの試合開催が承認されたとして、セリエAを6月20日から再開するとした。また、セリエA再開の1週間前にはカップ戦「コパ・イタリア」が開催される予定となった。コパ・イタリアは現在準決勝のファーストレグまで終了している。準決勝セカンドレグは6月13日と14日、決勝は17日に開催することになる。準決勝では、インテルとナポリ、ミランとユベントスが対戦する。
セリエAは2月29日から3月9日に行われた第26節の開催を最後に中断中。首位ユベントスと2位ラツィオが勝点差1で優勝を争っている。冨安健洋所属のボローニャは10位、吉田麻也所属のサンプドリアは16位につけている。
ブンデスリーガは5月16日に再開
第26節以降が延期となっていたドイツ・ブンデスリーガは、ヨーロッパの主要リーグでは最も早く公式戦を開催した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相と連邦州の政府首脳は5月5日、5月後半からのブンデスリーガ再開を承認。これを受け、DFLは5月16日よりブンデスリーガを再開した。試合は当面無観客で実施されており、最終節は6月27日と28日に予定されている。16日から18日には、ドルトムント対シャルケの"ルールダービー"など、第26節の全9試合が行われた。
リーグ・アンはシーズン途中で打ち切りに...PSGの三連覇が決定
リーグ・アンは3月13日、新型コロナウイルスによる健康上の懸念から、予定されている全試合の延期を決定した。その後も新型コロナウイルスの世界的流行により、フランス政府がスポーツ活動を禁止していることを受け、4月30日にリーグ・アンは2019-20シーズン打ち切りを発表。最終成績については、消化試合数が異なるため、打ち切り時点での1試合あたりの勝ち点で決まる。2.52ポイントを獲得していたパリSGが3連覇を飾った。
その他欧州リーグ
ポルトガルリーグ「プリメイラ・リーガ」は、6月3日から無観客で公式戦が再開された。同リーグは、3月7日の第24節を終えた時点でリーグが中断していた。中断時点では日本代表・中島翔哉が所属するFCポルトが勝点60で首位。ライバルのベンフィカが2位で、勝点1差で追いかけていたが、再開直後の第25節でポルトが敗戦、ベンフィカが引き分けたため、両チームは勝点で並んだ。
シントトロイデンの鈴木優磨や伊藤達哉ら、サークル・ブルッヘの植田直通など多くの日本人が所属するベルギー・ジュピラーリーグは5月15日、19-20シーズンを打ち切ることが正式に決まった。レギュラーシーズン1試合を残した第29節終了時点の順位が、最終成績として扱われる。これによりクラブ・ブルージュの優勝が決定し、来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の本戦出場権を獲得した。2位のゲントはCL予選3回戦から出場する。森岡亮太所属の3位シャルルロワはUEFAヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ、三好康児所属の4位アントワープはEL予選3回戦に出場する。小林祐希の最下位ベフェレンは2部降格となる。
CL・ELは8月に集中開催
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)とヨーロッパリーグ(EL)は現在、ラウンド16途中で中断している。欧州サッカー連盟(UEFA)は6月17日、2019-20シーズンのCLとELの再開後の日程を発表した。
CLはラウンド16の残り試合を8月7日と8日に実施。準々決勝は8月12日から15日、準決勝は8月18日と19日、決勝は8月23日に開催される。準々決勝以降はポルトガル・リスボンで集中開催となる。ELはラウンド16の残り試合を8月5日と6日に実施したのち、準々決勝を8月10日と11日、準決勝を8月16日と17日、決勝を8月21日にドイツで行う。CLとELはともに、準々決勝以降を1試合制のノックアウト方式にレギュレーションを変更する。
EURO(欧州選手権)は1年の延期が決定
各国のリーグ戦が終了した後の2020年6月12日から7月12日にかけて、イングランド、アゼルバイジャン、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、イタリア、オランダ、アイルランド、ルーマニア、ロシア、スコットランド、スペインの計12カ国で開催される予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各国のリーグ戦が中断したまま、その後も再開の目処が立っていないため、UEFAは加盟55協会と欧州クラブ協会、国際プロサッカー選手会などの代表者と協議した結果、延期を決定した。
開催予定日
EUROは当初の予定から約1年後の2021年6月11から7月11日にかけて開催されることになった。
グループリーグ組み合わせ
3月27日に行われる予定だったEUROプレーオフ8試合は延期が決まっている。
- グループA:イタリア、スイス、トルコ、ウェールズ
- グループB:ベルギー、デンマーク、フィンランド、ロシア
- グループC:オーストリア、オランダ、ウクライナ、プレーオフAまたはDの勝者
- グループD:クロアチア、チェコ、イングランド、プレーオフCの勝者
- グループE:ポーランド、スペイン、スウェーデン、プレーオフBの勝者
- グループF:フランス、ドイツ、ポルトガル、プレーオフAまたはDの勝者