19-20シーズンの前半戦で目覚ましい活躍を見せたチーロ・インモービレ。シーズン折返し時点で1試合未消化ながら20ゴールをマークし、5大リーグで最も多い得点数を記録している。そんなインモービレのプレースタイルや経歴、私生活について知っておくべき9のことを紹介する。
①:豊富な運動量が持ち味
インモービレのプレーの土台になっているのは豊富な運動量だ。相手選手に積極的にプレスをかけ、味方のためのおとりになることをいとわない。
また、攻撃の際にはDFから離れたポジションに位置を取る。味方からのパスが期待できる場面では、そこから一気に走りだすため、DFは彼を捕まえるのが難しい。もし相手の対応が遅れれば、自身の武器であるスピードと決定力を持って一気にゴールを奪いにいける。
また、DFがインモービレをマークすれば、そこに空いたスペースに入り込む味方へチャンスメイクもする。これがインモービレの強みだ。
②:イタリアの強豪ユベントスでプロデビュー
インモービレは1990年にナポリのトッレ・アンヌンツィアータという港町で生まれ、地元のスクールでサッカーを始めた。12歳の時に地元ナポリのクラブであるソレント(当時セリエD)のユースチームに加入し、選手としての力を高めていった。
転機が訪れたのは17歳の頃。ソレントのユースチームでの活躍が強豪ユベントスのスカウトの目に留まり、同クラブへの移籍が実現する。インモービレはユベントスの下部組織でも活躍を続け、19歳の頃にUEFAチャンピオンズリーグ・グループステージのボルドー戦でトップチームデビューを果たした。クラブのレジェンドであるデル・ピエロと交代しての出場だった。
③:伝説的監督ゼーマンの指導で点取り屋としての才覚を開花
プロデビューを果たした次のシーズンからはシエナ、グロッセート、ペスカーラといったセリエBのクラブへとレンタルされる。このうち最も輝いたのはズデネク・ゼーマンに指導を受けた11-12シーズンのペスカーラ時代で、28ゴールでセリエBの得点王に輝いた。後にインモービレはゼーマンから受けた指導が「戦術面、技術面で自分の基礎になった」と振り返っている。
④:トリノ在籍時にセリエA得点王に ドイツの名門へ渡る
セリエBのペスカーラでヒットした2シーズン後の13-14シーズンはトリノに在籍。ジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督の下、22点を記録してセリエAの得点王に輝いた。チームも前年の16位から7位へと躍進し、UEFAヨーロッパリーグ出場権を手にした。
インモービレはこの功績で世界中にその名を知らしめ、ドイツの強豪ボルシア・ドルトムントへと1850万ユーロで移籍。バイエルン・ミュンヘンへと渡ったロベルト・レヴァンドフスキの穴埋めとしての補強だった。
⑤:言葉の壁にぶつかり国外挑戦に失敗
エースの穴埋めとしての活躍を期待されてのドイツ移籍は、インモービレにとって苦難の時となる。ブンデスリーガで24試合に出場したものの、慣れない環境に苦しみ、わずか3得点しかできなかった。「ドイツ語は本当に難しかった」と本人が振り返るように、言語の問題がチームメイトや監督とのコミュニケーションの壁になってしまった。
インモービレはドルトムントでの挑戦を1シーズンで終え、15-16シーズンにセビージャに移籍する。しかし、スペインでも思うようなプレーはできず、半年で古巣トリノへとローン先を変えることになった。
⑥:イタリアで復活 ラツィオのレジェンドに
ドイツとスペインで苦しい時間を過ごしたインモービレは、16-17シーズンにセビージャからイタリアのラツィオへと950万ユーロで完全移籍。ここでかつての輝きを取り戻していく。
開幕戦のアタランタ戦でいきなりゴールを決めると、10月にはリーグ戦全試合で得点と爆発。リーグ戦が終わってみれば、36試合で23ゴールと完全に点取り屋としての自信を取り戻していた。
プロデビュー以来、毎シーズンのように移籍を繰り返していたインモービレはその後もラツィオに定着し、17-18シーズンには29得点で得点王に輝き、19-20シーズンには同クラブでの公式戦100ゴールを達成。名実ともにラツィオのレジェンドとなり、自身も「ここでキャリアを終えたい」と口にするようになった。
⑦:親友はペスカーラ時代に同僚だったインシーニェとベラッティ
プロデビュー以来、様々なクラブを転々とするキャリアを送ったインモービレ。それでも、私生活では若い頃の友人との結びつきが強いようだ。
インモービレはペスカーラで同僚だったロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)とマルコ・ベラッティ(パリ・サンジェルマン)と仲がよく、イタリア代表で一緒になった際にしばしば3人で仲睦まじい様子を見せる。また、妻のジェシカさんともペスカーラ所属時代に出会っている。
⑧:飛行機が大の苦手
国内と国外の各地を転戦するサッカー選手は、飛行機での移動が不可避。ただ、インモービレは飛行機の離陸が大の苦手で、怖がる様子をしばしばチームメイトに撮影され、SNSへとアップされている。
⑨:ゲームが大好き
インモービレは大のゲーマーで、特にサッカーゲームの「FIFA」を気に入っている。奥さんのインスタグラムには、声をかけてもゲームに夢中で一切反応しないインモービレの姿がしばしばアップされている。
本人も「妻よりプレイステーションの方が好き」と口にするほどゲーマーであることを自覚しているが、ゴールの後には奥さんのイニシャルである「J」を指で形作ったり、まだ幼い子どもの面倒を見てあげたりと、実は家族な思いな性格だ。