東京2020で、女子サッカーは人々に忘れられない瞬間をもたらしてくれた。
カナダは、20年以上ぶりにアメリカを破って表彰台の頂点に立ち、歴史的な金メダルを獲得して話題をさらった。
また、フィフィアネ・ミデマーとバーバラ・バンダは、個人のゴール記録でオリンピックの歴史にその名を刻んだ。
しかし、この大会で最も感動的な瞬間をもたらしたのはクインだ。トランスジェンダーであることを公表している選手で初めて、メダルを獲得した。
ここでは、最も印象的だった瞬間やメダルを振り返り、3年後のパリ2024へ向けた展望も合わせて紹介する。
東京2020 女子サッカー トップ5の瞬間
見どころシーンを振り返ろう:
1:クリスティン・シンクレアがついに世界タイトル
男女合わせて、国際サッカーで最も多くのゴールを決めてきた彼女は、その素晴らしいキャリアでついにメジャー大会のタイトルを手に入れた。
カナダ代表のクリスティン・シンクレアは、東京2020のピッチに歩み出るずっと前から、レジェンドとしてキャリアを積み上げてきた。しかし、その輝かしいゴール記録にもかかわらず、これまで彼女が手にした国際トーナメントのタイトルは、2011年のパン・アメリカン大会だけだった。ロンドン2012 とリオ2016では銅メダルを獲得した彼女は、日本の地でついに金メダルを手に入れた。
ホスト国との初戦でゴールを決めたシンクレアは、カナダ代表として出場した304試合で187点をマーク。準決勝では宿敵アメリカを破ってリベンジを果たすと、決勝戦のPK戦を制してカナダが頂点に立った。
この勝利は、シンクレアに次のワールドカップでも戦いたいという意欲をかきたてたにちがいない。
2:ヤングトリオがその名を知らしめる
ガビ・レニーは、この大会までニュージーランド代表としてプレーした経験はなかったが、すぐに世界の舞台で自分の真価を発揮してみせた。
オーストラリア戦の88分に投入された彼女は、最初の、そして唯一のボールタッチで、相手のキーパー、リディア・ウィリアムズをかわしてゴールを決めた。
ニュージーランドはこの試合に2-1で敗れたが、レニーは、彼女がなぜニュージーランドで最も将来を嘱望される選手の一人とみなされているかを明確に示した。
オーストラリアにも、未来のスターがいる。
18歳のメアリー・ファウラーは、イギリス戦の延長戦でセンセーショナルな一撃を決め、オーストラリアの準決勝進出に貢献した。
また、20歳のジュリア・グロッソにも触れないわけにはいかない。彼女は、カナダの金メダル獲得がかかったPKのキッカーとして歩み出ると、女子サッカー界で最も評価されているゴールキーパーの一人であるヘドビグ・リンダールを抜き去った。
3:バーバラ・バンダとザンビア
バーバラ・バンダにとって、忘れられないオリンピックデビューとなったこの大会。
ザンビアのキャプテンを務めたバンダは、初戦のオランダ戦で、試合には敗れたが、ハットトリックを達成した。
中国戦では4-4の引き分けで勝ち点1を獲得し、バンダはこの試合でも再びハットトリックを成し遂げた。
この多才なフォワードは、オリンピックで2回のハットトリックを達成した初の女子選手となった。ザンビアはグループリーグを突破することはできなかったが、選手たちにとっても、試合を観た者にとっても忘れられない大会となった。
4:フィフィアネ・ミデマーがまたしても記録達成
フィフィアネ・ミデマー、ゴールを決めること、記録を更新することーこの3つは鉄板だ。
オランダの寵児は、東京2020で再びそれを証明してみせた。
オランダは準々決勝で敗退したが、ミデマーは2位の選手に4点差をつけてトップスコアラーとして大会を終えた。
そして、これまでカナダのクリスティン・シンクレアが持っていたオリンピック1大会での最多得点記録を更新した。
5:スウェーデン 3-0 USA
本大会に至るまで、アメリカがいかに優位に立っていたかを目の当たりにしていた人たちにとって、この結果は全くの想定外だった。
ヴラトコ・アンドノフスキ監督率いるチームは、スウェーデンのタイトなプレスに苦しみ、チャンスを作ることができなかった。
この勝利は、スウェーデンがこの5年間で大きく進歩してきたことを観る者たちに印象づけた。
今大会ではオリンピックの金メダルは手にできなかったが、彼女たちは見ていて楽しいサッカーで聴衆の心を掴んだ。
おわりに
サッカーには、他のスポーツと同じく、喜びと傷みが同居する。
スウェーデンが敗れたことで、カロリン・セーゲルやヘドビグ・リンダールといった選手がメジャータイトルを獲得できずに終わった。リンダールは、この大会がおそらく自国代表としての最後のメジャー大会になるだろうと示唆していた。
一方、カナダとクインにとっては歓喜の瞬間だった。 クインがピッチ上でどのようなプレーを披露したかはそれほど関係ない。なぜなら、それはすでに周知であったからだ。
初日にカナダ代表の一員としてピッチに立ったクインは、トランスジェンダーやノンバイナリーであることを公表してオリンピックに出場した最初の選手となった。
そして、カナダが準決勝でアメリカを破り、メダル獲得が約束された決勝戦に進出したことで、オリンピックの歴史にまた新たな1ページが刻まれた。
クインは、トランスジェンダー、そしてノンバイナリーであることを公言しているアスリートとして、初めてオリンピックでメダルを獲得した選手となったが、カナダが劇的なPK戦を制して優勝したことで、それは金メダルとなった。
しかし、メダルが取れていようとなかろうと、クインはスポーツ界におけるLGBTQ+コミュニティの先駆者として、不滅の存在となった。
ブラジルでは、伝説的な選手であるマルタとフォルミガが記録を残した。マルタは5大会連続で得点した初の選手となり、フォルミガは夏季オリンピックに7回出場した初の選手となった。
ハロー・パリ2024
ここから2024年のパリ大会までの間に、Euroと女子ワールドカップが開催され、さらにオリンピック予選もあるため、フランスにどのチームが到達するかは予想がつき難い。
しかし、もし同じような顔ぶれが出てくるとしたら、スウェーデンのリベンジに期待が集まる。2大会連続して銀メダルを獲得した彼女たちは、次こそは金メダル獲得を狙ってくることだろう。
銅メダルを獲得したとはいえ、東京2020ではいつものような無敵ぶりを発揮できなかったアメリカが、3年後にどのような姿を見せてくれるのかも興味深いところだ。
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女子サッカーの次の大会は?
AFC女子アジアカップが9月13日、アフリカ大陸女子選手権は10月18日に開幕する。
CONCACAF 女子選手権は11月に開催。
欧州勢は、2022年7月に開催されるUEFA女子Euro2022が次の大舞台だ。同じ月にはコパ・アメリカ・フェミニーナ2022 とOFC女子ネイションズカップも開催される。
2023年7月20日から8月20日にかけて、オーストラリアとニュージーランドでFIFA女子サッカーワールドカップが開催される。
東京2020 女子サッカーの全メダルリスト
金:カナダ
銀:スウェーデン
銅:アメリカ