オリンピック総括: 東京2020 飛込

中国の新世代チャンピオンからトム・デーリーの感動的な金メダルまで、東京2020での飛込競技で見られた最も印象的な瞬間、メダルを振り返り、パリ2024を展望する。

1
GettyImages-1330664686 (1)
(2021 Getty Images)

東京2020の飛込競技は、前回大会の再現を見ているかのようだった。

8つの金メダルのうち7つを中国が獲得し、残りの1つをイギリスが獲得したのは、リオ2016年と同じだったからだ。

もうひとつの共通点は、とんでもない運動能力を駆使したスリリングな競技、心温まる瞬間、そして15歳のオレクシー・セレダという新しいスターの誕生まで、盛りだくさんの内容だったこと。

中国は、謝思埸施廷懋がともに2個の金メダルを獲得。

今大会で最も感動的だったのは、男子10mシンクロ競技で、イギリスのトム・デーリーがオリンピックデビューのマティ・リーとともに、4大会目にして初の金メダルを獲得した瞬間だろう。

今大会での飛込競技で最も印象的な瞬間を振り返り、メダリストを紹介するとともに、わずか3年後に迫ったパリ2024での注目選手をピックアップ!

(2021 Getty Images)

東京2020 飛込トップ5の瞬間

2021年に開催された東京2020オリンピックのハイライト。

1:施廷懋が逆境の中で勝利を収める

東京2020で最も成功した中国の2選手は、ともに大会に向けて厳しい戦いを経験した。

施廷懋は、今回のオリンピックで経験した鬱病を公にしており、一時は引退も考えていたという。

29歳の彼女が困難な状況を乗り越え、女子3m飛板飛込と女子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込の連覇のためほぼ完璧なパフォーマンスを見せたことは、驚くべき結果だ。

「私はこの競技が本当に大好きで、絶対に諦められないと思いました」と彼女は語った。「この日までの道のりは大変なものでした」

2:謝思埸のオリンピック記録

一方、謝思埸は6本のダイブで85点以上を獲得し、オリンピック記録を達成。男子3m飛板飛込で金メダルを獲得した。

この金メダルは、王宗源とのシンクロに続く、今大会2つ目の金メダルとなった。

世界選手権の4つのタイトルに加えて、オリンピックの金メダルを獲得した25歳の謝思埸は、「ここで金メダルを獲得できたことで、自分にとっての "グランドスラム "を達成できました」と語った。「自分自身に満点をつけたいです。この数年間、本当に辛かった。諦めなかった自分を称えたい」と続けた。

「達成感がありました。みんなをがっかりさせなかった。自分を誇りに思っています。今回が初めてのオリンピックで、いろいろなことを経験してきました」

(2021 Getty Images)

3:トム・デーリーにとってオリンピック初の金メダル

トム・デーリーがマティ・リーと並んで10mシンクロ高飛込で金メダルを獲得した瞬間は、多くの飛込ファンが望んでいたものだった。

14歳でオリンピックデビューを果たした北京2008から13年、デーリーは自分のキャビネットにない唯一の栄誉を手に入れた。

デーリーがこれまでに経験してきた様々な浮き沈みを考えると、感動的な瞬間だった。

「やっと金メダルを手にすることができました...。この競技を20年やってきて、4回目のオリンピックです。自分の実力を疑う意見が多かったでしょうけれど、身体的には最高の状態です」

「今でも正直なところ、この結果が信じられない。オリンピックチャンピオンとして名前を呼ばれる瞬間、我を忘れてしまって、泣きじゃくっていました」

27歳のデーリーは、長い間イギリススポーツ界を代表する存在だった。パリ2024に出場するかはわからないが、納得のいくキャリアだったと言えるのではないだろうか。

4: 全紅嬋のパーフェクト

中国は飛込競技の才能に優れる選手を次から次へ生み出す。今後は、全紅嬋がチームを引っ張る存在になるのだろう。

弱冠14歳にして、女子10m高飛込の決勝で、3本の10点台を出して金メダルを獲得

13歳で臨んだ2020年の国内選手権を制した全紅嬋は、ジャッジが満場一致で10点をつけた2つの演技を行い、3回目は2人のジャッジの点数が割り引かれて10点となった。

最近注目を集め始めた若きダイバーの見事なパフォーマンスは、今大会を代表するものとして語り継がれるだろう。

5:新たなスター、オレクシー・セレダ

オレクシー・セレダは、ウクライナのトム・デーリーと言えるだろうか?

15歳の彼は、年齢以上の落ち着きを示して決勝に進出し、最終的に6位入賞を果たした。

セレダは、2019年に飛込史上最年少で10m個人の欧州王者に輝き、初めて世界で注目を集めた。2008年にデーリーが大陸での初タイトルを獲得したときよりも3ヵ月早い快挙だった。

オリンピックでの経験を積んだセレダの未来は明るい。

(2021 Getty Images)

歴史に名を残すダイバーにとって最後の大会

日本の飛込競技を支えてきた寺内健にとって、東京アクアティクスセンターで行われた今大会は、感慨深いものになった。

6回目、そして最後のオリンピックに出場した40歳の寺内は、東京2020での最後の演技を終えた後、仲間たちからスタンディングオベーションで称えられた。

決勝戦は7位に終わったが、友情と美徳に代表されるオリンピック精神を体現した功労者に、母国でふさわしい賛辞が贈られた。

寺内は「メダルを獲得できなかったのは残念ですが、スタンディングオベーションには本当に感謝しています」と通訳を介して語った。

「全く緊張しませんでした。ただ、オリンピックに夢中になっていました。その気持ちをどこかに置いておくべきだった」

ハロー・パリ2024

施廷懋や王涵ら伝説的なオリンピックチャンピオンがキャリアを終えようとしているため、中国は世代交代が進むかもしれない。

しかし、謝思埸、曹縁、陳艾森は、3年後の大会にも出場するだろう。

ケガの影響さえなければ、10代のオリンピック金メダリストである全紅嬋、陳芋汐、張家斉がパリ2024でタイトルを防衛する可能性は高い。

また、オレクシー・セレダからも目が離せない。

(2021 Getty Images)

Olympics.comで飛込のリプレイは見られる?

olympics.com/tokyo2020-replays で東京2020の飛込競技を振り返ろう。

次の大会は?

FINA/CNSG飛込ワールドシリーズは、10月1~3日にカザンで開催された後、モントリオール(10月8~10日)、武漢(10月29~31日)、珠海(11月5~7日)で開催される。

2021年の東京2020 飛込競技の全メダルリスト

個人

男子3m飛板飛込

金: 謝思埸(CHN)

銀: 王宗源(CHN)

銅:ジャック・ロアー(GB)

女子3m飛板飛込

金 :施廷懋(CHN)

銀:王涵(CHN)

銅:クリスタ・パーマー(USA)

男子10m高飛込

金:曹縁(CHN)

銀: 楊健(CHN)

銅:トム・デーリー(GB)

女子10m高飛込

金:全紅嬋(CHN)

銀:陳芋汐(CHN)

銅:メリッサ・ウー(AUS)

(2021 Getty Images)

シンクロナイズド

男子3m飛板飛込

金:謝思場/王宗源(CHN)

銀: アンドリュー・カポビアンコ/マイク・ヒクソン(USA)

銅:パトリック・ハウスディング/ラルス・リュディガー(GER)

女子3m飛板飛込

金:施廷懋/王涵(CHN)

銀:ジェニファー・アベル/メリッサ・シトリニボリュ(CAN)

銅:レナ・ヘンチェル/ティナ・プンツェル(GER)

男子10m高飛込

金:トム・デーリー/マティ・リー(GB)

銀:曹縁/陳艾森(CHN)

銅:アレクサンドル・ボンダル/ビクトル・ミニバエフ(ROC)

女子10m高飛込

金: 陳芋汐/張家斉(CHN)

銀:デレーニー・シュネル/ジェシカ・パラット(USA)

銅:ガブリエラ・アグンデス/アレハンドラ・オロスコ(MEX)

もっと見る