女子団体決勝競技を棄権した7月27日(火)、シモーネ・バイルズは「トレーニングしている時に、ツイスティが起きているのではないかって言われたの」と記者団に語った。
アメリカ代表のチームメイトであるジョーダン・チャイルズも、「かなり驚いた」とつけ加えた。
バイルズはメダルのかかった跳馬のラウンドで、2回転半ひねりの演技を予定していたが、1回転半に終った。その後、彼女は残りの種目を全て棄権。アメリカはスター選手を除いて構成しなおし、ROCに次ぐ銀メダルを獲得した。
ツイスティは、リオ2016以前から、そして2019年のシーズン前にも彼女が直面していた問題であった。
「2019年のはじめに、ひねりと宙返りのやり方を忘れてしまったの」と、バイルズは2020年1月にOlympic.comに語っている。
では、ツイスティとは一体何なのか? 我々は、バイルズの2016年のオリンピック チームメイトであったローリー・ヘルナンデスに、ツイスティとは何かを尋ねた。ヘルナンデスの説明によると、実際の演技と身体の区別が難しくなる現象のことで、とりわけ、ゆかや跳馬の種目で、ハイレベルな演技項目を行なっているときに陥ることがあるという。
「リズムが狂い、脳が半秒ほどステップを踏み外したような状態になり、それだけで技全体が狂ってしまうのです」とヘルナンデスは言う。「そうなってしまうと、修正するのに1秒はかかってしまいます」
元アメリカ ナショナルチームメンバーのアレア・フィネガンは、「私は11歳のときからツイスティを経験しています。競技中に起きたときの恐怖は、想像を遥かに超えたものです」と、ツイッターに投稿。
通常のトレーニング環境では、安全なフォームピットを使うことで、体操選手は自分の体が思い通りに反応することを何度も確認することで自信を得ている。
しかしオリンピックでは、トレーニング施設にフォームピットがない。
「東京には、このような問題を解決するための設備やマットが非常に限られており、ましてや1日で解決することはできません。自分の体をコントロールすることはできないのです。自分を追い詰めれば追い詰めるほど、事態は悪化していきます」と、フィネガンは説明している。
ヘルナンデスは、ツイスティが悪循環に陥ってしまうと、アスリートが高いレベルにいるはずの自分を疑う原因になると同調している。
「私も以前ツイスティになったことがあります。とても嫌でした。苦しいですよ。自分がそのような(高い)レベルのアスリートではなくなったと感じてしまうのです」