新種目トライアスロン混合リレーとは?

東京でオリンピックデビューを果たすトライアスロン混合リレーは、どんな種目なのか?この新種目をどう考えるべきか、そして最後まで目を離せないレースになりそうな理由を、選手とコーチに聞いた。

文: Olympic Channel
写真: Lukas Schulze

「速くて激しい」レースだというのが、オリンピック金メダリストのアリステア・ブラウンリーの意見だ。

2021年7月31日、トライアスロン混合リレー は東京2020でオリンピックデビューを果たし、大会で最も過酷とも言えるレースを繰り広げることになる。

オリンピックでは男女2人ずつの4人で構成される10チームが参加する。

90分以内に終わる短期決戦で、スピード、戦術、スタミナが求められる。

「混合リレーではアドレナリンが大量に出る。1人で走る時とは全然違う」

混合トライアスロンとは?

各選手はスイム300m、バイク8km、ラン2kmをこなす。リレーする際は次走者の手をタップする。

通常のタイムは90分以内で、各選手が20分前後奮闘する。

「男子と女子が一緒にレースをするのは素晴らしいことだと思う。速くて激しいレースだから、観客にとっても見ごたえたっぷり」だとブラウンリーは語る。

個人種目にはないプレッシャーもかかる。2018年と2020年の世界選手権を制したフランスのレオニー・ペリオーがTokyo 2020に説明してくれた。

「チーム精神がとても大事になる。混合リレーではアドレナリンが大量に出る。1人で走る時とは全然違う。1人で戦っているわけではなく、仲間のために限界を超えたいという気持ちになる」

「この、ちょっとした恐怖、自分がうまくやらないとチーム全部がダメになるという感覚…それが本当にスリリング!」

トライアスロンでは、国際レベルで実施されるリレーは混合リレーのみ。この種目は成功を重ね、国際競技の日程にしっかり定着した。

トライアスロン混合リレーはいつ始まった?

この比較的新しい種目が始まったのは2009年。初の世界選手権が開かれ、その後着実に人気を高めていった。

1年後のシンガポール2010ではユースオリンピックの正式種目として初採用された。

2014年には、ハンブルクでトライアスロン混合リレー世界選手権が初開催された。それから毎年ハンブルクでこの大会が開かれており、2016年の大会では約25万人の観客がコース沿いで声援を送った。

2021年の東京2020で夏季オリンピックデビューを果たす。

この種目の目新しいポイントは?

オリンピック史上最もジェンダーバランスのとれた大会の男女平等の要素をさらに強めるというだけでなく、トライアスロン混合リレーは「男女のアスリートを結束させる」とスペイン混合リレーチームのヘッドコーチ、イニャキ・アレナルはTokyo 2020に語っている。

アレナルによると、この種目は「いろんな競技が混ざっているためにさまざまな戦術が絡んでくる。そして何よりも、本当にスピード感があるので見ごたえがある」

そのさまざまな戦術に対応すべく、この新しい種目の課題に合わせて調整したトレーニング戦略が用いられている。

アレナルも、この点を踏まえて練習や代表のトレーニングキャンプを計画している。

「当然ながら、混合リレーに出場するには強さと速さを高める必要がある。だから練習のペースを変え、耐久性よりパワーを鍛えていかなければならない」とアレナルは語る。

選手がパワーをつける必要があるのは、個人のトライアスロンに比べてレース距離が大幅に短いから。個人だとスイム1.6km、バイク40km、ラン10kmという構成だ。

選手にとっては、この種目は挽回の好機となる。つまりメダル獲得にもう一度だけ挑戦できることになる。

「これまでチャンスは1回しかなかった」とブラウンリーは説明する。「負けたら終わりだった」

選手が全力を出し切るには、戦術面が大切になってくるとアレナルは言う。女子、男子、女子、男子という順番は決まっているものの、具体的にどの選手をどこに入れるかが極めて重要になる。

「順番どころか誰が走るかも、レースのだいぶ前ではわからない」とペリオーは言う。

「この順番はころころ変わる。いつも皆で集まり、互いに意見を言い合って順番を決める」

注目のチームは?

ここ3年、混合リレーはフランスの独壇場となっている。先週ハンブルクで行われたレースもフランスが制し、世界選手権3連覇、6年間で4度目の優勝を果たした。

東京2020でも優勝候補になると目されている。2019年に東京で行われたテストイベントでも勝利を収めた。

ペリオーのよれば、フランスの強さの秘密は質にムラがないことと団結力にある。

「私たちには弱点がまったくない」とペリオーは言い切る。

「メンバーはよく変わるが、いつも実力を出している。メンバーにムラがまったくなく、互いのことをとても良く知っている。それがフランス代表チームの強み。雰囲気が良く、いつも団結している」

ブラウンリー、そしてオリンピックで銀メダルと銀メダルを手にしている弟のジョニーを擁するイギリスも表彰台の頂点を狙う。

イギリスは2020年の世界選手権で3位に終わったが、兄アリステアは個人と混合リレーのダブル金メダル獲得に向けて意気込んでいる。

「イギリスのために2つの金メダルを絶対に取りたい」とブラウンリー兄弟の兄は語る。

もちろんアメリカも注目のチームだ。2017年と2020年の世界選手権では2位、2018年も3位に入っている。

いずれにしても、最初から最後までファンタスティックなレースになりそうだ。