パリ2024はクライメット・ポジティブなオリンピック、パラリンピック開催を約束
パリ2024の理事会は、本大会における気候変動問題への戦略を承認した。これによりパリ2024は、世界で初めて気候問題に積極的に貢献するオリンピックおよびパラリンピック大会となる。
今回の決定は、2030年以降のすべてのオリンピック競技大会を気候変動に配慮したイベントにし、2024年からIOCを気候変動問題に積極的に取り組む組織にするという公約を受けたものだ。
IOCのトーマス・バッハ会長は、「パリ2024は、オリンピックアジェンダ2020に完全に沿ったオリンピック競技大会の新しいモデルを実現する最初の大会となることでしょう」とコメント。「IOCは、パリ2024が、2024年に開催されるこの大会でクライメット・ポジティブ(気候変動への対策)を目指していることを大いに歓迎しています。これにより、あとに続く開催国もさらに速いペースでこの取り組みを進めていくことができます」
この戦略の一環として、パリ2024は、気候変動に関するパリ協定に沿ってCO2排出量を削減し、残留排出量を上回るオフセットを行い、その影響力を利用してカーボン排出に対する長期的な補償プロジェクトを展開していく。この戦略は、温室効果ガス排出の削減、気候変動問題に貢献するプロジェクトの支援、有益な影響を長期的に最大化するための関係者たちへの働きかけ、という3つの柱を基盤としている。
まずは削減から
パリ2024の第一の目的は、この大会開催に伴う温室効果ガスの排出を防ぎ、削減することにある。費用対効果に優れたコンパクトな会場コンセプト(パリ2024で使用される会場の95%は既存または仮設)、会場内のすべての活動における低炭素化の実施、すべての会場における再生可能エネルギーの使用、持続可能なケータリング計画、目的に沿ったデジタル計画、低炭素の仮設機材の使用、循環型経済の原則に則る、といった取り組みによって達成を目指す。
パリ2024では、大会に関連した排出量を過去の大会の50%に削減することを目指している。
気候変動対策プロジェクトへの支援
パリ2024は、気候変動対策の一環として、国外から訪れる観客の移動など、可能な限り広範における排出物を考慮していく。回避できない排出物はすべてオフセットすることに全力で取り組む。これらは、強力な「炭素吸収源」である森林や海洋を保護・回復するプロジェクトや、原始的な調理器具に依存している人々に優良なコンロを提供するといった気候への悪影響を回避するためのプロジェクトなど、五大陸全域でのCO2回避・回収プロジェクトを支援することで実現される。最初のオフセットプロジェクトは今年中に決定される予定だ。
さらにパリ2024は、気候変動への対応だけでなく、生物多様性の保護や市民の生活の質の向上など、その他の利益をももたらす地域プロジェクトの開発に貢献することで、生み出される排出量以上のオフセットを行う。
これを実現するために、パリ2024は各分野におけるすべての関係者を動員し、特にパリ市とイル・ド・フランス地域圏が独自に開発しているオフセットプログラムを積極的に活用していく。
関係者一丸となって
パリ2024では、この大会が地域レベルでの気候変動対策を加速させるプラットフォームとしての役割を果たし、すべての関係者が自らが排出するCO2量を削減できるように導くツールや方法論を共有していくことをミッションに掲げている。
例えば、
- 従業員が個人的および業務上でカーボンフットプリントを削減するのを助けるアプリ『Climate Coach』を立ち上げ。
- 物資調達についても、商業的パートナーとそのサプライヤーに対し、大会のために購入する物品100%にサステナビリティとカーボンニュートラル(気候中立)の基準を適用することを奨励。
- 2022年までに、スポーツイベント用にカスタマイズした『カーボンフットプリント計算機』を作成し、業界に提供する予定。
パリ2024は、IOCとともに国連とも協力し、国連の『Sports for Climate Action Framework(スポーツを通じた気候行動枠組み)』の一環である世界のスポーツ界の意識を高め、行動を喚起する国際的な活動にも取り組んでいる。フランスのスポーツ省と世界自然保護基金(WWF)による環境に配慮した15の誓約に署名しているパリ2024は、フランス国内のすべてのスポーツ関係者を結集させ、団結して活動していく。
国連のグローバル気候行動担当マネージャー、ニクラス・スヴェンニンセンは、次のように述べている。「パリ2024は、今回の新たな気候行動戦略を通じて、意欲的で包括的な気候行動の重要性について世界に向けて強いシグナルを発信しています。2015年に気候変動に関するパリ協定が採択されたこの都市が、史上初のクライメット・ポジティブのオリンピックの開催地となっていることは、リーダーシップの象徴だと言えるでしょう。パリ協定の目標を達成し、気候変動による最悪の影響を回避するため、世界の排出量を50%削減するのに残された時間は10年しかありません。本日、パリ2024の理事会は、2015年当時の精神が今も健在であることを示しました。気候変動への取り組みに、我々は成功すべきであり、成功することができ、そして成功する。この発表を歓迎し、パリ2024を祝福します!」