2021年に開催される**東京2020オリンピック競技大会の自転車競技は5つの種目に分かれ、そのうちの1つがロードレース**だ。
ロードレースは、1896年の第1回アテネ大会から実施されている長い歴史を持つ競技でもある。
今年のロードレースは山岳コースが多く、クライマーに有利なコースとなっているが、懸念は、ツール・ド・フランスが終了した1週間後に開催されることだ。ビッグネームが果たして出場するのか、その場合、調子はどうか、あるいは3週間かけてフランスを走破したあとで、タイムトライアルに十分なコンディションで臨めるのか。ここでは、そんなオリンピックの自転車ロードレースについて知っておくべきことをまとめた。
東京2020 自転車ロードレースの注目選手
山岳コースとなる2021年開催の東京大会でのロードレースでは、ツール・ド・フランスの有力選手たちに大きな課題が待ち受けている。スロベニアの**プリモシュ・ログリッチ、タデイ・ポガチャル、コロンビアのエガン・ベルナル、ミゲル・アンヘル・ロペス、ナイロ・キンタナ、スペインのエンリック・マス**など、グランツールでイエロージャージに挑むとされるクライマーたちは、ヨーロッパでの3週間にわたる過酷な戦いから、わずか1週間足らずの回復期間ののちに富士のコースに挑戦することになるからだ。
ツールをスキップする2018年ロードレース世界チャンピオンの**アレハンドロ・バルベルデは、プロ最後のシーズン、オリンピックを集大成に位置づけている。しかし、難易度の高いルートのため、ペーター・サガンや現世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ**のようなパンチャーには厳しい。
また、タイムトライアルで2度の銅メダルを獲得している**クリス・フルーム**は、東京大会のロードレースに挑戦するだけのベストコンディションを取り戻しているだろうか?
女子ではオランダ勢が伝統的に強豪で、過去4回のロードレース世界選手権を制し、2012年と2016年のオリンピックでも優勝している。ロンドン2012で優勝した**マリアンヌ・フォスや、ディフェンディングチャンピオンで今季限りで引退する予定のアンナ・ファン・デル・ブレッヘンに加え、アネミック・ファン・フルーテン**や、シャンタル・ファン・デル・ブルック=ブラークなど、今回も強力なチームを編成している。
彼女たちに挑む難敵は、アマンダ・スプラット(オーストラリア)、アシュリー・ムールマン・パシオ(南アフリカ)、エリサ・ロンゴ・ボルギーニ(イタリア)の3人だ。
平坦コースでのタイムトライアルのスペシャリストは、男子のタイムトライアルで予定されている計846mの獲得標高に難色を示すかもしれない。
その代わり、ログリッチやフルーム、あるいはタイムトライアルで2度の世界チャンピオンに輝き、オリンピックのトラックレースの銀メダリストでもある**ローハン・デニスのような選手たちが前方に出てくることを期待したい。若手の注目株であるベルギーのレムコ・イヴェネプールや、リオの銀メダリスト、オランダのトム・デュムラン**が無期限休養から復帰すれば、話題をさらうことになりそうだ。
女子の獲得標高は423mだが、ここでもオランダ勢が立ちはだかる。アメリカの**クロエ・ダイガート**が、2020年の世界選手権でのクラッシュの後、十分に回復していれば、彼女も有力候補となる。
東京2020 自転車ロードレース フォーマット
2021年に開催される東京2020の自転車競技は、男女ともそれぞれロードレースとタイムトライアルの2種目に分かれている。
一斉スタートによるロードレースには、男子130名(チームは最大5名まで)、女子67名(チームは最大4名まで)が参戦。
男子は234km、獲得標高4865m、女子は137km、獲得標高2692mのコースを走破する。男子は富士山と三国峠を登るコースを1周するが、女子は山伏トンネルと籠坂峠(男子も登る)のみとなっている。
個人タイムトライアルは、一定の間隔でスタートしてタイムを競う単独レースだ。男子は22.1kmのコースを2周、女子は1周する。
東京2020 での自転車ロードレース日程
自転車ロードレースは2021年7月24日から28日に行われる。男子は開会式の翌朝、女子はその翌日にスタート。
個人タイムトライアルは2021年7月28日。
時間はすべて日本標準時 (UTC +9時間)
2021年7月24日(土) 11:00 - 18:15
- 男子ロードレース
- 男子ロードレース表彰式
2021年7月25日(日) 13:00 - 17:35
- 女子ロードレース
- 女子ロードレース表彰式
2021年7月28日(水) 11:30 - 17:40
- 女子個人タイムトライアル
- 女子個人タイムトライアル表彰式
- 男子個人タイムトライアル
- 男子個人タイムトライアル表彰式
東京2020 自転車ロードレース会場
ロードレースは、東京の南西、富士山の麓に位置する富士スピードウェイを拠点に開催される。
男女ともに東京の東部にある武蔵野の森公園をスタートし、サーキットでゴールする。
個人タイムトライアルは、サーキットがスタートとゴール地点となっているが、周辺の田園地帯もコースに含まれている。
オリンピック競技としての歴史
ロードレースは、第1回アテネ大会で行われた後、1900年、1904年、1908年の大会では採用されず、1912年のストックホルム大会からは継続して行われている。
しかし女子ロードレースが行われたのは1984年のロサンゼルス大会からで、アトランタ1996からはタイムトライアルが導入された。
1964年の東京大会でのロードレースは、オリンピック史上最も接戦となった。このレースでは誰も逃げ切ることができず、上位99名の選手全員が優勝したマリオ・ツァニン(イタリア)からコンマ2秒以内のタイムでゴールした。後にツール・ド・フランスを5回制覇することになるエディ・メルクスは12位でこのレースを終えている。