【バトミントン】世界選手権2022が東京で開幕…日本勢はTokyo2020のリベンジとなるメダルラッシュを狙う

バトミントンの世界一決定戦「第27回世界バドミントン選手権大会2022」が8月22日より、東京体育館で開催。Tokyo2020ではオリンピック日本勢史上初となる混合ダブルスでの銅メダルを獲得し、世界選手権3大会連続でメダルを狙う「わたがしペア」こと渡辺勇大/東野有紗、大会連覇を狙う女子シングルスの山口茜、男子ダブルスの保木卓朗/小林優吾、2大会ぶりの優勝を狙う男子シングルスの桃田賢斗らが出場する。

1 執筆者 マンティー・チダ
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(Getty Images)

◆『わたがし』ペアが再び日本を沸かせるか

2019年に銅メダル、2020年には銀メダルと2大会連続でメダル獲得している渡辺/東野。Tokyo2020では混合ダブルス史上初のメダル獲得となり、日本国内を大いに沸かせた。世界ランキング3位の渡辺/東野は第3シードに入り、悲願の金メダル獲得へ狙いを定めている。

Tokyo2020では中国の2ペアに次ぐ銅メダルに輝いたが、この1年でさらなる強敵が現れた。渡辺/東野は2021年10月に行われたデンマークオープンと、フランスオープンで優勝。だが11月のインドネシアマスターズでは、香港のタン・チュンマン/ツェ・インスェットに、1週間後のインドネシアオープンでは、タイのデチャポン・プアヴァラヌクロー/サプシリー・タエラッタナチャイに敗れた。

タイペアにはBWFワールドツアーファイナルズ、前回の世界選手権と連敗を喫している。お互い勝ち上がれば準決勝で顔を合わせるため、このペアに勝利できるかがカギだろう。

高橋礼華と長年ペアを組み、2016年リオデジャネイロ2016女子ダブルス金メダルを獲得した松友美佐紀は、金子祐樹とのペアで混合ダブルスに出場する。第12シードに入った金子/松友ペアがどこまで勝ち上がるのかにも注目をしたい。

◆最強の布陣で頂点を狙う女子ダブルス

女子ダブルス日本勢はTokyo2020でメダルを獲得できなかったが、今大会では出場するすべてのペアがシードに名を連ねるなど、まさに最強の布陣と言っても過言ではない。

第2シードに入った福島由紀/廣田彩花。Tokyo2020ではメダルを有力視されていたが、準々決勝で銀メダルのチェン・チンチェン/ジア・イファン(中国)に敗戦。廣田は大会前に右膝前十字靭帯を痛めており、本来の調子から程遠い状態だった。2022年を迎えて廣田が戦列に復帰したものの、国際大会ではタイオープンとマレーシアマスターズのベスト8が最高。廣田のコンディションがどこまで戻っているのか。上位に食い込むためにも、「自分たちらしい試合」を展開したい。

第6シードの永原和可那/松本麻佑も、Tokyo2020では準決勝進出を逃した。2018年と2019年では大会連覇を果たしたものの、前回大会では準決勝でチンチェン/イファンに敗れ銅メダル。今年の国際大会では上位に顔を出すものの、優勝はできていない。中国勢や韓国勢に加えて、マレーシア勢も躍進しているだけに、地元開催というアドバンテージを生かして2大会ぶりの優勝を狙いたい。

Tokyo2020以降大きく成長を果たしているのが、今大会第5シードの『シダマツ』こと、志田千陽/松山奈未。2021年9月のスディルマンカップでは日本の準優勝に貢献すると、11月に行われたインドネシアの国際大会では2大会連続で優勝。2022年に入っても全英オープン、タイオープンの2大会を制するなど、勢いは増している。マレーシアマスターズの決勝では、チンチェン/イファンに敗れているだけに、メダル獲得のためには中国勢に勝つことが必須条件となりそうだ。

◆大会連覇を狙う山口茜と4大会ぶりの優勝を目指す奥原希望

女子シングルスでは、山口茜と奥原希望のダブルエースに期待。山口は、前回大会を制したものの、Tokyo2020では第1シードに入りながらベスト8止まりだった。

今大会第1シードに入った山口は3月の全英オープンで優勝としているものの、タイオープンではTokyo2020準々決勝で敗れたP.V.シンドゥ(インド)、マレーシアの2大会では、グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)に敗戦。初戦となる2回戦ではグレゴリア・マリスカ・トゥンジュンと顔を合わせる可能性が高い。大会連覇へ、同じ相手に敗れるわけにはいかない。

もう1人のエース、奥原は今年の国際大会ではベスト8が最高。Tokyo2020以降は負傷にも悩まされてきたが、2017年以来4大会ぶりの制覇を狙う。「最近、久しぶりにバトミントンを楽しいと思えるようになってきた」と大会前に話す奥原。リオデジャネイロ2016銅メダリストでもある奥原が、復活の足掛かりをつかむことができるのかに注目だ。

※奥原希望は8月19日に出場辞退が発表された。

◆世界一の保木卓朗/小林優吾ペア、インドネシア勢との戦いがカギ

男子ダブルスは、保木卓朗/小林優吾が大会連覇に挑む。Tokyo2020出場は叶わなかったものの、2019年大会で銀メダルに輝き、前回大会でも日本勢初の男子ダブルス金メダルを獲得。ツアー大会の「ワールドシリーズ」でも年間チャンピオンとなり、文字通り世界一の男子ダブルスペアとなった。

男子ダブルス日本勢はこれまで上位に顔を出すことはあっても、世界一を期待できるペアはなかなか現れなかった。インドネシアペアのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョに次ぎ、世界ランキング2位の保木/小林。今大会のみならず、2年後のパリ2024の金メダルを見据えた戦いに期待が持てる。

保木/小林ペアの強敵となりそうなのがインドネシア勢だ。2021年11月のインドネシアオープン決勝で敗れたギデオン/スカムルジョ、3月の全英オープン準々決勝で敗れたムハンマド・ショヒブル・フィクリ/バガス・マウラナ。前者は第1シードのため決勝まで顔を合わせることはないが、後者は3回戦で対戦する可能性があるため、連覇を目指すためには最初の関門となりそう。攻撃型のプレースタイルを貫くことで、連覇の道は開けるだろう。

◆桃田賢斗が東京でリベンジを果たせるか

最後は男子シングルス。2018年と2019年に連覇を達成した桃田賢斗の活躍に期待だ。

昨年のインドネシアマスターズ以来優勝から遠ざかっているものの、現在の世界ランクは2位で第2シードとして今大会に臨む。2022年のマレーシアオープンでは決勝まで進出したものの、「最近は本当にもやもやした試合が多かったというか、自分の中でも納得いかない試合がすごく多かった」とコメント。「ホームで応援を体いっぱいに感じながらプレーをしたい」という桃田は、日本のファンから大声援を受け、Tokyo2020でメダルを獲れなかったリベンジを果たすための戦いに挑む。

Tokyo2020オリンピックではメダルラッシュが期待されたものの、日本は混合ダブルスの銅メダル1個に終わった。そのリベンジとも言える、東京での世界選手権日本代表選手は以下の通り。

◆日本代表

<男子シングルス>

  • 桃田賢斗

  • 常山幹太

  • 西本拳太

  • 奈良岡功大

<女子シングルス>

  • 山口茜

  • 奥原希望

  • 髙橋沙也加

  • 大堀彩

<男子ダブルス>

  • 保木卓朗/小林優吾

  • 古賀輝/齋藤太一

  • 竹内義憲/松居圭一郎

  • 岡村洋輝/小野寺雅之

<女子ダブルス>

  • 福島由紀/廣田彩花

  • 永原和可那/松本麻佑

  • 志田千陽/松山奈未

  • 中西貴映/岩永鈴

<混合ダブルス>

  • 渡辺勇大/東野有紗
  • 金子祐樹/松友美佐紀
  • 山下恭平/篠谷菜留
  • 緑川大輝/齋藤夏
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