◆『わたがし』ペアが再び日本を沸かせるか
2019年に銅メダル、2020年には銀メダルと2大会連続でメダル獲得している渡辺/東野。Tokyo2020では混合ダブルス史上初のメダル獲得となり、日本国内を大いに沸かせた。世界ランキング3位の渡辺/東野は第3シードに入り、悲願の金メダル獲得へ狙いを定めている。
Tokyo2020では中国の2ペアに次ぐ銅メダルに輝いたが、この1年でさらなる強敵が現れた。渡辺/東野は2021年10月に行われたデンマークオープンと、フランスオープンで優勝。だが11月のインドネシアマスターズでは、香港のタン・チュンマン/ツェ・インスェットに、1週間後のインドネシアオープンでは、タイのデチャポン・プアヴァラヌクロー/サプシリー・タエラッタナチャイに敗れた。
タイペアにはBWFワールドツアーファイナルズ、前回の世界選手権と連敗を喫している。お互い勝ち上がれば準決勝で顔を合わせるため、このペアに勝利できるかがカギだろう。
高橋礼華と長年ペアを組み、2016年リオデジャネイロ2016女子ダブルス金メダルを獲得した松友美佐紀は、金子祐樹とのペアで混合ダブルスに出場する。第12シードに入った金子/松友ペアがどこまで勝ち上がるのかにも注目をしたい。
◆最強の布陣で頂点を狙う女子ダブルス
女子ダブルス日本勢はTokyo2020でメダルを獲得できなかったが、今大会では出場するすべてのペアがシードに名を連ねるなど、まさに最強の布陣と言っても過言ではない。
第2シードに入った福島由紀/廣田彩花。Tokyo2020ではメダルを有力視されていたが、準々決勝で銀メダルのチェン・チンチェン/ジア・イファン(中国)に敗戦。廣田は大会前に右膝前十字靭帯を痛めており、本来の調子から程遠い状態だった。2022年を迎えて廣田が戦列に復帰したものの、国際大会ではタイオープンとマレーシアマスターズのベスト8が最高。廣田のコンディションがどこまで戻っているのか。上位に食い込むためにも、「自分たちらしい試合」を展開したい。
第6シードの永原和可那/松本麻佑も、Tokyo2020では準決勝進出を逃した。2018年と2019年では大会連覇を果たしたものの、前回大会では準決勝でチンチェン/イファンに敗れ銅メダル。今年の国際大会では上位に顔を出すものの、優勝はできていない。中国勢や韓国勢に加えて、マレーシア勢も躍進しているだけに、地元開催というアドバンテージを生かして2大会ぶりの優勝を狙いたい。
Tokyo2020以降大きく成長を果たしているのが、今大会第5シードの『シダマツ』こと、志田千陽/松山奈未。2021年9月のスディルマンカップでは日本の準優勝に貢献すると、11月に行われたインドネシアの国際大会では2大会連続で優勝。2022年に入っても全英オープン、タイオープンの2大会を制するなど、勢いは増している。マレーシアマスターズの決勝では、チンチェン/イファンに敗れているだけに、メダル獲得のためには中国勢に勝つことが必須条件となりそうだ。
◆大会連覇を狙う山口茜と4大会ぶりの優勝を目指す奥原希望
女子シングルスでは、山口茜と奥原希望のダブルエースに期待。山口は、前回大会を制したものの、Tokyo2020では第1シードに入りながらベスト8止まりだった。
今大会第1シードに入った山口は3月の全英オープンで優勝としているものの、タイオープンではTokyo2020準々決勝で敗れたP.V.シンドゥ(インド)、マレーシアの2大会では、グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)に敗戦。初戦となる2回戦ではグレゴリア・マリスカ・トゥンジュンと顔を合わせる可能性が高い。大会連覇へ、同じ相手に敗れるわけにはいかない。
もう1人のエース、奥原は今年の国際大会ではベスト8が最高。Tokyo2020以降は負傷にも悩まされてきたが、2017年以来4大会ぶりの制覇を狙う。「最近、久しぶりにバトミントンを楽しいと思えるようになってきた」と大会前に話す奥原。リオデジャネイロ2016銅メダリストでもある奥原が、復活の足掛かりをつかむことができるのかに注目だ。
※奥原希望は8月19日に出場辞退が発表された。
◆世界一の保木卓朗/小林優吾ペア、インドネシア勢との戦いがカギ
男子ダブルスは、保木卓朗/小林優吾が大会連覇に挑む。Tokyo2020出場は叶わなかったものの、2019年大会で銀メダルに輝き、前回大会でも日本勢初の男子ダブルス金メダルを獲得。ツアー大会の「ワールドシリーズ」でも年間チャンピオンとなり、文字通り世界一の男子ダブルスペアとなった。
男子ダブルス日本勢はこれまで上位に顔を出すことはあっても、世界一を期待できるペアはなかなか現れなかった。インドネシアペアのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョに次ぎ、世界ランキング2位の保木/小林。今大会のみならず、2年後のパリ2024の金メダルを見据えた戦いに期待が持てる。
保木/小林ペアの強敵となりそうなのがインドネシア勢だ。2021年11月のインドネシアオープン決勝で敗れたギデオン/スカムルジョ、3月の全英オープン準々決勝で敗れたムハンマド・ショヒブル・フィクリ/バガス・マウラナ。前者は第1シードのため決勝まで顔を合わせることはないが、後者は3回戦で対戦する可能性があるため、連覇を目指すためには最初の関門となりそう。攻撃型のプレースタイルを貫くことで、連覇の道は開けるだろう。
◆桃田賢斗が東京でリベンジを果たせるか
最後は男子シングルス。2018年と2019年に連覇を達成した桃田賢斗の活躍に期待だ。
昨年のインドネシアマスターズ以来優勝から遠ざかっているものの、現在の世界ランクは2位で第2シードとして今大会に臨む。2022年のマレーシアオープンでは決勝まで進出したものの、「最近は本当にもやもやした試合が多かったというか、自分の中でも納得いかない試合がすごく多かった」とコメント。「ホームで応援を体いっぱいに感じながらプレーをしたい」という桃田は、日本のファンから大声援を受け、Tokyo2020でメダルを獲れなかったリベンジを果たすための戦いに挑む。
Tokyo2020オリンピックではメダルラッシュが期待されたものの、日本は混合ダブルスの銅メダル1個に終わった。そのリベンジとも言える、東京での世界選手権日本代表選手は以下の通り。
◆日本代表
<男子シングルス>
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桃田賢斗
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常山幹太
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西本拳太
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奈良岡功大
<女子シングルス>
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山口茜
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奥原希望
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髙橋沙也加
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大堀彩
<男子ダブルス>
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保木卓朗/小林優吾
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古賀輝/齋藤太一
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竹内義憲/松居圭一郎
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岡村洋輝/小野寺雅之
<女子ダブルス>
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福島由紀/廣田彩花
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永原和可那/松本麻佑
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志田千陽/松山奈未
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中西貴映/岩永鈴
<混合ダブルス>
- 渡辺勇大/東野有紗
- 金子祐樹/松友美佐紀
- 山下恭平/篠谷菜留
- 緑川大輝/齋藤夏