8月31日に開幕した「FIBAバスケットボール・ワールドカップ」。地区ごとの予選を勝ち抜いた32カ国がバスケ世界一を目指すこの大会に、日本代表"アカツキファイブ"は今回21年ぶりに自力での出場を決めた。今大会はNBAでプレーする八村塁、渡邊雄太に加え、昨年、日本国籍を取得したニック・ファジーカスも参戦。1次ラウンドを3連敗で敗退した日本代表だが、まだ終われない。順位決定ラウンドで少しでも高い位置を目指す。来年のTokyo 2020(東京オリンピック)に向けて、日本が世界の舞台でどこまで戦えるのかに大きな期待がかかる。
バスケ日本代表"アカツキファイブ"の試合日程と結果
ワールドカップ本戦で日本代表が出場する試合と、それに先駆けて行われる親善試合の試合日程・結果は下記の通り(すべて日本時間)。
国際親善試合
8月12日(千葉ポートアリーナ)
○ 日本代表 99 – 89 ニュージーランド代表(世界ランク38位)
8月14日(カルッツかわさき)
● 日本代表 87 - 104 ニュージーランド代表
8月22日(木)19:00試合開始(さいたまスーパーアリーナ)
● 日本代表 93 - 108 アルゼンチン代表(世界ランク5位)
8月24日(土)15:00試合開始(さいたまスーパーアリーナ)
○ 日本代表 86 - 83 ドイツ代表(世界ランク22位)
8月25日(日)15:00試合開始(さいたまスーパーアリーナ)
● 日本代表 76 - 78 チュニジア代表(世界ランク51位)
FIBAバスケットボール・ワールドカップ
一次ラウンド
9月1日(日)17:30試合開始
● 日本代表 67- 86 トルコ代表(世界ランク17位)
9月3日(火)17:30試合開始
● 日本代表 76 - 89 チェコ代表(世界ランク24位)
9月5日(木)21:30試合開始
● 日本代表 45 - 98 アメリカ代表(世界ランク1位)
17位 - 32位順位決定戦
9月7日(土)16:30試合開始
● 日本代表 81 - 111 ニュージーランド代表(世界ランク38位)
9月9日(月)16:30試合開始
● 日本代表 65 - 80 モンテネグロ代表(世界ランク28位)
バスケ日本代表戦の放送予定
※時間はすべて日本時間
<国際親善試合>
8月22日(木)19:00 試合開始 vs アルゼンチン
8月24日(土)15:10 試合開始 vs ドイツ
8月25日(日)15:00試合開始 vs チュニジア
<ワールドカップ本大会・1次ラウンド>
9月1日(日)17:30試合開始 vs トルコ
9月3日(火)17:30試合開始 vs チェコ
9月5日(木)21:30試合開始 vs アメリカ
<ワールドカップ本大会・17位 - 32位順位決定ラウンド>
9月7日(土)16:30試合開始 vs ニュージーランド
9月9日(月)16:30試合開始 vs モンテネグロ
日本代表"Akatsuki Five"メンバー
PG 3 安藤誓哉(アルバルク東京)
アジア地区2次予選:招集なし
SG 6 比江島 慎(宇都宮ブレックス)
アジア地区2次予選;12試合 290分出場 166得点
PG 7 篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)
アジア地区2次予選:12試合 211分出場 41得点
SF 8 八村 塁(ワシントン・ウィザーズ/アメリカ)
アジア地区2次予選:4試合 122分出場 86得点
PF 10 竹内公輔(宇都宮ブレックス)
アジア地区2次予選:3試合 25分出場 6得点
SF 12 渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ/アメリカ)
アジア地区2次予選:2試合 59分出場 35得点
SG 13 安藤周人(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
アジア地区2次予選:招集なし
PF 15 竹内譲次(アルバルク東京)
アジア地区2次予選:12試合 238分出場 72得点
SF 18 馬場雄大(アルバルク東京)
アジア地区2次予選:10試合 225分出場 84得点
C 22 ファジーカス・ニック(川崎ブレイブサンダース)
アジア地区2次予選:6試合 186分出場 163得点
SG 24 田中大貴(アルバルク東京)
アジア地区2次予選:12試合 273分出場 86得点
C 32 シェーファー・アヴィ・幸樹(滋賀レイクスターズ)
アジア地区2次予選:招集なし
※PG=ポイントガード、SG=シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF=パワーフォワード、C=センター
日本代表注目選手
NBAで活躍する選手らも加わり、まさに日本版「ドリームチーム」と言っても過言ではない現在の男子バスケ日本代表。その中から、特に注目の選手を5人紹介する。
八村塁(ワシントン・ウィザーズ)
2019年のNBAドラフトにて、全体9位で指名されワシントン・ウィザーズに入団。日本人が1巡目指名されるのは史上初の快挙だった。7月に開催された若手選手らの登竜門「NBAサマーリーグ」では1試合平均31.7分出場、19.3得点7リバウンドをマーク。8月22日に行われた国際親善試合では、世界5位の強豪アルゼンチン相手に両チーム最多の23得点を決めた。体調面から17位 - 32位順位決定戦は欠場する。
渡邊雄太(メンフィス・ハッスル / メンフィス・グリズリーズ)
NBA傘下Gリーグチームのメンフィス・ハッスルに所属しながら、期限つきでNBAでもプレーできる「ツーウェイ契約」をメンフィス・グリズリーズと締結。2018-19シーズンはNBAの15試合に出場した。8月初旬に行われた代表合宿で足首を痛めて以降出場時間が制限されていたが、8月24日、国際親善試合のドイツ戦では20得点6リバウンドの活躍で八村と共に勝利を牽引するなど、本来の姿を取り戻しつつあるようだ。
ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)
Bリーグきってのスコアラーの一人。2007年のNBAドラフトでダラス・マーベリックスに2巡目指名され、NBA入り。ロサンゼルス・クリッパーズを経てベルギー、フランス、フィリピンのリーグ等を経験した後、12年に東芝ブレイブサンダース(現川崎)に入団。同年から3年連続で得点王を受賞し、「Bリーグ」開始初年度の2016-17年シーズンにはMVPにも輝いた。2018年に日本国籍を取得し、代表入りを果たした。
馬場雄大(アルバルク東京)
2017年、筑波大学に在学しながらアルバルク東京と契約し、その年の新人賞を受賞。2018-19シーズンはチームの2連覇に貢献、ファイナルMVPも獲得している。今夏のNBAサマーリーグでは、ダラス・マーベリックスの一員として4試合に出場し、一試合平均12分出場、4得点2.3リバウンドという成績を残した。今回の国際親善試合では、5戦中4戦で2桁得点(うち、アルゼンチン戦では17得点と八村に次ぐチーム2位)をマークと好調だ。
田中大貴(アルバルク東京)
国内随一のオールラウンダー。2012年代表入り、2014年にアルバルク東京入団。5月に開催されたBリーグの年間表彰式では、レギュラーシーズンのベストファイブに3年連続で選出された。本来はシューティングガードだが、ケガで代表からの離脱を余儀なくされた冨樫勇樹の不在や高さのある相手に対応するため、今親善試合からポイントガードとしても起用されている。
日本の1次ラウンド対戦相手3か国チェック:注目選手は?
W杯1次リーグで、日本は「グループE」に属するトルコ、チェコ、アメリカとの総当たり戦で各国と1戦ずつ戦う。それぞれの特徴と、注目選手をまとめた。
トルコ代表
FIBAランキング17位で、2002年から5大会連続でワールドカップに出場。自国開催された2010年大会ではアメリカ代表との決勝を争い、銀メダルを獲得した強豪。
NBAに所属している選手は、ベテランのエルサン・イルヤソバ(バックス)、セディ・オスマン(キャバリアーズ)と、フルカン・コルクマツ(76ers)。コルクマツは2016-17シーズンにトルコのチーム、バンビットに所属し、FIBAヨーロッパが主催する欧州の男子バスケットボールリーグ「バスケットボール・チャンピオンズリーグ」で準優勝、最優秀若手選手賞を受賞。NBAドラフトで全体26位指名され、2017年に76ersに加入した。
チェコ代表
FIBAランキング24位で、今大会がワールドカップ初出場となる。
今夏、NBAウィザーズからブルズに移籍し、昨シーズンは1試合平均27.1分の出場で8.9得点5アシストをマークしたトーマス・サトランスキーや、トルコのクラブ、フェネルバフチェでプレーし、欧州最高峰のバスケットボールリーグ「ユーロリーグ」で2018-19シーズンMVPを獲得したヤン・ヴェセリーを擁する。ヴェセリーは過去にNBAウィザーズやナゲッツでプレーした経験も持つ。
2016年のリオ五輪出場をかけた世界最終予選にて、71 – 87でチェコに敗れた日本。今大会で、雪辱を果たすことができるか?
アメリカ代表
FIBAランキング1位で、言わずと知れた世界一のバスケ強豪国。直近2大会を含む、世界最多5回の優勝を誇る。
スパーズを過去5度の優勝に導いたグレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)が率いる今年の代表チームは、早々にジェームズ・ハーデン(ロケッツ)やアンソニー・デイビス(レイカーズ)らスター選手が辞退を表明したが、ケンバ・ウォーカー(セルティックス)、クリス・ミドルトン(バックス)、ブルック・ロペス(バックス)らオールスター出場選手や、昨シーズン1試合平均23.8得点をマークした若手屈指の実力者、ドノバン・ミッチェル(ジャズ)などが名を連ねている。
バスケットボール・ワールドカップ2019組み合わせ
グループA
コートジボワール(世界ランク64位)
ポーランド(世界ランク25位)
ベネズエラ(世界ランク20位)
中国(世界ランク30位)
グループB
ロシア(世界ランク10位)
アルゼンチン(世界ランク5位)
韓国(世界ランク32位)
ナイジェリア(世界ランク33位)
グループC
スペイン(世界ランク2位)
イラン(世界ランク27位)
プエルトリコ(世界ランク16位)
チュニジア(世界ランク51位)
グループD
アンゴラ(世界ランク39位)
フィリピン(世界ランク31位)
イタリア(世界ランク13位)
セルビア(世界ランク4位)
グループE
トルコ(世界ランク17位)
チェコ(世界ランク24位)
アメリカ(世界ランク1位)
日本(世界ランク48位)
グループF
ギリシャ(世界ランク8位)
ニュージーランド(世界ランク38位)
ブラジル(世界ランク12位)
モンテネグロ(世界ランク42位)
グループG
ドミニカ共和国(世界ランク18位)
フランス(世界ランク3位)
ドイツ(世界ランク22位)
ヨルダン(世界ランク49位)
グループH
カナダ(世界ランク23位)
セネガル(世界ランク37位)
リトアニア(世界ランク6位)
オーストラリア(世界ランク11位)
バスケットボール・ワールドカップとは?
FIBA(国際バスケットボール連盟)が主催する「バスケットボール・ワールドカップ」は、世界一を決する4年に1度の大舞台。今回は中国で8月31日から9月15日にかけて開催される。
参加国は32カ国。開催国枠で出場する中国と、アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパの4地区に分けて行われた地区予選を勝ち抜いた国だけが出場を許される。
本戦では、まず4カ国ずつの8グループに分かれ、1次ラウンドの総当たり戦を行う。各グループ上位2位までに入った16チームが、2次ラウンドへ進出する。2次ラウンドでは各4チーム4グループに分かれた総当たり戦を戦い、上位2位に入った8チームで決勝トーナメントを行うという競技方法が取られている。
1次ラウンド:32チーム(4チーム×8グループ)が参加。各グループ上位2チーム、計16チームが2次ラウンドへ進出
2次ラウンド:16チーム(4チーム×2グループ)が参加。各グループ上位2チーム、計8チームがノックアウト形式の決勝ラウンドへ進出。
決勝ラウンド:8チームによるトーナメント形式。
FIBAランキング48位の日本代表は「グループE」に属し、同17位のトルコ、同24位のチェコ、そしてまさに世界一の強豪である同1位のアメリカと一次ラウンドを争う。
本大会に先駆け、日本代表は国内で国際親善試合を5試合開催。8月12日に行われたニュージーランド代表との初戦は日本が99 – 89と勝利したが、14日に行われた同国との2戦目は87 – 104で敗れている。22日にはFIBAランク5位の強豪アルゼンチンと戦い、24日のドイツ戦(同22位)、25日のチュニジア戦(同51位)を経て、本大会へを向かう。
W杯出場までの日本代表の歩み&過去の成績
さいたま市で開催された2006年大会(当時は世界選手権)に開催国枠で参加して以来、3大会ぶりのW杯出場となった日本代表。予選を勝ち抜いて自力で出場権を獲得したのは実に21年ぶり。遡ること1963年大会で最下位となって以降、1967年、1998年、2006年と4回出場しているが、そのすべてで下位に沈んだ。
1963年 リオデジャネイロ大会 13位
1967年 ウルグアイ大会 11位
1998年 アテネ大会 14位/16か国
2006年 日本大会 20位/24か国
その日本代表が、今年は大きく変化した。W杯本戦出場をかけたアジア地区1次予選では初戦から4連敗と後がない状況に追い込まれたが、5戦目、FIBAランク11位の強豪オーストラリア戦から八村とファジーカスが参戦し、79 – 78という苦しい戦いを制した。
そこから流れが一変。続く台湾に圧勝して進んだ2次予選の初戦ではファジーカスがケガで離脱したが、この試合から今度は渡邊が参戦し、カザフスタンに勝利。その後も白星を重ねた日本は、アメリカに戻った八村と渡邊を欠いた状態でも格上イランを破るなどして国内組も爆発。見事8連勝を上げ、2月、ついにW杯出場を決めた。
アジア地区2次予選 グループF 2位(8勝4敗)
アジア地区1次予選 グループB 3位(2勝4敗)