2020年は体育の日が「スポーツの日」に。 日付は?変更の理由は?
東京五輪の1年程度延期による影響は? 【2020年11月27日追記】
■東京五輪の1年程度延期による影響は?
【2020年3月26日追記】
2020年3月25日午後に行われた内閣官房長官記者会見で、菅義偉官房長官は2020年の「スポーツの日」に関する質問に答えた。
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法により、2020年は例外的に、7月23日(東京五輪開会式前日)が「海の日」、7月24日(開会式当日)が「スポーツの日」、8月10日(閉会式翌日)が「山の日」になると定められた。しかし2020年3月25日、Tokyo 2020(東京五輪)は1年程度延期されることが決定。東京五輪延期の決定に伴い、オリパラ特措法の見直しを行うのかと、フジテレビの記者が質問を行った。
これに対して菅官房長官は、2020年の祝日を元に戻すのか、2021年もオリンピック・パラリンピックに対応して日付を変更するのかを含め、「大会延期に伴う調整の中で、関係者の意見をうかがいながら検討していきたい」と回答している。
【2020年11月27日追記】
2020年11月27日、第203回国会(臨時会)参議院本会議にて「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律案」が可決、成立。2021年の「海の日」(7月の第3月曜日)を開会式前日の7月22日に、「スポーツの日」(10月の第2月曜日)を開会式当日の7月23日に、「山の日」(8月11日)を閉会式当日の8月8日に移すことが決まった。
■体育の日とは?
体育の日は「国民の祝日に関する法律」、通称・祝日法が定める「国民の祝日」の1つだ。「国民の祝日」は休日となるが、体育の日に関しては「十月の第二月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」と定められている。
なお「国民の祝日」については「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め」るとしている。
■「体育の日」の由来・歴史など
「国民の祝日に関する法律」が施行されたのは1948年7月20日だが、この時点で「体育の日」は定められていなかった。体育の日が国民の祝日となったのは、1966年のこと。同年6月25日に公布された「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」により、制定されたのだ。
現在の「体育の日」は「十月の第二月曜日」と定められているが、制定された当初は「十月十日」に定められていた。体育の日が10月の第2月曜日となったのは、2000年から。これは1998年にできた「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」、いわゆる「ハッピーマンデー制度」の導入である。
国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(昭和41年法律第86号)
国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(平成10年法律第141号)
現在では「十月の第二月曜日」となっている体育の日だが、そもそも1966年というタイミングで、なぜ10月10日に定められたのだろうか。これは前回・東京オリンピックと関係している。1964年に開催された東京五輪の開会式が10月10日だったため、これを記念して定められたのだ。1966年の総理府総務副長官・文部事務次官通達にも、以下のように記されている。
一〇月一〇日を体育の日としたのは、昭和三九年に開催されたオリンピツク東京大会の輝かしい成果とその感激を記念し、これによつて体育の重要性について認識を深める意味でその開会式の日を選んだのである。
上記の通達には気になる一文がある。
「スポーツの日」は「体育の日」と改められました。
ここに出てくる「スポーツの日」は、1961年に定まれてた「スポーツ振興法」に、「国民の間にひろくスポーツについての理解と関心を深めるとともに積極的にスポーツをする意欲を高揚するため、スポーツの日を設ける」と記されたものである。スポーツの日は10月の第1土曜日に定められていたものの「国民の祝日」ではなかった。もともとあった「スポーツの日」と「体育の日」は日付も近かったため、「体育の日」に趣旨が継承されることになったのだ。
■2020年は体育の日が「スポーツの日」になる
体育の日が10月の第2月曜日となってから19年。すっかり定着した印象だが、2018年に再び法律が改正される。2018年6月20日に公布された「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」により、「体育の日」が「スポーツの日」と改められたのだ。さらに、その意義も「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」に変更となった。
この法律が施行されるのは平成32年1月1日、つまり2020年から「体育の日」は「スポーツの日」となるのだ。
■スポーツの日は何月何日?
「スポーツの日」は「体育の日」から名称が変わっただけなので10月の第2月曜日、つまり2020年10月12日が最初の「スポーツの日」になる……と思われるかもしれないが、2020年に関しては間違っている。正解は7月24日、Tokyo 2020(東京五輪)の開会式が行われる日となる。
これは2018年6月20日に公布された「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律」によるもの。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な準備及び運営に資するため、「国民の祝日に関する法律」の特例が設けられたのだ。
■日付と名前が変わる理由
2020年は特別措置法により例外的に、7月24日が「スポーツの日」となるが、それ以外にも7月23日が「海の日」、8月10日が「山の日」となることが決まっている。これらは、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な運営を実現するための変更とされる。7月23日は東京五輪開会式の前日、8月10日は東京五輪閉会式の翌日となる。「スポーツの日」は東京五輪開会式の日となるが、これは「体育の日」が制定された由来にも通じている。「体育の日」はもともと、1964年東京五輪の開会式が開催された10月10日だったため、今回の変更は、その趣旨に添ったものだといえる。
さて2020年から「体育の日」は「スポーツの日」となるが、その名称だけでなく、趣旨に関する文言も変更される。「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」から「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」。こうした背景には、スポーツ振興法を全面的に改正したスポーツ基本法(2011年)など、従来の「体育」と「スポーツ」の違いが意識されるようになった潮流がある。
■2021年以降はどうなる?
2020年は、7月24日が「スポーツの日」だったが、これは東京五輪開催による例外的な措置。そのため、2021年からは、従来通り10月の第2月曜日が祝日となる。従来通りの「スポーツの日」は、2021年10月11日が最初ということになりそうだ。
【2020年11月27日追記】
東京オリンピック・パラリンピックの1年程度延期により、いわゆる改正オリパラ特措法が成立。2021年の「スポーツの日」は7月23日となった。従来通り、10月の第2月曜日となるのは、2022年以降となる。