開幕まで約3か月に迫ったTokyo2020(東京五輪)。卓球は7月24日から8月6日まで、東京体育館にて開催される。日本女子は伊藤美誠(スターツ)、石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)の3名が代表となっており、メダル獲得が期待されている。出場種目は下記の通りとなる。
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女子団体:伊藤美誠、石川佳純、平野美宇
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女子シングルス:伊藤美誠、石川佳純
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混合ダブルス:伊藤美誠(水谷隼とのペア)
ここでは伊藤美誠、石川佳純、平野美宇のプロフィールや主な戦績を紹介していく。
中国から「大魔王」と恐れられる、伊藤美誠
王者中国から「大魔王」と称される程、最も警戒されている選手が伊藤美誠だ。平野美宇とともに、国内外の最年少記録を塗り替え続け、現在の世界ランクは過去日本人最高の2位。
2016年のリオデジャネイロ五輪には15歳で初出場。団体戦では福原愛、石川佳純とともに銅メダルを獲得。15歳300日でのメダル獲得は「オリンピック卓球最年少メダリスト」のギネス記録に認定されている。
2018年世界選手権団体、中国との決勝戦では、現・世界王者の劉詩雯に勝利しており、20歳にして実績は充分。団体戦、シングルス、混合ダブルス、全ての種目で金メダルを狙える選手だ。
直近では、3月にドーハで行われた国際大会の「WTTコンテンダー」、「WTTスターコンテンダー」(中国は不参加)で2大会連続で優勝と、世界ランク通りの実力を見せている。
プレースタイルは、まさに変幻自在。ラケットを前後左右上下に動かし、様々な打法、回転、スピードでボールを繰り出す。そして彼女の動きは実に機敏だ。他の選手には真似出来ない、伊藤独自のプレースタイルと言える。
特にサーブのフォームが独創的で、通常と異なる持ち方でラケットを握り、構えてからボールを投げ上げるまでのモーションは、とてもユニーク。ぜひ、注目してもらいたい。
東京五輪までは、WTT(World Table Tennis)による国際大会が中止となることが決定した。東京五輪本番で、伊藤がどのような新しいサーブ、変幻自在のプレーを披露してくれるのか。そして、中国選手に勝利し、表彰台で満面の笑みで金メダルを首にかける彼女を見てみたい。
■プロフィール
- 2000年10月21日(20歳)静岡県出身
- 世界ランキング:2位(2021年4月21日時点)
※過去最高位:2位
■主な戦績
- 2016年リオデジャネイロ五輪団体戦:銅メダル
- 2016・18年世界選手権団体:銀メダル
- 2017年世界選手権ダブルス:銅メダル、19年:銀メダル
- 全日本選手権シングルス:優勝2回
- 全日本選手権ダブルス:優勝3回
- 全日本選手権混合ダブルス:優勝3回
石川佳純、悲願のシングルスでのメダル獲得なるか
長年エースとして、日本を支えてきた石川佳純。この東京五輪が彼女の集大成となるだろう。
2012年ロンドン五輪に19歳で初出場。シングルスは日本人初の準決勝進出も敗退。3位決定戦にも敗れ、惜しくもメダルを逃した。団体戦では、福原愛、平野早矢香とともに、日本初の銀メダルを獲得。
2016年リオデジャネイロオリンピックでは、銅メダルを獲得したキム・ソンイ(北朝鮮)に惜敗。団体戦では、エースとして全試合シングルスに起用され、銅メダルを獲得に貢献した。
プレースタイルは、多彩なサーブやしなやかなスイングから放たれるフォアドライブが武器。そのスイングはとても綺麗で美しい。また、ジュニア時代から、勝負勘が素晴らしく、勝負どころでは絶対に負けない。試合中の集中力は、人を寄せ付けない怖さがある。まさにチャンピオンの素質を持った選手である。
近年は伊藤美誠、平野美宇ら、若手の勢いに押されている感があったが、1月の全日本選手権では決勝で伊藤を破り、5年ぶりの優勝。優勝後の涙は、多くの人に感動をもたらした。
28歳で迎える東京五輪。もちろんシングルスでの、初のメダル獲得を期待したいが、結果よりも石川佳純らしい思い切った悔いのないプレーをして欲しい。日本中の卓球ファンが彼女を応援しているはずだ。
■プロフィール
- 1993年2月23日(28歳)山口県出身
- 世界ランキング:10位(2021年4月21日時点)
※過去最高位:3位
■主な成績
- 2012年ロンドン五輪団体戦:銀メダル、シングルス:ベスト4
- 2016年リオデジャネイロ五輪団体戦:銅メダル
- 2014・16・18年世界選手権団体:銀メダル、08・10年団体:銅メダル
- 2017年世界選手権混合ダブルス:金メダル、15・19年:銀メダル
- 全日本選手権シングルス:優勝5回
- 全日本選手権ダブルス:優勝3回
- 全日本選手権混合ダブルス:優勝2回
平野美宇、“ハリケーン”を起こせるか
伊藤美誠とともに「みうみま」コンビで、中学時代から世界で活躍。東京五輪がオリンピック初出場となる。2016年リオデジャネイロ五輪は、補欠選手として帯同。その悔しい経験からの活躍は凄まじいものがあり、まさにハリケーン級の活躍であった。
2016年10月女子ワールドカップを日本人初、16歳で史上最年少優勝。2017年1月全日本選手権を16歳9か月で史上最年少優勝。4月のアジア選手権では、中国選手を3連破して優勝する快挙。6月の世界選手権では、日本人48年ぶりの銅メダル獲得した。
特に中国人選手を3連破してのアジア王者が衝撃的で、この活躍からハリケーン・ヒラノと呼ばれるようになる。1回は中国選手に勝利することができても、3回連続で勝利し、優勝するというのは、卓球界ではあり得ないことであった。
また、平野のプレースタイルは、卓球界では最もポピュラーな右利きのドライブ型である。中国選手に勝つには、伊藤のような特徴的なプレーでないと、勝機を見出すことが難しいと言われている。その中で、相撲で言えばがっぷり四つで勝負し、勝利したことがさらなる衝撃を残したのだ。
2018年以降は、好不調の波が激しく、彼女のポテンシャルからすると思うような結果を残せていない。しかし、好調時は誰もが驚くような物凄く速いプレーを見せてくれる。東京五輪では、中国選手を速さで打ち抜くハリケーン・ヒラノのプレーを見せてくれると信じている。
■プロフィール
- 2020年4月14日(21歳)山梨県出身
- 世界ランキング:12位(2021年4月21日時点)
※過去最高位:5位
■主な成績
- 2016年ワールドカップシングルス:優勝
- 2017年世界選手権シングルス:銅メダル
- 2017年アジア選手権シングルス:優勝
- 2017年全日本選手権シングルス:優勝
- 2018年世界選手権団体:銀メダル