拳をぶつけ合うことで勝者を決めるボクシング。原点とも言える競技は、古代オリンピックでも行われているなど、その歴史は長い。ローマ時代に禁止されてから、どのタイミングで復活したのか。ここでは現在のルールが整備され時期や日本におけるボクシング元年、現在の強豪国について紹介する。
■何から起こった?いつから競技化?
拳をぶつけ合うことで勝者を決める。そのようにボクシングを定義するならば、その起源は古く、いまから1万年前にはある程度ルールが定められ、訓練、競技化されたという説もあるほどだ。少なくても紀元前668年に開催された第23回古代オリンピックにて、革ひもを巻いた拳で殴り合う競技が初めて採用されたという記録が残されている。
ただし、現在のような体重別の階級制、ラウンド制などは存在せず、革ひもも拳の保護ではなく、相手に与えるダメージを増幅するために巻かれていた。こうした拳闘は、ローマ時代の見せ物としても続けられたが、404年、ローマ皇帝により禁止される。
以降、ボクシングの原点とされる競技が行われた記録は途絶える。中世にも護身術として存在したという説はあるものの、一般的には17世紀のイギリスで行われた格闘技の興行が、現在のボクシングにつながるルーツとされる。
19世紀中頃、現在のルールに近い競技としてのボクシングが成立。1890年代には階級制などが整備される。日本では、1921年に渡辺勇次郎が「日本拳闘倶楽部」を設立。これが日本におけるボクシングの始まりとされる。
近代オリンピックでは、1904年の第3回セントルイス大会から実施。1912年の第5回ストックホルム大会を除き、第3回以降のオリンピック全てで実施されている。女子ボクシングは、2012年から正式競技に採用されている。
■競技人口は?強豪国は?
日本の競技人口(登録選手)は約5000人とされる。プロボクシングでは何人も世界チャンピオンを生み出しているものの、オリンピック金メダリストは、2012年ロンドン五輪の村田諒太(ミドル級)と1964年東京五輪の桜井孝雄(バンタム級)の2人で、ほかは銅メダル3つのみ。
ボクシングは世界的にも人気のある競技で、予選には最多の陸上競技に次ぐ国・地域が参加しているとされる。実際、オリンピックでメダルを獲得したことのある国・地域は約80となっている。
強豪国の筆頭は50の金メダルを獲得しているアメリカ合衆国。金メダル37個のキューバ、同18個のイギリスなど、ヨーロッパ諸国が続く。アジアでは、同7個を獲得しているカザフスタン、リオデジャネイロ五輪で3階級を制したウズベキスタンなどが強豪国と言える。
■どんなリーグや大会がある?
オリンピックで採用されているアマチュアボクシングは、オリンピックおよびオリンピック予選のほか、世界、各大陸、各国・地域の選手権などで行われている。日本では、毎年行われる全日本選手権大会が最大の大会となる。
一方、プロボクシングには現在、WBC・WBO・IBF・WBAという主要4団体が存在する。それぞれが公式戦を実施して、世界ランキングを認定。各団体のタイトルマッチ、あるいは団体をまたいだ統一王座戦が、最も注目される興行となる。
従来オリンピックのボクシングはアマチュア選手を対象としたが、2016年のリオオリンピックからプロボクサーの出場も認められた。国内では主要4団体全てのベルトを手にした元プロボクサー・高山勝成が2020年東京五輪出場を目指したものの予選敗退している。