テニスの起源と歴史|オリンピック競技の起源

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
リオデジャネイロオリンピックで銅メダリストを獲得した錦織圭

オリンピック競技としては、1896年の第1回大会から行われているテニス。Tokyo2020(東京五輪)では、男子シングルスの錦織圭、女子シングルスの大坂なおみにメダル獲得の期待がかかる。ここでは、テニスの起源と歴史、強豪選手について紹介する。

テニスが遊戯として定着したのは11~12世紀のフランス

テニスの発祥は紀元前のエジプトという説があり、テニスのようなものが描かれた壁画が存在している。当時はまだ現在のようなスポーツではなく、数人が集まり球を打ち合っていたとされる。宗教的な行為として扱われていた。テニスが現在のような形になったのは、11世紀から12世紀のフランスに遡る。貴族たちが宮殿内で手のひらや手袋でボールを打ち合って楽しんでいたのが始まり。ラケットも使用されるようになり、16世紀になると「ジュ・ド・ポーム(jeu de paume)」と呼ばれる球技となった。コートも作られたことで国際大会も開かれるようになり、スポーツとして発展していった。

競技としては、1877年にイギリスのロンドンで第1回目のウィンブルドン選手権が開催された。アメリカでは1881年に設立されたアメリカ国立ローンテニス協会(現在の全米テニス協会)が、ルールを標準化し、競技として組織化した。1972年に男子テニスプロ協会(ATP)が、1973年に(女子テニス協会)が設立され、現在はそれぞれが運営するATPツアーとWTAツアーが、プロテニストーナメントとして年間を通じて行われている。現在、世界での競技人口は1億人以上と言われており、屈指の人気を誇る。

近代オリンピックでは、第1回のアテネ大会から正式競技だったが、テニス界ではプロトーナメントが発展したため、アマチュアリズムを重視していたオリンピックからは、正式種目から長い間外されていた。再びオリンピックにプロ選手の参加が認められるようになり、テニスは1988年のソウル大会から復活した。

男子は"BIG3"の時代

男子は現在、"BIG3"と呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が世界トップ選手として君臨している。2017年から2019年の3年間にわたり、グランドスラムはこの3人が分け合っている。また3選手とも、キャリアグランドスラム(選手キャリアを通じてグランドスラム全大会で優勝すること)を達成している。東京オリンピックでも、この3選手が金メダル候補と目される。日本の錦織圭はリオデジャネイロ大会で銅メダリストに輝いており、東京五輪では2大会連続のメダル獲得がかかる。

一方の女子は、多くの選手にメダルのチャンスがある。強豪選手として、グランドスラムシングルスで歴代2位となる23回の優勝を誇るセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)が知られる。彼女はこれまで、シドニー(ダブルス)、北京(ダブルス)、ロンドン(シングルス、ダブルス)で4つのオリンピック金メダルを獲得している。東京オリンピックは39歳で迎えることとなり全盛期ほどの力はないものの、2020年3月のWTAランキングは9位。メダル候補の一人と言えるだろう。アシュリー・バーティ(オーストラリア)、カロリナ・プリスコバ(チェコ)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)らWTAランキング上位組も注目だ。

日本の大坂なおみはこれまで2度のグランドスラム優勝(18年全米、19年全豪)を誇り、2019年1月28日付のWTAランキングではアジア人初の1位に立った。東京五輪が行われる有明テニスの森公園は、全米、全豪オープンの会場と同じハードコートが採用されているだけに、地元大会での金メダル獲得が期待される。

主な国際大会

■ATP・WTAツアー

それぞれATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)が運営するプロテニスの年間ツアー。大会はグランドスラム(四大大会)を頂点にランク付けされており、ランクが高い大会の規模が大きく、獲得賞金やランキングに繋がるポイントが多くなる。

■グランドスラム

国際テニス連盟(ITF)公認の、下記4大会の総称。テニストーナメントとしては最大規模・最高権威を持ち、4大会とも男女共催で行われる。

全豪オープン

1988年大会からオーストラリアのメルボルン・パークで実施されている。毎年1月に開催され、グランドスラム初戦となる。

全仏オープン

毎年5月末から6月初めにかけてスタッド・ローラン・ギャロス(フランス・パリ)で開催され、グランドスラムでは、唯一クレーコートで行われる大会となる。

ウインブルドン

正式名称は「The Championships」。1877年に第1回大会が行われており、グランドスラムでは最も歴史のある大会である。6月最終月曜日から2週間の日程で、オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(イギリス・ロンドン)開催される。センターコートは年間2週間の全英オープンの期間しか使用されない。

全米オープン

毎年8月の最終月曜日から2週間の日程で行われる。ニューヨーク郊外のにある、世界最大のテニスコート「アーサー・アッシュ・スタジアム」がセンターコートとして使用され、観客動員数と賞金総額はテニス競技大会では最大である。2018年に大坂なおみが、日本人初のシングルスでのグランドスラム優勝を果たした。

■デビスカップ・フェドカップ

デビスカップは男子の、フェドカップは女子の国別対抗戦である。毎年開催されている。

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