私たちの情熱を映し出すヘッドクォーター
2021年初めより、サン・ドニにある「パルス」と呼ばれる建物の中に、パリ2024チームの中枢機能となるヘッドクォーター(本部)が置かれている。ヘッドクォーターは、選手村やメディアヴィレッジ、多くの競技会場と同じように、私たちチームの熱意とアイデンティティを反映しており、また、パリ2024を盛り上げるべくセーヌ・サン・ドニの若者の大きなエネルギーが集約する場所となる。これからの4年間、気候・環境の最も高い水準に従ったこの革新的な場所は、パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会を計画するチームの競争心、業務、アイディアの拠点となるだろう。
ヘッドクォーターの運営において、設計やレイアウトをはじめ、業務の進め方やパリ2024後の将来像などは、常に持続可能性と地域コミュニティとのつながりを意図したものとなっている。私たちは、パートナーと共に専門知識と解決策を共有しながら、この持続可能な責任ある取り組みを推進する。これによって、ヘッドクォーターが私たちの情熱の集約する場所であることが示されるだろう。
責任あるヘッドクォーター
今日、多くの職場環境では、持続可能性にお互いに協力しながら業務が営まれている。パリ2024においても、オリンピック・パラリンピックの革新的な機会を活用し、ヘッドクォーターが低酸素モデルとして環境責任を果たせるよう努める。
責任ある業務
パリ2024のヘッドクォーターは、職員食堂内の食品廃棄物ゼロを達成できるよう努力することによって循環型経済に寄与する。備蓄を最適化し、余剰食料は転売されるか、チャリティに寄付される。有機食品の廃棄物は集められ、嫌気性消化植物を用いて処理される。プラスチック製の使い捨てナイフやフォーク、皿、カップ、パッケージ、ボトルは、職員食堂をはじめ建物内のどの場所でも使用されない。また、最新式の自動飲料充填ステーションを使って、全ての職員がコカコーラから提供されるアルミボトルに飲料を充填することができるようになっている。さらに、カーペットや、20,445平方メートルのOAフロア、リサイクル繊維でできた7,500平方メートルの防音材など、設備に中古リースの資材が多く用いられる。加えて、全ての家具は、エコデザインの原則に従って、パリ2024後は再利用されるか寄付されることになっている。ヘッドクォーターで働く職員には、環境に優しい移動手段を用いることが推奨される。自転車の購入プログラムを活用することができ、安全な駐輪場や電気自動車の充電ステーション、公共交通機関への容易なアクセスなどの利便性が図られる。
誰もが歓迎されるインクルーシブなホーム
パリ2024のヘッドクォーターは、運動機能が低下した人でもアクセスしやすく、職員食堂スタッフは、障がいがある人へのサポートについて十分なトレーニングを受けている。また、ヘッドクォーターに従事するサービス提供業者は、インクルーシブ採用条件に従って、施設維持スタッフの25パーセントを障がいがある人で構成するよう求められている。また、職業的統合計画に則り、3分の2以上の職員自身にヘッドクォーターの維持管理(清掃、メインテナンス、ガーデニングなど)の責任が課せられる。さらに、パリ2024は、サービス提供業者の60パーセントを社会的連帯経済推進会社と、40パーセントを中小企業と業務契約を締結している。
低炭素フットプリント
ヘッドクォーターの置かれるパルスは、BBCA(低炭素建物)の認証ラベルを授与されており、6,000立方メートルの建物は、木材とコンクリートを建築資材としている。建物内の職員食堂で提供される食事では、少なくとも80パーセントは地元産の農産物が使われ、20パーセントは半径200km以内の産地からの食材が使用される。これによって、食物が与える気候や環境への影響を軽減するよう配慮されている。また、日々、ベジタリアンメニューも用意される。ヘッドクォーターの電力供給は、100パーセントグリーンで賄われている。フランス電力会社によって供給されるバイオガスと追跡可能なグリーン電力が使用されており、建物の屋根には、300平方メートルの太陽光発電パネルが設置されている。建物の建築による環境への影響は、フランス環境連帯移行省に低炭素認証ラベルを授与されたことによって相殺されている。パリ2024は、パルスでの業務を通じて排出された全ての二酸化炭素量を相殺することに取り組む。
地元に根ざしたヘッドクォーター
パリ2024は、地元産業にイニシアチブを与え、セーヌ・サン・ドニ県内で会議を開いたり、社会的連帯経済の基盤を整備したりするなどして、地元企業の入札契約を推進する。結果として、ヘッドクォーター業務(受付、メインテナンス、ガーデニング、コピーなど)を請け負う企業の3分の1が、セーヌ・サン・ドニ県に基盤を置いている。このように、サービス提供業者を地元から採用することによって、パルスと職員は、日常的に活気づき、地元を象徴する存在となっている。
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