五十嵐カノア・インタビュー「地球にポジティブな影響を」

米カリフォルニア州のハンティントンビーチで今日9月16日から世界選手権に相当する「2022年ISAワールドサーフィンゲームズ」が始まる。開幕を前に、日本代表の五十嵐カノアがOlympics.comのインタビューで、サーファーとして、ひとりの人間として目指す道、これから始まるパリオリンピック予選に向けた思いを語った。

文: Olympics.com|公開日:9月16日
写真: Ryan Pierse

東京オリンピック銀メダリストの五十嵐カノアは1997年10月に米カリフォルニアで生まれ、3歳のときにサーフィンを始めた。

数年後、一家はサーフィンのメッカとされる海辺の街に居を移すことを決意。その場所が9月16日〜24日の日程で行われる大会の舞台となるハンティントンである。

パリ2024オリンピックの出場権をかけた最初の大会、2022年ISAワールドサーフィンゲームズの開幕を前に、Olympics.comでは大会への思いやサーファーとしての在り方などを五十嵐に聞いた。

世界の頂点に立つということ

世界の限られたトップサーファーのみが参加できるワールドサーフリーグ(WSL)主催のプロサーフィンツアー「チャンピオンシップツアー(CT)」で、五十嵐は今年、最高のシーズンを送ってきた。

そのハイライトとなったのが、米カリフォルニア州サンクレメンテで行われたWSLファイナルである。ファイナルはCT出場選手の中でも上位5人のみが参加できる大会。ファイナルを前に、パリ2024オリンピックのサーフィン競技会場となるタヒチ・チョープーで行われたCT最終戦にランキング6位で挑んだ五十嵐は、最終戦で挽回し、ファイナル出場を決めたのである。

「数年前に自分のゴールを定めました。サーフィンで世界のトップ5に入ることです。目標や夢を持って追いかけること以上に良いことはないし、そのための準備もしました。それが数週間前に実現したんです」

そして迎えた9月9日のファイナルで、結果はオリンピック金メダリストのイタロ・フェヘイラ(ブラジル)に初戦で敗れて5位。

「世界1に挑戦できる場所に立てたことは本当に嬉しいことでした。大会のエネルギーを感じられ、自分が正しい方向に進んでいることを実感しました」

「あの日はとても幸せでした。朝、目覚めたときの感覚や、自分が下した決断。自然を相手にするサーフィンという性質上、ただ準備することしかできない。あとは海の中の30分ですべてが決まる。でもあの日、僕には世界チャンピオンになるチャンスがあった。あの大会は大きな自信になりました」と、五十嵐は振り返る。

地球そして世界にポジティブな影響

サーフィンの各種大会や東京オリンピックを通じて、多くの人がサーファーとしての五十嵐が波に向かっていく姿を目にしてきた。だが、サーフィンから離れたところでの五十嵐カノアはどんな人物なのだろうか。

「この地球にとってポジティブな影響を残したいと思っています。僕にとってその手段はサーフィンだし、スポーツにありますが、それを利用して世界をより良い場所にしたい」

「スポーツの発展であれ、友達を助けることであれ、あるいはいい息子・兄であることであれ、たとえ1%でも未来に向けていい影響を与えられたら嬉しい」

「海に囲まれて生活している僕にとっては地球温暖化や未来の世代のためのサステナビリティは重要な課題」

そうしたさまざまな課題に対応する上で、サーフィンは五十嵐にとって大切な場所となる。

「サーフィンは僕が何かを語る上でのプラットフォームです。それはアメリカで生まれ育って、日本人の僕がサーフィンをすることで普通の人間として溶け込むことができたことと同じようにね」

大坂なおみ、ロジャー・フェデラーなど尊敬するアスリート

世界にポジティブな影響を与えたいという五十嵐の思いは、自身が描くアスリート像にも表れている。

「世の中にはたくさんの素晴らしい選手がいますが、その中でも、(スポーツを通じて得たものを)社会に還元できるアスリートからはたくさんのインスピレーションを得ています」

「一生懸命努力をすれば、誰でも勝つことはできると思います。だけどそれをコミュニティや国に還元することは勝つことよりも難しい。そういうことを成し遂げてきているアスリートがたくさんいて、たとえば大坂なおみセリーナ・ウィリアムズステフィン・カリーなど素晴らしい活動をしています」

「彼らはアスリート以上だし、勝者以上の存在です」

また五十嵐は先日引退を発表したロジャー・フェデラーにも触れ、「スポーツ界に名を残す人たちを見ると、それはコートや海の中だけでなく、その外でどのように地域社会に還元し、家族に恩返しをするか大切で、それこそがその人物を特別で偉大にすると思います」と続けた。

パリ2024で金メダルを取るために

そんな五十嵐の気持ちは、今回の日本代表としての目標にもつなっているようだ。

2年後にはパリオリンピックが控えており、五十嵐はパリ2024の目標を「まずはパリオリンピックの出場権を獲得すること」と定め、その先にオリンピックでの金メダルを掲げる。そのための初戦となるのがワールドサーフィンゲームズである。

2022年ワールドサーフィンゲームズでは、男女それぞれの優勝チームにパリオリンピック出場権が1枠与えられる。五十嵐は大会への意気込みとして、「優勝も狙えると思っています。もちろん個人の目標も大事ですが、最大の目標はチームジャパンで(パリ2024出場のための)最初の1枠を獲得することです」と語った。

現在24歳の五十嵐が日本チームを率い、慣れ親しんできたハンティントンビーチの波に挑む。9月16日に開会式が行われ17日男子競技がスタートし、9月24日に男女ともに決勝を迎える。

大会の模様はOlympics.comでライブ配信

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