ボツワナのレツィレ・テボゴ、男子200m準決勝でノア・ライルズに勝利/パリ2024陸上競技

執筆者 Nick McCarvel
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Letsile Tebogo of Botswana crosses the line ahead of Noah Lyles of Team USA in the men's 200m semi-final
写真: Reuters

ノア・ライルズ(アメリカ合衆国)のパリ2024オリンピックでのスプリント種目二冠への道はそう簡単ではなさそうだ。

今大会男子100m金メダリストの「世界最速の男」ライルズは、8月7日夜、男子200m準決勝で、2023年世界陸上ブダペスト大会同種目で銅メダルを獲得したボツワナのレツィレ・テボゴに次いで2位に終わった。同種目東京2020金メダリストのカナダのアンドレ・ドグラスは決勝に進出することができなかった。また、リオ2016男子400m金メダリストで同種目の世界記録保持者、南アフリカのウェイド・バンニーキルクも準決勝敗退となり、波乱の準決勝となった。

テボゴは準決勝3レースのうち2組目を走り、19秒96のタイムでライルズ(20秒08)に競り勝っている。準決勝で20秒を切ったのはテボゴただひとりだった。

ライルズは、レジェンド、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が北京2008ロンドン2012、リオ2016の3大会で達成した100mと200mの二冠を目指している。

ライルズのチームメイトであるケニー・ベドナレクエリヨン・ナイトンもそれぞれ20秒00と20秒09のタイムで準決勝1組目と3組目を制し、それぞれ全体の2位と5位で決勝への進出を果たしている。テボゴは全体の1位、ライルズは3位となり決勝で再び競い合うことになる。

これら4人に加え、ドミニカ共和国のアレクサンダー・オガンド(準決勝4位)、リベリアのジョセフ・ファンブレ(同6位)、ジンバブエのタピワナシェ・マカラウ(同7位)とマカナカイシェ・チャランバ(同8位)らの計8人が決勝のスタートラインに並ぶ。

果たして、メダルをかけた決勝の行方はどうなるだろうか?ライルズは二冠を達成できるのだろうか?男子200m決勝は8月8日(木)午後8時30分(日本時間9日午前3時30分)に予定されている。

エリヨン・ナイトン「金メダルのためにここにいる。金のためだけに」

準決勝のタイムに関係なく、8月8日の決勝では新しい200mオリンピック王者が誕生する。前回大会王者のドグラスが決勝進出を逃したためだ。

テボゴはライルズに勝利した後、自信を持って決勝に臨んでくるだろう。一方のライルズはパリに来る前に、100m、200m、そして4×100mリレーで金メダルを獲ることが目標だと明言していた。

彼はまた、チームメイトのベドナレクが8月4日夜の100m決勝で表彰台を逃した後、200mで全力を尽くすことを期待していると話した。

まだ20歳の若いナイトンは、Olympics.comに「私は金メダルのためにここに来ました。そのためだけです」と自信をもって答えている。「自分はよいレースをしたと思います。準決勝3組を1位で通過し、次の決勝に進みます」と続けた。

ナイトンは17歳の時に東京2020でオリンピックデビューを果たし、男子200mでライルズに次いで4位に入っている。準決勝ではスタッド・ド・フランスの8万人の大歓声に動じることはなかったようだ。

「東京2020と何も変わりません。ここにいるたくさん観客以外は、私にとって同じです。ただ金メダルを目指すために、またあの同じ世界のスプリンターたちと走るだけです」

アンドレ・ドグラス「ハムストリングの痛みが再発した」

ドグラスは8月4日に100m準決勝を走って以来、ハムストリングの痛みに悩まされていたことを明らかにし、この夜の200m準決勝では「ハムストリングの問題が再発した」と話した。そして、「今日は厳しい日になるだろうと思ってはいました。ウォームアップでは特に問題がなかったのですが、いずれにしてもベストを尽くし、どうなるかやってみるしかないと思いました」と続けた。

3年前にライルズに勝って金メダルを獲得した東京2020チャンピオンにとって、準決勝敗退は辛い結果となった。

「厳しい状況ですが、頭を冷やし4×100mリレーでチームにどのように貢献できるかを考えなければなりません」ドグラスは、3年前の東京2020でカナダ代表チームをイタリアチームに次ぐ2位に導き、銀メダルを獲得した。

男子4×100mリレーの予選は8月8日(木)11時35分(日本時間同日午後6時35分)に行われる。

一方、出場種目を男子400mから200mに移行したバンニーキルクにとっても失望の声が聞かれた。「今の自分の走りには満足していません」と言う。

「毎日努力していますが、今は不可能に感じます。しかし、将来の可能性に対して心を閉ざすことはありません。私は信念をもっていますから。またよいチャンスが来ると楽観的に考えたいと思います。もちろんそれまで時間はかかるかもしれませんが」