長谷川唯、熊谷紗希、宮澤ひなた…パリ2024 サッカー女子なでしこジャパンの顔ぶれ

執筆者 Olympics.com
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Aoba Fujino of Japan celebrates with teammates after scoring the team
写真: 2023 Getty Images

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」ほど、国際大会での成績と競技人気の相関関係を痛感しているチームはないだろう。

アテネ2004からロンドン2012まで3大会連続でオリンピックに出場し、ロンドン2012で銀メダル、その前年にはワールドカップで初優勝、2015年のワールドカップでも準優勝を果たすなど、国際舞台で高い評価を得て、日本国内は「なでしこフィーバー」に沸いた。しかし、大阪で開かれたリオ2016オリンピック・アジア最終予選を3位で終え、女子日本代表はオリンピック出場を逃す結果となった。このまさかの出来事により、世間の女子サッカー熱が一気に覚めるのを選手たちは実感した。

メンバーが変わってもこの記憶が薄れることはない。

池田太(ふとし)監督率いるなでしこジャパンの日本女子サッカーの未来をかけたパリ2024での戦いが、7月25日に始まる。グループステージ初戦の相手は、ワールドカップ覇者のスペイン代表。ベスト8で終わった東京2020オリンピック以上の結果を求めるなでしこジャパンでは、どんなメンバーが日本女子サッカーの未来を切り開くべくピッチに立つのか。注目選手を紹介しよう。

パリ2024 サッカー女子なでしこジャパン、活躍が期待される注目選手は?

パリ2024日本代表に選出された18人のうち、10人が海外組というなでしこジャパン。メンバーの中に、リオ2016のアジア最終予選敗退を経験したチーム最年長33歳の熊谷紗希から、チーム最年少18歳の古賀塔子までが名を連ねる。

長谷川唯

  • ポジション:ミッドフィルダー
  • 所属:マンチェスター・シティ/イングランド
  • 生年月日:1997年1月29日

日本代表チームの要として攻守にわたってチームを鼓舞するのがミッドフィルダーの長谷川唯。マンチェスター・シティでプレーする27歳の長谷川は、同チームでの最初のシーズンとなった2022/23にPFA(イングランドプロサッカー選手協会)女子年間ベストイレブンに選出される活躍で大きなインパクトを残すと、今シーズンも中核としてリーグ準優勝に貢献した。

絶妙なコースへのパスでチャンスを作る一方、豊富な運動量で守備でもチームを支える長谷川は、東京大会からパリ大会までの3年間、ヨーロッパサッカーにどっぷりと浸り、多くの経験を積みスキルを磨いてきた。パリでは、「前の自分よりも成長した姿を見せたい」(日本サッカー協会[JFA]のYouTubeチャンネル「JFATV」より)と意気込み、戦いに挑む。

熊谷紗希

  • ポジション:ディフェンダー
  • 所属:ローマ/イタリア
  • 生年月日:1990年10月17日

キャプテンとして長年チームを率いているのがローマで活躍する熊谷紗希。まだ20歳だった2011年のワールドカップで優勝を経験し、その後のワールドカップ3大会に出場、ロンドン2012オリンピックで銀メダル獲得、リオ2016ではアジア最終予選で敗退するなどチームの浮き沈みを経験し、自身3度目のオリンピックを迎える。

ディフェンダーの熊谷がパリで目指すところは金メダル。2023年末のJFAのインタビューで、「(2023年の)女子ワールドカップ後、さまざまな国の友人から『日本のサッカーが一番好き』とか『本当に良いチームだったよ』と、うれしい連絡をもらいました。それを証明するためにも、パリで金メダルを取りたい」と語っており、「日本女子が世界を引っ張っていく」という強い信念のもと、再び覇権を握るための戦いをスタートさせる。

宮澤ひなた

  • ポジション:ミッドフィルダー
  • 所属:マンチェスター・ユナイテッド/イングランド
  • 生年月日:1999年11月28日

初出場となった2023年のワールドカップ初戦で、先制点を含む2点を挙げたほか、最終的に優勝したスペイン代表とのグループステージ最終戦でも2点を決めて4-0での勝利に貢献するなど、4試合で5点を挙げて同大会で得点王に輝いたのが、24歳の宮澤ひなた。日本人選手としては、2011年大会の澤穂希(さわ・ほまれ)さんに続く2人目の快挙となり、大会後にはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。

足の速さを活かしたスピードのあるドリブルや、最前線への抜け出しで得点を生む宮澤だが、昨年冬に足首を骨折し、およそ4ヶ月ほど離脱を余儀なくされた。オリンピック最終予選でもメンバー外となり、もどかしい思いもしたが、それでも自身がより強くなることに集中して努力を重ねてきた。パワーアップした宮澤の、ワールドカップ以上の活躍に注目したい。

藤野あおば

  • ポジション:ミッドフィルダー
  • 所属:日テレ・東京ヴェルディベレーザ
  • 生年月日:2004年1月27日

日テレ・東京ヴェルディベレーザでプレーし、「なでしこの未来」と称えられているのが20歳の藤野あおば。2022年にはU20ワールドカップで背番号「10」を背負って日本の準優勝に貢献し、翌年、宮澤が得点王に輝いたワールドカップで、日本代表選手として男女を通じて最年少ゴール(19歳180日)を決めた。

ボールを巧みに操り、激しいディフェンスをものともせずボールをキープし、ドリブルで突破する姿が頼もしい藤野は、オリンピック前の国内ラストマッチとなった7月13日のガーナ戦ではフリーキックから完璧なショットを放ってネットを揺らした。パリでも持ち味とする思い切りのあるプレーでチームに勢いをもたらすことが期待される。

長野風花

  • ポジション:ミッドフィルダー
  • 所属:リバプールFC/イングランド
  • 生年月日:1999年3月9日

エースナンバー「10」を背負うのが25歳の長野風花。2023年1月からイングランド・リバプールでプレーする長野は、2016年のU17ワールドカップで優勝し、2017年のU17ワールドカップでは準優勝ながらMVPに選出され、2018年のU20ワールドカップで日本代表の初優勝に貢献するなど、若い頃から大舞台を経験し力を発揮してきた。

状況を的確に判断して、精度の高いパスを出すことに優れた長野は、初めてA代表に選出された2018年以降、代表入りから遠ざかっていたものの、2021年に池田太監督が就任すると、招集される機会が増えエースとして定着。岩渕真奈さんの引退以降なでしこの「10」を背負う長野は、「これまでの選手の名前を考えると偉大すぎて重かった。でも、私にしかできないプレーもある。みんなの特徴を活かしていくプレーが好きなので、チームのために絶対にやってやるという10番」(FIFAのインタビューより)と覚悟を決めており、パリでもその思いでピッチに立つ。

パリ2024サッカー女子日本代表メンバー

ゴールキーパー

  • 山下杏也加(#1)
  • 平尾知佳(#18 アルビレックス新潟レディース)

ディフェンダー

  • 熊谷紗希(#4 ASローマ/イタリア)
  • 清水梨紗(#2 マンチェスター・シティ/イングランド)
  • 北川ひかる(#13 INAC神戸レオネッサ)
  • 南萌華(#3 ASローマ/イタリア)
  • 高橋はな(#5 三菱重工浦和レッズレディース)
  • 古賀塔子(#6 フェイエノールト/オランダ)

ミッドフィルダー

  • 清家貴子(#8 三菱重工浦和レッズレディース)
  • 長谷川唯(#14 マンチェスター・シティ/イングランド)
  • 林穂之香(#16)
  • 長野風花 (#10 リバプールFC/イングランド)
  • 宮澤ひなた(#7 マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
  • 藤野あおば(#15 日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
  • 谷川萌々子(#12 FCローゼンゴート/スウェーデン)

フォワード

  • 田中美南(#11 ユタ・ロイヤルズFC)
  • 植木理子(#9 ウェストハム・ユナイテッド/イングランド)
  • 浜野まいか(#17 チェルシー/イングランド)

バックアップメンバー

  • GK 大場朱羽(#22 ミシシッピ大/アメリカ合衆国)
  • DF 守屋都弥(#20 INAC神戸レオネッサ)
  • DF 石川璃音(#21 三菱重工浦和レッズレディース)
  • FW 千葉玲海菜(#19 アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)

パリ2024 サッカー女子グループステージ、日本代表の試合日程

グループBで予選を戦う女子日本代表は、7月25日に初戦をスペイン代表と戦い、28日にブラジル代表、31日にナイジェリア代表と対戦する。まずはグループ上位2チームに入って決勝トーナメントを目指す。以下、現地時間(括弧内が日本時間)。

7月25日(木)

  • 17:00(24:00)スペイン代表 vs 日本代表(スタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール)

7月28日(日)

  • 17:00(24:00)ブラジル代表 vs 日本代表(パルク・デ・プランス)

7月31日(水)

  • 17:00(24:00)日本代表 vs ナイジェリア代表(スタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール)

8月3日(土)

  • 15:00(22:00)女子準々決勝(パルク・デ・プランス)
  • 17:00(24:00)女子準々決勝(スタッド・ド・リヨン)
  • 19:00(26:00)女子準々決勝(スタッド・ド・マルセイユ)
  • 21:00(翌4:00)女子準々決勝(スタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール)

8月6日(火)

  • 18:00(翌1:00)女子準決勝(スタッド・ド・リヨン)
  • 21:00(翌2:00)女子準決勝(スタッド・ド・マルセイユ)

8月9日(金)

  • 15:00(22:00)女子3位決定戦(スタッド・ド・リヨン)

8月10日(土)

  • 17:00(24:00)女子決勝(パルク・デ・プランス)

そのほか、パリ2024サッカーの全日程はこちら

パリ2024 サッカー女子の出場国、グループステージの組み合わせ

以下、括弧内は6月14日付の世界ランキング

グループA

  • フランス(2)
  • コロンビア(22)
  • カナダ(8)
  • ニュージーランド(28)

グループB

  • アメリカ合衆国(5)
  • ザンビア(64)
  • ドイツ(4)
  • オーストラリア(12)

グループC

  • スペイン(1)
  • 日本(7)
  • ナイジェリア(36)
  • ブラジル(9)