パリ2024 オリンピック、パラリンピックのメダル公開
7月26日に開会式が行われるパリ2024オリンピック。組織委員会は2月8日(木)、オリンピックとパラリンピックのメダルを発表した。金・銀・銅のメダルには、かつてエッフェル塔の一部だった金属片が含まれている。
選手たちが大会に向けて準備を進める一方、パリ2024組織委員会が制作を進めてきたオリンピック・パラリンピックのメダル。パリ2024組織委員会の本部で2月8日(木)、大会でアスリートに授与されるメダルが公開された。
伝統に則り、メダルは金、銀、銅。しかし、近代オリンピックの第1回大会となったアテネ1896からこれまでに授与されてきた約3万6,600個のメダルのどれとも異なり、これらのメダルには、フランスのシンボルであるエッフェル塔がパリの小さな欠片としてあしらわれている。
この決定は、メダルをユニークで特別なものにしたいという思いから生まれ、世界的に知られるジュエリーエキスパートのChaumet(ショーメ)が製作を手がけた。
パリ2024組織委員会のトニー・エスタンゲ会長はメダル公開にあたり、「金、銀、銅といった貴金属と、フランスの宝であるエッフェル塔の最も貴重な金属を融合させるために、膨大な作業が行われました。2024年大会のメダルの特徴は、融合なのです」と話し、「2024年大会のメダルで特にインパクトがあるのは、エッフェル塔のオリジナルの金属、鉄の一部が含まれていることです。これが私たちが求めていたことです。この金属を通じ、大会に参加するすべての選手たちに活力を与えたいと考えました」と続けた。
メダルへの思い「最高のモチベーション」
金メダル5個を獲得したフランスの元バイアスロン選手のマルタン・フールカデは、パリ2024のアスリートファーストのアプローチがメダルのデザインに不可欠であったことを明かした。
「これまでと同様に、パリ2024はアスリートをプロジェクトの中心に据えました。私たちが求めたのは2つ。オリンピアンとパラリンピアンに同じようなメダルを用意すること、そしてメダルに(エッフェル塔の)貴重な鉄を入れることです」
「メダルには3つの重要な要素があります。ひとつは六角形、そしてフランスらしさ、さらに宝石のようなメダルであることです。これによって特別なものとなりました」
パラリンピックで金メダル20個を手にした水泳選手のベアトリス・ヘスは、このメダルが特別なものであると感じる3つの点を強調した。
「フランス人として、このメダルは誇りであり、勝利の証であり、宝石でもあります。母国でのメダル獲得は、より価値のあるものになることでしょう」
一方、2021年欧州レスリング選手権で優勝したクンバ・ラロクは、「最高のモチベーションです。(メダルを獲得するために)私は懸命に努力しています。メダルを間近で見ると、手を伸ばして指先で自分のゴールに触れたくなります。今日はトレーニングセッションが2回あるので、いつも以上にやる気が出るでしょう」と語った。
輝くメダルの中心にある六角形のエッフェル塔
このメダルには、エッフェル塔のオリジナルの鉄が六角形にカットされ埋め込まれている。六角形といえば、フランスの国土を地図で見たときに示される形でもある。このシンボルは、パリにとどまらず国全体が歴史に残るオリンピックとパラリンピックに向かって歩みを進めてきたことを想起させるものとなっている。
通常の「エッフェル塔の茶色」のペイントは施されず、鉄はオリジナルの色のまま。パリ2024のエンブレムが浮かぶその鉄部分は、金、銀、銅それぞれの中央に美しくおさまり、ツートンカラーを生み出している。
鉄の六角形の周囲に不規則な間隔で細い線が描かれている。「彫る」のではなく「鋳造」されたこの線は、平滑とはほど遠いメダルに立体感と輝きをもたらしている。この独創的なアイディアは、世界におけるフランスの輝きと、大会における選手たちの輝かしい活躍の両方を表している。
パリ2024オリンピック・パラリンピックのメダルの縁には、競技名、種目名、大会名が印されている。オリンピック・メダルにはフランス語で、パラリンピック・メダルには英語で書かれており、それぞれ国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)の公式言語となっている。
またメダルの裏面には、エレナ・ボッツィがデザインした勝利の女神とアテネ2004オリンピックの競技場が紹介されている。
数字で知るパリ2024のメダル
- 生産されたメダルは5,084個
- 直径85mm
- 厚さ9.2mm
- エッフェル塔から取られた鉄の重さ18g
- 金メダルの重さ529g
- 銀メダルの重さ525g
- 銅メダルの重さ455g