男子棒高跳の世界記録保持者、モンド・デュプランティスの素晴らしいキャリアを象徴する「数字」

執筆者 William Imbo
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Armand Duplantis
写真: 2023 Getty Images

「モンド」こと男子棒高跳の世界記録保持者、アルマンド・デュプランティス(スウェーデン)は、現在、陸上競技界で最も注目を浴びている。

アメリカ合衆国生まれのスウェーデン人であるデュプランティスは、24歳で初めて世界記録を樹立した2020年以来、これまでの4年間で最も知られる選手のひとりとなった。

ユニークな経歴、風変わりな性格、そして比類なき才能は、デュプランティスを棒高跳の新たな高みへ導いた。

デュプランティスは、3月に2024年世界室内陸上競技選手権スコットランド・グラスゴー大会で連覇を果たした後、現在、4月20日に開幕したダイヤモンドリーグに参戦している。このシリーズ戦では、ロンドン2012オリンピック金メダリスト、ルノー・ラビレニ(フランス)の持つ7回のシリーズ連勝記録を破るため、まずは4回目の優勝を目指している。

デュプランティスは、同リーグ第1戦アモイ大会(中華人民共和国)で自身の持つ世界記録(6m23、2023年)を1cm更新し、6m24の新たな世界記録を樹立した。これは自身8度目の世界記録更新となる快挙だ。

ここでは、快進撃のとどまるところを知らないデュプランティスのこれまでのキャリアを象徴するさまざまな「数字」を紹介する。

11個 - 世界とヨーロッパ選手権で獲得したメダル数

24歳のデュプランティスにとって、ユースおよびジュニア時代から現在のシニアクラスを通じ、世界とヨーロッパ選手権(室内および屋外)でこれまでに獲得したメダルの数はすでに2桁に達している。

彼の最初の金メダルは、2015年、高校1年生のときにコロンビア・カリで開催された世界ユース選手権のもので、この時、5m30を跳んで自己新記録を更新するとともに、ユース選手権での新記録を樹立している。

デュプランティスがこれまでに獲得した主要大会のメダルは次の通りとなる。

  • 2015年:世界ユース陸上競技選手権(カリ)金メダル
  • 2016年:世界ジュニア陸上競技選手権(ポーランド・ブィドゴシュチュ)銅メダル
  • 2017年:ヨーロッパジュニア陸上競技選手権(イタリア・グロッセート)金メダル
  • 2018年:世界ジュニア陸上競技選手権(フィンランド・タイペレ)金メダル、ヨーロッパ陸上競技選手権(ドイツ・ベルリン)金メダル
  • 2019年:世界陸上競技選手権(カタール・ドーハ)銀メダル
  • 2021年:東京2020オリンピック金メダル、ヨーロッパ室内陸上競技選手権(ポーランド・トルン)金メダル
  • 2022年:世界陸上競技選手権(アメリカ合衆国オレゴン)金メダル、世界室内陸上競技選手権(セルビア・ベオグラード)金メダル
  • 2023年:世界陸上競技選手権(ハンガリー・ブダペスト)金メダル

2023年世界陸上選手権ブダペスト大会(8月26日)男子棒高跳で金メダリストを獲得したアルマンド・デュプランティス(Photo by Michael Steele/Getty Images)

写真: 2023 Getty Images

1cm – 世界記録を樹立するたびに更新した高さ

「1cm」は、今年4月20日ダイヤモンドリーグ2024第1戦アモイ大会でデュプランティスが自己の世界記録を更新した際にさらに獲得した高さだ。

デュプランティスは、2023年9月、ダイヤモンドリーグファイナル(オレゴン州ユージーン)において、自身の持つ屋内世界記録を1cm更新し6m23の新記録をマークしていた。

それには満足できなかったのか、アモイ大会では1回目の試技からさらに1cm更新となる6m24をマークし世界記録を樹立した。

8回 - 世界記録を更新した回数

デュプランティスは、今年4月に6m24の世界記録を樹立したが、これは彼にとって初めてのことではない。2020年2月8日の世界室内陸上競技ツアートルン大会で、当時のラビレニの世界記録(6m16)を破り、自身初めての世界記録を打ち立ててから、実にこれまで合わせて8回にわたり世界記録を塗り替えている。

  • 2020年2月8日 6m17:世界室内陸上競技ツアー(トルン)
  • 2020年2月15日 6m18:世界室内陸上競技ツアー(グラスゴー)
  • 2022年3月7日 6m19:世界室内リハーサル大会(ベオグラード)
  • 2022年3月20日 6m20:世界室内陸上競技選手権(ベオグラード)
  • 2022年7月24日 6m21:世界陸上競技選手権(オレゴン)
  • 2022年2月25日 6m22:室内大会(フランス・クレルモン・フェラン)
  • 2023年9月17日 6m23:世界陸上競技選手権(ブダペスト)
  • 2024年4月21日 6m24:ダイヤモンドリーグ第1戦(アモイ)

3度 - ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー賞の受賞回数

ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー賞は、1988年にフローレンス・グリフィス・ジョイナーさん(アメリカ合衆国)とカール・ルイスさん(同)が受賞して以来、世界の陸上競技選手に贈られてきた名誉ある賞である。

デュプランティスは、2020年、2022年、2023年の3度受賞しており、同賞を複数回にわたり受賞した数少ない選手のひとりである。

1個 - オリンピックで獲得した金メダルの数

デュプランティスは、2018年ヨーロッパ陸上競技選手権と2021年同室内陸上競技選手権で金メダルを獲得した後、2021年に開催された東京2020オリンピックでの活躍が大いに期待された。彼は、オリンピック初出場となった東京2020で見事期待に応え、1回目の試技で6m02を跳んで金メダルを獲得した。

「それは現実離れした感覚で、本当にどう説明したらいいのかまだわかりません。それは僕がずっと欲しかったもので、ついに僕はそれを達成することができました。とても信じられません」とデュプランティスは話している。

「僕は子どもの頃からこのスポーツが大好きでしたし、それがいつか僕に素晴らしい体験を与えてくれるといつも信じていました。実際にオリンピックに出場することができ、さらに優勝することができるなんて、なんと素晴らしいことでしょうか」

東京2020オリンピック(2021年8月3日)男子棒高跳決勝に出場したアルマンド・デュプランティス(Photo by Ryan Pierse/Getty Images)

写真: Ryan Pierse

3回 - ダイヤモンドリーグの年間シリーズ連勝回数

ダイヤモンドリーグは、ワールドアスレティックスが単日開催で年間15大会開催している世界最高峰の陸上競技シリーズ戦。2010年に新設されたこの競技大会は、選手に名誉あるタイトル(ダイヤモンドトロフィー)、賞金、そして世界的な注目を提供する貴重な機会となっている。

デュプランティスは、これまで2021年から2023年まで3年連続で男子棒高跳のダイヤモンドリーグの年間シリーズタイトルを獲得しており、今年4回目の優勝が期待されている。

15 – 連続優勝した大会数

現在のデュプランティスは、男子棒高跳における絶対王者の存在だ。世界、ヨーロッパ、そしてオリンピック全てのチャンピオンタイトルを持つ。そして、世界記録も手中に収めている。

最近の競技大会でデュプランティスが勝てなかったものは、昨年7月21日のダイヤモンドリーグ第9戦モナコ大会だ。ここでは5m27の記録で4位に終わっている。しかし、それ以来、デュプランティスは15大会連続で優勝を果たし快進撃を続けている。

果たして陸上競技界のスーパースターであるデュプランティスは、この勢いに乗ってダイヤモンドリーグを戦い抜き、そして来たるパリ2024オリンピックで連覇を果たすことができるだろうか。今、世界が最も注目している。