世界を驚かせたセントルシアのジュリアン・アルフレッド、金メダルに輝く/パリ2024陸上競技女子100m

執筆者 Sean McAlister
1 |
Julien Alfred of Team Saint Lucia celebrates winning the gold medal during the Women's 100m Final
写真: 2024 Getty Images

セントルシアのジュリアン・アルフレッドは、フィニッシュラインを誰よりも速く駆け抜けると、歓喜の叫びを上げ、パリ2024の観客に向けて手を挙げて自分が1位であることを示した。そして涙を流した。

3度のNCAAチャンピオンであるアルフレッドは、スタッド・ド・フランスで行われた陸上競技女子100m決勝を10秒72で走り、優勝候補のシャカリ・リチャードソン(アメリカ合衆国)を破って世界を驚かせ、母国セントルシアに史上初のオリンピックメダルをもたらした。

アルフレッドは勝利後、11年前に亡くなった父について語り感情があふれた。

「神様、コーチ、そして、いつも私を信じてくれていた父にこの勝利を捧げます」と涙ながらに話した。

「父は2013年に亡くなりましたので、私の人生最高のこの舞台を見ることができませんでした。しかし、きっと彼はオリンピアンである娘のことを誇りに思ってくれるはずです」

このレースで、リチャードソンは10秒87で銀メダル、同郷のメリッサ・ジェファーソンは10秒92秒で銅メダルを獲得している。米国のスプリンターが同種目で2個のメダルを獲得したのはアトランタ1996以来となる。

女子100m決勝は、その前に降った雨がトラックにまだ残る中で行われた。アルフレッドは、スタートから飛び出し、そのまま駆け抜けた。序盤で出遅れたリチャードソンは後半盛り返すが、アルフレッドには届かなかった。

結果、リチャードソンを含め世界のスプリンターたちは誰も、人口約18万人の島国、セントルシア出身の23歳、アルフレッドには及ばなかった。

レース後、アルフレッドは「(レース当日の)朝起きて、『ジュリアン・アルフレッド、オリンピックチャンピオン』と書き記しました」と明かした。「自分を信じることが本当に重要だったと思います」

ジュリアン・アルフレッド「私はいつもセントルシア初のオリンピック金メダリストになりたいと思っていました」

アルフレッドは、2018年ユースオリンピック・ブエノスアイレス大会の100mで銀メダルを獲得し、世界にその名を知らしめた。

当時、彼女の急速な進歩を予想できた人はほとんどいなかった。しかし、その銀メダルは彼女自身に大きな自信と希望を与えた。

「当時は、自分自身が将来、オリンピアンになれるかどうかわかりませんでした」とアルフレッドはOlympics.comの独占インタビューで明かした。「しかし、これが何か素晴らしい出来事の始まりだったのだと思います…大学に進む際の選択にも影響を与えました」

アルフレッドは、大学に進むと、その潜在能力を本格的に発揮し始め、テキサス大学では3度のNCAAチャンピオンとなった。また、60mで7秒の壁を破った最初の女子大学生ランナーにもなっている。

とはいえ、これらの才能を持っていても、大学レベルのチャンピオンがいきなりオリンピック金メダリストとなることは非常に大きな躍進と言える。しかしアルフレッドは、その瞬間を子どもの頃から夢見ていたという。彼女自身のため、そして母国のために。

「成長する中で、私はいつもセントルシアで最初のオリンピックメダリストになりたいと思っていました」と彼女は振り返った。「そして、ついに初めてのオリンピックで、しかも金メダリストになることができました」

年間平均325日は晴れるというセントルシアとは違って、雨の日のパリでアルフレッドは夢を叶え、そして新しいオリンピック王者となった。

パリ2024陸上競技女子100mのメダリスト

  • 🥇金メダル ジュリアン・アルフレッド(セントルシア) 10秒72
  • 🥈銀メダル シャカリ・リチャードソン(アメリカ合衆国) 10秒87
  • 🥉銅メダル メリッサ・ジェファーソン(同) 10秒92