パリ2024のトーチと聖火台、マチュー・ルアヌールが担当

執筆者 Olympics.com
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Mathieu Lehanneur
写真: Bureau Mathieu Lehanneur

オリンピック・パラリンピックのシンボルとなる聖火台と聖火リレーで使われるトーチのデザインについて、パリ2024大会組織委員会は仏デザイナーのマチュー・ルアヌール氏と共同で制作することを発表した。デザインは年内に発表される予定。

フランス人デザイナーのマチュー・ルアヌール(Mathieu Lehanneur)氏は、オブジェから建築、アートからプロダクトデザイン、ハンドクラフトから最先端技術を駆使したデザインまで、幅広い分野で多彩な才能を発揮し、国際舞台で広く知られている。

1974年生まれのルアヌール氏が手がける数々のプロジェクトは、イノベーション、マジック、デザイン、科学、アート、そしてユーザーの幸福感を高めるという願いを融合させたものとなっている。

「このアドベンチャーに参加できる喜びと、大会の歴史に貢献する責任を感じています。パリ2024とパートナーシップを組んでトーチと聖火台をデザインするということは、価値観を目に見える形にし、心のありようを象徴的なオブジェに表すということです。より速く、より高く、より強く、共に......私の目的は、このオリンピック・モットーに、より美しく、より軽く、より豪華に、を加えることです」

- 仏デザイナー、マチュー・ルアヌール

ルアヌール氏は、乗り物(ハイブリッドエンジンの船、折りたたみ式電動自転車)、街頭を彩る公共の家具、美術館やショップのインテリアデザイン、テクノロジー・プロダクトデザインなども手掛け、その表現領域は無数に広がっている。

一流ブランド、世界有数の機関、スタートアップ企業などとのコラボレーションでは、美しさとサステナビリティを融合したデザインが際立っている。パリで開催されたCOP21で発表されたソーラー街灯や、NASAの研究にもとづきハーバード大学と共同開発した、植物を利用した家庭用空気ろ過システムなどがその例として挙げられ、ハーバード大学との共同プロジェクトは、米国で発行されるポピュラーサイエンス誌の「ベスト・インベンション・アワード」を受賞した。

フランスデザイン界の第一線で活躍するルアヌール氏の作品は、パリのポンピドゥー・センターやパリ装飾美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館など、世界有数の美術館に収蔵されるほか、プライベートコレクションとして収蔵されている。

写真: Lionel Gasperini

マチュー・ルアヌール、入札により選出

オリンピック・パラリンピックのトーチと聖火台のデザインにあたっては、デザイナーを決めるための入札が行われ、参加者らにはパリ2024のビジョンに関する理解を示すことが求められた。その結果、マチュー・ルアヌール氏が選出された。理由として、彼の詩的で象徴的なアプローチと、パリ2024の価値観と期待を理解し、表現する能力が評価された。

オリンピック・パラリンピックの重要なシンボル、聖火台とトーチ

オリンピック・パラリンピック各大会の開催前には、聖火ランナーたちによって聖火が運ばれる。

オリンピック競技大会では、古代オリンピックにちなんでギリシャのオリンピアにあるヘラ神殿で式典が行われ、そこで太陽光から聖火が採火される。パラリンピック競技大会では、パラリンピック・ムーブメント発祥の地である英国のストーク・マンデヴィルで採火される。

その後、聖火ランナーたちがそれぞれの場所からリレーで聖火をつなぎ、フランス国内でのリレーを経て開会式で聖火台に点火され、開会が宣言される。

神話的なオブジェとされるオリンピックとパラリンピックのトーチと聖火台は、その大会の精神を象徴するデザインとなり、そのデザインは通常、開催国の文化や特徴に関連するものとなる。

2023年に公開予定のオリンピック・パラリンピックのトーチ

一般の人々はオリンピック・パラリンピックの聖火リレーを通じて聖火を目にすることができる。聖火リレーの詳しいルートは2023年春に公開予定。トーチのデザインは年内に公開される予定となっている。