ロンドンマラソン2024丨コースの特徴は?
1981年の誕生から毎年行われているロンドンマラソン(英名:TCS London Marathon)は、現地時間4月21日に行われる2024年エディションで、44回目の開催を数える。
新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響により、2020年から2022年までイレギュラーとなった秋開催の3年間を経て、従来の春開催に戻った2023年のロンドンマラソンでは、マラソン出場2度目にしてロンドンマラソンのデビューを飾ったケニア代表のケルビン・キプトゥム(写真上)が、2時間1分25秒という大会レコードを打ち立てて優勝し、大きな話題をさらった。
さらに、ロンドンからわずか半年後の2023年10月に行われたシカゴマラソンでは、マラソン3度目のチャレンジにして、キプトゥムは驚異的なタイム2時間0分35秒でフィニッシュし、これまでの世界記録を塗り替えるという快挙を成し遂げたのだ。
パリ2024での活躍も期待されていたキプトゥムは、2024年2月11日、不慮の事故により24歳という若さでこの世を去り、陸上ファンだけでなく世界中の多くの人々が、才能に溢れる将来有望なアスリートの突然の訃報に言葉を失い、深く心を痛めた。
人類が夢見る "サブ2" =「マラソン2時間以内の完走」の可能性へと確実に歩んでいたキプトゥムの功績を追悼し、彼が駆け抜けたロンドンの42.195kmのコースを辿ってみた。
■コースの特徴
ロンドンマラソンのスタート地点は、ロンドン南東部に位置するグリニッジ・パークだ。この王立公園には、経度0度に位置し、世界各国のタイムゾーンの基準となったグリニッジ天文台があることでも有名だ。スタートから約7kmに及ぶダウンヒルを走ると、視界にはイギリスの首都を象徴するテムズ川が見え、その岸辺にそびえるカティーサークがランナーたちを迎えてくれる。
ここから先は概ねフラットなコースが続くため、序盤の下り坂の勢いのままリズムに乗ることができれば、目標タイムにも届きやすい点が、ランナーたちを魅了するロンドンマラソンの特徴のひとつでもある。マラソン2度目の出場にして、アボット・ワールドマラソンメジャーズ(AbbottWMM)のひとつに認定されているロンドンマラソンにデビューを果たしたケルビン・キプトゥムも、きっと同じような戦略を描いていたに違いない。
9名のエリートランナーで構成された先頭集団の中で、虎視眈々とタイミングをうかがっていたキプトゥムは、ロンドン市内を巡るテムズ川の地形に沿ったカーブのあるルートを走り、タワーブリッジを渡ったところで迎える中間地点を1時間1分40秒で通過する。
ここで少しアップヒルになり、ジグザグの多いウォーターフロントエリアの難しいコースが続くなか、30km地点を過ぎたところでキプトゥムが仕掛ける。大きなストライドで、集団から抜け出したキプトゥムは、このペースを維持したままおよそ35km地点まで続く周回コースを疾走する。
ロンドン塔を左横目で確認すれば、あとはゴールまでの直線コースを走り切るだけだ。40km地点を過ぎると、ロンドン・アイ、ビッグ・ベン、ウェストミンスター寺院、国会議事堂(ハウス・オブ・パーラメント)といったロンドンの観光名所の美しい光景が目に入ってくるだけでなく、沿道に集まった何千人もの人々からの声援がランナーたちの背中を押してくれる。
2023年のロンドンは、特に興奮していた。
コロナ禍を経て、通常開催に戻った春の恒例イベントを祝福し、さらに彗星の如く現れたスター選手による記録更新が現実味を帯びていたので、その歴史的な瞬間を目撃しようと、一際大きな歓声と拍手でキプトゥムへ、エールを送っていた。
そして、セント・ジェームズ・パークを抜けて、バッキンガム宮殿の前のコーナーを右に曲がれば、トラファルガー広場まで続く "ザ・モル" という通りに用意されたゴールゲートが待っている。
キプトゥムは、失速するどころか、前半を上回るペースで後半ハーフ(59分45秒)を走り切り、ロンドンマラソンの大会記録となる2時間1分25秒という驚異的なタイムで優勝した。
2024年のロンドンマラソンの号砲は、4月21日に鳴らされる。
キプトゥムにインスパイアされた次世代のランナーたちが、ロンドンで新たな歴史を作ることを、きっと彼も天から見守ってくれているはずだ。
■放送予定
- 地上波:未定
- BS/CS:未定
- ネット:Olympics.com
※2024年4月15日時点
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