国枝慎吾選手「オレは最強。重圧があったからこそ、できたあのパフォーマンス」メダリストインタビュー

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東京2020パラリンピックの車いすテニス、男子シングルスで金メダルを獲得した国枝慎吾選手。歓喜の瞬間から一夜明けた9月5日(日)、取材に応じ、競技を終えた今の思いや今後への意気込みを語りました。

国枝慎吾選手「オレは最強。重圧があったからこそ、できたあのパフォーマンス」メダリストインタビュー

圧巻の内容で制した東京2020大会

「重圧があるからこそ、あのパフォーマンスができたと思います」。国枝選手は圧巻の内容で制した東京2020パラリンピックの勝因について、こう表現しました。パラリンピックは5大会連続出場で、男子シングルスは北京2008大会、ロンドン2012大会と2大会連続の金メダル獲得。前回のリオデジャネイロ2016大会はベスト止まりと苦しい結果に終わりましたが、現在世界ランキング1位と車いすテニス界のトッププレイヤーです。

今大会、国枝選手は2回戦から登場し、シングルスの5試合すべてストレートで勝利しました。また4日のトム・エフベリンク選手(オランダ)との決勝はわずか1時間18分で決着をつける圧勝劇。強さを見せつけた一方、重圧ものしかかっていたそうです。

「僕自身が日本選手団の主将、最初にこけるわけにはいかないと、結果で貢献できてほっとしています」。リオのリベンジ、世界トップランカー、そして日本選手団の顔など、様々なプレッシャーを乗り越えてつかんだ頂点。決勝の第2セット、相手の返球がネットにかかり決着がつくと、涙を流して、喜びをあらわにしました。

「負けられない、負けたくないは重圧ですし、また期待に応えたいも重圧です。でもそれが強ければ強いほど、乗り越えたときの喜びは何倍にも膨れあがりますし、そうでないと勝って涙することはありません。金メダル獲得の瞬間は、ぼくの人生の中で幸せでした」

国枝選手は決勝の終了後、喜びの涙を見せました
国枝選手は決勝の終了後、喜びの涙を見せました

「ホーム」で戦っていることを実感

自国開催の東京2020大会を終え、国枝選手は「ホーム」で戦っていることを実感していたそうです。「無観客という条件の中でしたが、テレビの放映も多く、多くの方に見ていただいていたかと思います。また会場では運営の方、ボランティアの方にも声を掛けてもらいました。4大大会では朝起きて、『だるいな』と感じることもありますが、毎日疲れを感じないところがホームの力なのかなと。東京開催は僕の背中を押してくれました」。

そんな大会を迎えるにあたり、金メダル獲得という目標はもちろんのこと、車いすテニスのレベルの高さ、競技の魅力を感じてもらうことも、心に誓って臨みました。「『国枝さんのファンです』と言われるのは嬉しいことですが、ライバル選手のファンも増やしたかったのも一方ではあります。盛り上がりの度合いはこれから分かってくることですが、そういうことが見えてくるかと思うと楽しみです」。

「オレは最強だ」。この言葉を2006年からラケットに貼り、自分自身に言い聞かせて試合に臨んできました。「重圧の中、自分自身のプレーをどう出し切るかをパラリンピックでは求められるので、この言葉に支えられました」。東京2020大会を終えましたが、息つく暇なくすぐにニューヨークで開催される、グランドスラムの一つ全米オープンに向かいます。

今後について、「日ごろのツアーや4大大会の延長線上にパリがある。まずは目の前の大会のほうが、年齢的に合っています」と話しつつも、「残り3年は、4年とは違って、あっという間に過ぎていきますので、やれない距離感ではないですね」とパリ2024大会に意欲を示しました。世界のトップに返り咲いた37歳は、自身2度目のパラリンピック連覇に向けて、一歩ずつ歩みを進めます。

トム・エフベリンク選手(オランダ)との決勝を戦う国枝選手
トム・エフベリンク選手(オランダ)との決勝を戦う国枝選手
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