「貴重な国家事業で得た経験を、今後に生かしていきたい」選手村警備 陸上自衛隊 井上颯さん

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2021年8月8日(日)に閉幕した東京2020オリンピック。1万人以上の選手が熱戦を繰り広げたその裏側で、選手の滞在していた「選手村」をおよそ500人の陸上自衛官が警備にあたった。選手村の玄関口で、車両の警備を担当した第7普通科連隊 第4中隊 2等陸曹の井上颯さんは「選手が安心して過ごせるように」と心がけて臨んだ大会を振り返る。

貴重な国家事業に関わりたいと上司に志願

東京2020オリンピックでは、総勢約8,500人の自衛官が、警備、国旗等の掲揚、医療サービスといった支援のために参加しましたが、ほとんどの隊員が希望を出して、任務に就いていました。東京2020大会が1年延期となりましたが、その前からずっと「貴重な国家事業に関わりたい」と上司に志願していました。それは、派遣が部隊単位で行われたため、編成を早く作り備えたいという考えからです。また、自衛隊がオリンピックを支援するのは冬季オリンピックの長野1998大会以来でしたので、災害派遣や国際活動が多く、なかなかない機会なので参加したいと思いました。

コミュニケーションが取れるように英会話とマナーを学んで

勤務場所が選手村と決まってからは、海外の選手と接することも想定し、必要最低限の英会話と失礼のないようマナーを学び、コミュニケーションが取れるよう準備をしました。

活動は、車両に爆発物が設置されていないかや、不審人物が乗車していないかの点検であり、選手バスの運転席には封印が貼ってあり降りられませんが、トラックなどの運転手には降りてもらい、エックス線検査を行いました。持ち込んではいけないものをしっかり伝え、見分けることを心掛けて任務にあたりましたね。普段の訓練から組み込まれている業務なので難しいことではなかったですが、不測の事態があった際には責任も生じてきますので、注意を払いながら実施していました。

さらに私自身は、同じ部隊から来た自衛官の組長として、現場で指導していく立場でしたので、隊員のストレスケアをしたり、猛暑も続いていたので身体的疲労が軽減されるようローテーションを組みながら任務を遂行しました。

持ち込んではいけないものがないか、一つ一つ丁寧に確認を行った
持ち込んではいけないものがないか、一つ一つ丁寧に確認を行った

試合に勝った選手は窓越しでもわかるくらい良い雰囲気だった

警備中には、外国人選手が「How are you?」と話しかけてくれたり、場所がわからずに聞かれたりしたほか、メダルを持って帰ってきた選手は、緊張が「ふわっ」と解けたような雰囲気で、僕らにバスの中からメダルを見せてくれました。

海外の方と日本人では雰囲気が違うので、はじめは「飲み込まれてしまうかな?」と思っていましたが「おーグレイト!」「おめでとう」と拍手をしたり、コミュニケーションを取ることができました。また、私自身もずっとボクシングをしてきていたので、選手村でボクシングの選手を見かけて「大きいな」と感動しましたね。

24時間交代制だったので、なかなかテレビで試合を見る時間がなかったのですが、部隊内では「日本勝ったね」と話が盛り上がりました。

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オリンピック期間中24時間、警備を行った
オリンピック期間中24時間、警備を行った

オリンピックでの経験を、他の場面でも

この経験を通して一番学んだことは、警察官や、警備員の方など一般の方と任務に就くことが初めての経験で、様々なことを知ることができ、とても感謝しています。また今後、外国語を勉強することを部隊単位でもやっていかなければ、コミュニケーションが取れず、何を考えているかもわかりませんし、伝わらないと感じました。

また、近隣住民の方やホテルの方が、「行ってらっしゃい」「がんばってください」と言ってくださって気持ちよく勤務をすることができたので、すごくありがたかったです。今回、貴重な国家事業に携わらせていただいたので、厳正な規律をもって勤務するということを災害派遣などに生かしていきたいと思っています。

井上さんと共に警備を行った、第7普通科連隊 第4中隊の隊員
井上さんと共に警備を行った、第7普通科連隊 第4中隊の隊員

各会場で任務にあたった陸上自衛隊