迫力と感動の瞬間を世界に届ける、テクノロジーの進化が生む斬新な撮影

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史上最多の33競技が実施された東京2020オリンピックは2021年8月8日(日)に閉幕し、8月24日(火)から東京2020パラリンピックが始まります。アスリートたちの雄姿と感動の記録を捉えるべく、両大会においてすべての競技で撮影を担当しているのは、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)の公式フォトエージェンシーであるゲッティイメージズ。エディトリアルオペレーション部門の最高責任者であるマイケル・ヘイマンさんに、今回、全42会場で行われたオリンピック競技の撮影について、お話を伺いました。

東京2020大会では、国内外メディアの報道拠点となるメインプレスセンター(MPC)に専用のオフィスを置き、撮影・編集体制を組まれているそうですね。

準備のため、最初に東京に来たのは2016年です。すべての競技会場をつなぐネットワークを構築して、カメラマンが撮影した写真を、どの会場からでもすぐにMPCにあるサーバーに送れるようにしています。東京に来ている編集者は、5人しかいないんです。でもこのサーバーを経由して、世界各地にいる50人ほどの編集者がリモートで編集作業をすることができます。シドニー(オーストラリア)、アジア、ヨーロッパ、アメリカ合衆国、ブエノスアイレス(アルゼンチン)など、東京にいなくても、世界各地で編集できる体制を作りました。カメラマンは、IOCや東京2020組織委員会(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)で撮影している者も含め、全部で70人以上います。

今回の撮影で、大変だったことを教えてください。

オリンピックは、私たちが関わる最大のイベントです。短い期間に33の競技が実施されるので、すべてを網羅するのは本当に大変でした。また、普段、撮影していないような競技も行われるので、それは私たちにとって挑戦の一つでした。他のエージェンシーと違って、私たちは常にその競技のスペシャリストを用意し、チームを組んでいます。あとは、どの競技でもそうですが、夏の大会は暑いのが大変な点ですね。東京も暑かったです(笑)。

アーティスティックスイミングのチームフリールーティン、日本の演技。水中カメラはリモートで操作される
アーティスティックスイミングのチームフリールーティン、日本の演技。水中カメラはリモートで操作される

競技の撮影のために、工夫した点はどんなところですか? 特別な技術を特定の競技の撮影に使うといったことはありましたか?

まず、それぞれの競技に、その競技の専門知識を持ったカメラマンを派遣しています。そしてテクノロジーは重要な要素です。数年前に2つの水中カメラを独自に開発したんですが、水中にカメラをセットして、リモートで操作しながら、競泳、飛込、水球、アーティスティックスイミングなどの競技を撮影しました。それから12個のロボットカメラをそれぞれの会場の天井に設置していて、それをMPCで操作しています。ビデオゲームみたいにジョイスティックを使って、違う角度にしたり、違う視点で、追いかけたり移動させたりして。アリーナの床面に、東京2020オリンピックのリングやロゴが入っているので、(それらが選手と一緒に入るように)上からのショットを撮れるようにしました。そういうものは、会場の図面を見て、実際に会場を視察して、2019年までにセットアップをしていきました。延期で中断した時期はありましたが、東京2020組織委員会やIOCと密接に連携をして、会場の様子やどの位置で写真が撮れるかというのを何度も調整しながら、完成させていきました。

陸上競技ではゴール地点にロボットカメラを設置して、倒れたり、空を仰いだりする選手の印象的な瞬間を狙いました。ハンマー投は、ケージの中にカメラを設置しているんですよ。選手を後ろから映して、スタジアムに向かって投げる様子を撮影しました。それはどんな風に撮影するかという知識やノウハウ、撮影技術の集結とも言えるべきものです。私たちはIOCの公式フォトエージェンシーとして、過去17大会の実績があり、私個人で言えば、北京2008大会以来、7大会を経験しています。過去の知識の集積が、東京2020大会に生かされています。

ウエイトリフティングの女子59キロ級で、銅メダルを取った安藤美希子選手。天井にカメラが設置され、真上からの撮影が可能に
ウエイトリフティングの女子59キロ級で、銅メダルを取った安藤美希子選手。天井にカメラが設置され、真上からの撮影が可能に

リオデジャネイロ、ロンドンなどの過去大会との違いはありましたか?

この東京2020大会は素晴らしかったです。写真的にとてもよかったです。会場がまず美しい。会場は細部にいたるまで工夫が凝らされていて、すべての外観、美しさ、緊張感が、会場の写真を撮った時に表れて、驚くべき写真になっています。テクノロジーも進化しました。ネットワーク技術によって、ケーブルがいらなくなり、設備面でも、撮影の計画を立てる面でも、仕事がしやすくなりました。それから、さまざまな調整をする中で、日本の方々がとても親切にサポートをしてくれました。しかも、日本は安全なので、カメラマンが高価な備品を持って移動しても、余計な心配をしないですみます。ここ東京での、効率の良さ、清潔さ、人々の態度は、目を見張るものがありました。

カメラやテクノロジーの進化によって、オリンピックの写真は変わりましたか?

写真のクオリティやどういった写真が撮れるかというのは、毎大会、雰囲気も違いますし、開催国によって違ってきます。いつもベストな写真を撮ることを心掛けていますが、テクノロジーの面で前回のリオから変わったのは、やはりSNSなどでコンテンツをみんなが早く欲しがるようになり、その点では需要が大きく変わってきています。例えば15年前は、印刷の締め切りに間に合わせることが重視されていましたが、今は24時間、いつでも写真を更新して、新しい写真をどんどんサイトに載せていくという仕事スタイルに変わっています。

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新競技のスケートボード(ストリート)で、日本史上最年少金メダリストになった13歳の西矢椛選手。会場は有明アーバンスポーツパーク
新競技のスケートボード(ストリート)で、日本史上最年少金メダリストになった13歳の西矢椛選手。会場は有明アーバンスポーツパーク

今回、撮影で特に注目していた競技は?

競泳、陸上、体操競技は、カメラマンにいつも人気がありますね。種目がいっぱいあって、バラエティに富んでいるので。それから新しい競技のスケードボード、サーフィンも、多くのカメラマンが撮影を楽しみにしていました。あとは意外に思われるかもしれませんが、フェンシングやウエイトリフティングも、アスリートの感情が表に現れやすいスポーツです。バドミントンは動きやアクションもとても面白い。そういった競技もカメラマンの関心が高かったと思います。東京2020大会は何といっても会場が素晴らしかったので、どの競技でも、満足できるいい写真がたくさん撮影できました。

フェンシングは男子エペ団体で日本初となる金メダルを獲得した。加納虹輝選手の緊迫感が伝わってくる
フェンシングは男子エペ団体で日本初となる金メダルを獲得した。加納虹輝選手の緊迫感が伝わってくる

8月24日から東京2020パラリンピックが始まりますが、どのような撮影をしたいですか?

パラリンピックは、ある意味、オリンピックよりも興味深い撮影になると思います。アスリートたちはここに来るまでに、いろいろなことを乗り越えてきました。パラリンピックの選手のパフォーマンスの素晴らしさ、ここまでのレベルで競技するんだという素晴らしさは周りを勇気づけるもので、そういったものが写真にも反映されます。また、パラリンピックは、比較的リラックスした雰囲気で行われるので、選手たちもフレンドリーです。パラリンピアンは、私たちにもわりとオープンに接してくれますし、とても雰囲気がいい。そうして撮影されるパラリンピックの競技写真は、見ているだけで、私自身、いつも心を動かされます。今回も感動的で素晴らしい大会になるでしょう。

ゲッティイメージズ エディトリアルオペレーション部門 バイス・プレジデント マイケル・ヘイマン氏
ゲッティイメージズ エディトリアルオペレーション部門 バイス・プレジデント マイケル・ヘイマン氏
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