渡辺勇大選手・東野有紗選手「弱い者同士、余って組んだのがスタート」メダリストインタビュー

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東京2020オリンピックのバドミントン混合ダブルスで、同種目日本勢初となる銅メダルを手にした渡辺勇大選手と東野有紗選手。中学時代から組んできたお二人が、一夜明けてインタビューに応じ、喜びを語りました。

渡辺勇大選手・東野有紗選手「弱い者同士、余って組んだのがスタート」メダリストインタビュー
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最高に息の合ったプレーで、混合ダブルスで日本勢初のメダルを引き寄せました。お互いはどんな存在ですか?

東野有紗(以下、東野) 勇大君は年下なんですけど、すごく頼れますし、自分より大人で、年下感がなく、逆にすごく頼っちゃってます。性格は明るいですし、誰とでも気さくに話して、みんなに優しい勇大君です。

渡辺勇大(以下、渡辺) 先輩の明るいところ、元気なところにすごく救われていますし、コートの中でもいつも励ましてくれて支え合っていけて気持ちがよくて最高のパートナーだと思っています。

出会った中学生のときは、お互いの第一印象はだいぶ違ったそうですね。

東野 勇大君は、今と全然違って喋れない子で、でもプレーをしたらすごくトリッキーなプレーをしていて魅力的な選手でした。

渡辺 僕は先輩のプレーはあまり見たことがなくて、第一印象はすごく明るい先輩で、僕はかなりシャイだったのでちょっと怖いなという印象はありました。そんな先輩と組んだきっかけは、インドネシアで国際大会があってミックスダブルスやるよってなったときに、(チーム内の)強いペア同士で組んでいったら、最後に僕らが弱い者同士で余った、というスタートでした。

「組んだらすごく楽しくて、あの瞬間は今でも忘れられない」

組んでから、お互いのプレーをどう感じましたか?

渡辺 組んでみたら、お互いのスピード感も合うし、自分が打ちたいところに打たせてくれるような配球を東野先輩がしてくれたりして、すでにあうんの呼吸が合っていました。それで「この人ともっと強くなりたいな」と素直に思いました。

東野 中学のころ、まだ話したことも全然ないのに、組んだら息が合って、すごく楽しくて……。あの瞬間は今でも忘れられないです。勇大君のプレーは相手からするとすごく嫌で、追い込んでるはずなのに、追い込まれたところからでも相手が想像できないところに返したりします。私がびっくりするくらいのプレーがすごく多くて、勇大君のプレーは世界で一番すごいと思いました。勇大君とだから、ここまでやってこれたと思います。

メダルが確定し、ハグする二人
メダルが確定し、ハグする二人
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10年組んできた思いが、ハグに繋がった

2019年から日本に招へいしたマレーシアのジェレミー・ガン氏の指導を受けたことは、お二人にとってどんな影響がありましたか。

東野 それまでは、あうんの呼吸だけでやって来ていたのですが、コミュニケーションを取ることができていませんでした。ジェレミーさんに「コミュニケーションが大事だよ」ということを教わって、話し合うようになってからは、お互いの考えが分かるようになって、違う自分たちのチームを作れたと思います。ジェレミーさんが3人で話すために、英語が分からないので通訳してくださる方も交えた時間を作ってくれて、それが今に繋がりました。

3位決定戦で勝ったあとにハグをして、渡辺選手が東野選手の頭をポンポンとしたのが印象的でしたね。

東野 そのときは頭ポンポンされたのは分からなかったんですけれど、10年間、勇大君と組んできた思いや感情がすごく表れたんじゃないかなと思います。

渡辺 僕も頭をポンポンした記憶がなくて、勝った喜びとか、苦しかった経験とかが少し報われた気がして、あのハグに繋がったんじゃないかなと思います。

銅メダルを取ったあと、男子ダブルスで組む「遠藤大由選手と3人でとったメダル」と話していましたが、改めてその気持ちは?

渡辺 僕は男子ダブルスと混合ダブルスと2種目やっていて、遠藤さんと共に歩んできたという気持ちが大きいです。遠藤さんと組んでからの5年間はあっという間だったし、遠藤さんにダブルスのすべてを教わってきたので、3人で1つのチームだと思っていました。やっぱり、3人で何とか取れた銅メダルだと思います。

お二人は、バドミントンの強豪・富岡第一中学校(福島県富岡町)の1年と2年のときに東日本大震災を経験されました。福島県の方々への思いをお聞かせください。

渡辺 僕らは福島県で育ったといっても過言ではなく、福島で過ごした6年は大切でかけがえのない時間でした。東日本大震災があり、苦しい状況の方々が、僕らをあきらめずにサポートしてくれました。少しでも勇気や感動を与えられたらという気持ちでオリンピックを戦ってきたので、銅メダルを獲得したことで少しでも恩返しできたかなと思います。

東野 福島県で過ごした6年はかけがえのない時間で、この6年がなければ私がここに立っていることはないと思います。お世話になった福島県の方々に、恩返ししたい気持ちでこのオリンピックに臨みました。

25歳の誕生日プレゼントは「先輩に聞いてみます」

東野選手は、銅メダル獲得の2日後となる8月1日が25歳の誕生日ですね。

東野 3位決定戦でメダルが決まった時は、最高の誕生日になるなと思いました。25歳も頑張っていきたいと思います。

渡辺 まだプレゼントは何を渡すか決めてないですけど、僕はサプライズが得意じゃないので、先輩に何が欲しいか聞いて、あんまり高くないものをあげたいと思います。

改めて、混合ダブルスの魅力を教えてください。

東野 混合ダブルスは、男子ダブルスのスピード感あるプレーと、女子のゆっくりなプレーと、緩急があるところが面白さです。男子の球を女子が頑張って取ったり、女子と男子で力を合わせて何回も攻撃していくのが魅力かなと思います。

渡辺 混合ダブルスは、駆け引きという部分では他の種目よりも、さらに頭を使います。僕は背が大きいわけでも、力があるわけでもないので、他の選手よりもより一層頭を使うスタイルにする必要があります。むしろ頭脳戦があって混合ダブルスが成立するのかなと思います。頭の中をのぞいてもらうと、もっとミックスの魅力が分かるかも知れません。

今後の目標をお聞かせください。

渡辺 またすぐにツアーが再開されるので、僕らはつねに勝ち続けられる選手でありたいと思っています。パリ2024オリンピックでの金は頭の片隅にありますが、まずは目の前の1秒1秒を大切に試合していきたいです。

東野 今回は銅メダルで悔しい思いしたので、パリで金を取りたいです。そして1つ1つの大会、試合を大事に戦っていきたいです。