上野7奪三振はさすが、光った山本の同点打、内藤のスライディング 北京金・馬場幸子さんに聞く

[広告]

東京2020大会の開幕に先駆けて、2021年7月21日(水)、ソフトボールのオープニングラウンドが行われた。日本選手団の先陣を切って登場したソフトジャパンは、アテネ2004大会で銀メダルを獲得したオーストラリアに8対1の5回コールド勝ち。日本選手団としては最高のスタートで、目標として掲げる金メダルへ弾みをつけた。上野由岐子、山田恵里、峰幸代ととともに北京2008大会を戦った金メダリストの馬場(旧姓・伊藤)幸子さんに、日本代表の勝因や試合のポイントなどを聞いた。

投打「二刀流」の藤田倭。オーストラリアとの開幕戦で2ランホームランを放つ
投打「二刀流」の藤田倭。オーストラリアとの開幕戦で2ランホームランを放つ

コールド勝ちという最高のスタート

日本チームは、初戦、コールド勝ちという最高のスタートを切れました。バッテリーもバッター陣もいい形で試合ができたと思います。3本もホームランが出るとは想像していませんでしたが、選手たちは気持ちよくバットを振れたのでは。よかったです。

上野投手は、スピードを少し抑えながら、コースを丁寧に突いて投げていたと思いました。国際大会になると、ストライクゾーンなど審判への対応が必要なのは当たり前ですが、そのあたりは上野投手の経験からくるピッチングだったと思います。そういうところも頭に入れながらの初回の入り、落ち着いていました。2つのデッドボールもありましたが、オーストラリアのバッターもなんとか上野投手を攻略したいと考えていたので、そういう表れでしょう。上野投手は4回3/1を投げて7奪三振、チェンジアップで3三振も取れていたので、キャッチャーの我妻悠香選手とよくコミュニケーションが取れていたと思います。それなりの緊張もあったと思いますが、やはり経験があるので、さすが上野投手でした。

20歳の後藤希友選手が試合で投げられたのはよかったですね。思い切って投げられたと思います。2死満塁までいきましたけど、最後はチェンジアップで三振を取れたので、いいスタートが切れました。後藤選手は、こうやって、中継ぎというか、目線を変えるために起用されていくと思いますので、これからの試合でも自分が投げるときにはどういうボールを投げたらいいのかなど、バッターをよく見て、整理して投げてくれるといいなと思います。

難しい判断の中で、思い切った走塁を見せた内藤
難しい判断の中で、思い切った走塁を見せた内藤

3ホームラン、打つべき人が打った日本

打線も3本のホームランが出ましたが、この試合の一番のポイントは、初回に1点取られた後の1回裏2死2塁の場面で、山本優選手が打ったライト前ヒットですね。その同点打はさすが4番の一振りでした。追い込まれて、苦しいバッティングだったと思いますが、しっかりとヒットにしたのは、山本選手の強さ。そして、さらによかったのは、そのときに2塁にいた内藤実穂選手がホームまで走ってきたことです。最後、きわどいタイミングになりましたが、最後にしっかり足を入れたことで、審判も走塁妨害を取りました。走塁で外に回り込んだりしてしまうと、そうはならなかったと思います。ボールがホームまで来ている中で、突っ込んでいいかという判断はしにくかったと思いますが、真っすぐスライディングした。ナイス走塁でした。その後に続いた内藤選手、藤田倭選手、山本選手の2ラン、4回の原田のどか選手の犠牲フライもよかったです。

守備では、5回に渥美万奈選手が、三遊間抜けそうなショートゴロをアウトにできたのはよかったですね。オーストラリア打線は気が抜けないバッター陣ばかりでしたが、バッテリーが我慢しながらコースコースに投げてくれたので、内野ゴロも多かったのだと思います。

今後に向けては、代打で出場した森さやか選手のように、早い段階でいろんな選手が試合に出て経験ができるといいと思います。そうすることで決勝にもつながる。初戦は、ホームランが3本出ていい流れでしたが、ソフトボールでは点が取れないこともあるので、そういうときに、ヒットを打つことも大事ですが、いかにフォアボールが取れるか、相手のエラーを誘うなどでいかに出塁していくか。そういった小技の部分も大事になってくると思います。人工芝ということで、今後、川畑瞳選手らも小技も多用してくることもあると思います。これからの戦いで、そういう部分も期待したいと思います。

[広告]

馬場(伊藤)幸子さんのプロフィール

愛知県名古屋市出身の元ソフトボール日本代表。スポーツ校として知られる愛知淑徳高等学校から中京大学に進み、一塁、ショートをこなす期待の内野手として、ソフトボールの名門、トヨタ自動車に入団。2001年に日本代表に初選出され、世界選手権で2度、銀メダルを獲得。北京2008オリンピックでは、悲願の金メダル獲得に貢献した。32歳10カ月でのオリンピック金メダル獲得は、北京2008大会当時、夏冬通じて日本女子での最年長記録。2008年秋に紫綬褒章を受章。

内野手として活躍し、北京2008大会で金メダルを獲得した馬場さん
内野手として活躍し、北京2008大会で金メダルを獲得した馬場さん