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アーティスティックスイミングは、シンクロナイズドスイミングの名で知られているが、音楽に合わせて水中でアクロバティックな演技を行ったところから発展した。19世紀後半に初めて行われた競技は男子選手を対象としたものだったが、その後、女子選手にも広がっていった。20世紀初め、アメリカ合衆国で開催されていたシカゴ万国博覧会でパフォーマンスが披露され、一気に人気が高まり、その後、初の全米選手権が開催されている。
オリンピックのアーティスティックスイミングでは、デュエットとチームの2種目が実施される。デュエット種目は、テクニカルルーティンとフリールーティンを組み合わせた得点の合計で競い合われる。チーム種目には、アクロバティックルーティンが追加され、3つのルーティンの合計得点で順位が決まる。競技は、水深3メートル、長さ30メートル、幅20メートルのプールで行われる。
各ルーティンは、ジャッジによって、選手のエクスキューション(完遂度)とシンクロナイゼーション(同時性)をはじめ、難易度、音楽の使い方、演技構成などから採点される。
選手は、手や脚の推進力を使って、水面から大きく飛び出して行うパフォーマンスや、逆さまになって下半身だけを水面から出し旋回する演技を行う。そのため、選手には大きなパワーと持久力、柔軟性はもちろんのこと、身体の協調性や細部にわたる繊細さも求められる。
アーティスティックスイミングは、1984年ロサンゼルスオリンピックで初登場して以来、オリンピック正式競技として実施されている。パリ2024では、オリンピック史上初めて男子選手のチーム種目への出場が認められることになった。
当初、米国とカナダがオリンピックにおけるアーティスティックスイミングの主要強豪国として活躍し、これまでに両国を合わせて8個の金メダルを含む17個のメダルを獲得している。しかし、シドニー2000以降、ロシア(ロシアオリンピック委員会)が頭角を現し、6大会連続してデュエットとチームの両種目で優勝し、合計12個の金メダルに輝いている。