競歩のルールを知って東京五輪を楽しもう!|大会形式や注目選手について解説

1 執筆者 渡辺文重
Yusuke Suzuki

50キロ競歩は1932年ロサンゼルス大会から開始。20キロ競歩は1956年メルボルン五輪で初採用された。これまで日本における注目度は決して高くなかったが、リオデジャネイロ五輪で荒井広宙が銅メダルを獲得。Tokyo 2020(東京五輪)でも日本勢のメダル獲得が有力視される。

■五輪で実施される競歩の楽しみ方

東京五輪の競歩は、札幌大通公園(北海道札幌市)をスタート・フィニッシュとし、駅前通りを南北に使用した周回コースで行われる。沿道から無料で観戦できる予定だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、どのような観戦スタイルが採用されるかは未定だ。

■ルール

競技者は一斉にスタートし、最初に50キロ、あるいは20キロを最初に歩き切った選手が勝者となる。これだけならばマラソンなどと同じだが、“走ってはいけない”など、さまざまなルールがあり、陸上競技の中では最もルールが複雑とも言われている。主な反則は以下の2つ。

ロス・オブ・コンタクト

競歩では競技者のいずれかの足は地面についた状態でなければならない。両足が同時に地面から離れた状態にあると「ロス・オブ・コンタクト」となる。

ベント・ニー

前脚が接地の瞬間から垂直の位置になるまでの間に、ひざが伸びていない状態があると「ベント・ニー」の反則となる。

これらの反則がないかを審判員がチェック。選手に「注意(イエローパドル)」が出された後、それでも直らなければ「警告(レッドカード)」。3人以上の審判からレッドカードを受けると「失格」となる。

■大会形式

男子20キロ競歩は2021年8月6日、男子50キロ競歩は7日、女子20キロ競歩は7日に、一発勝負で行われる。

■楽しんで見るポイント

1908年のロンドン五輪で行われた競歩はトラック競技(3500m、10マイル)だったが、その後は距離が変更され、さらにはロード競技となり、現在に至っている。陸上競技の国際統括団体のワールドアスレチックスは2022年以降、男子50キロ競歩を廃止すると決定。男子50キロ競歩は、東京五輪が最後の大会となる。

■注目選手

日本陸上競技連盟(JAAF)は東京五輪の1年程度延期が発表された後の4月17日に理事会を開催。マラソンおよび競歩の内定を維持する方針を示した。競歩は7選手までが内定している。世界陸上ドーハ2019で金メダルを獲得した男子20キロ競歩の山西利和と男子50キロ競歩の鈴木雄介は、間違いなく東京五輪の優勝候補だ。

男子20キロ競歩

  • 山西利和(愛知製鋼)ドーハ2019世界選手権金メダル
  • 池田向希(東洋大学)第44回全日本競歩能美大会優勝
  • 高橋英輝(富士通)国内選考競技会上位入賞

【補欠】

  • 古賀友太(明治大学)国内選考競技会上位入賞
  • 藤澤 勇(ALSOK)国内選考競技会上位入賞

男子50キロ競歩

  • 鈴木雄介(富士通)ドーハ2019世界選手権金メダル
  • 川野将虎(東洋大学)第58回全日本50km競歩高畠大会優勝

女子20キロ競歩

  • 岡田 久美子(ビックカメラ)第103回日本陸上競技選手権大会20km競歩優勝
  • 藤井 菜々子(エディオン)第44回全日本競歩能美大会優勝
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