卓球のワールドカップ団体戦は、2年に一度、国際卓球連盟の主催で行われる。今年は開催国が日本となり、東京体育館で熱戦が繰り広げられる。刻々と開幕が迫る東京五輪と同じ会場で、同じ試合形式で行われるだけに、日本勢は自信と手ごたえをつかんで、2020年の東京五輪のメダル獲得につなげたいところだ。
男女各12チームが出場、8チームが決勝トーナメントに進出
卓球のワールドカップ(以下W杯)は、1980年から国際卓球連盟(以下ITTF)が主催してきた。
個人戦は毎年開催されているが、団体戦は2年に一度の実施となり、日本は今年、1990年以来29年ぶりとなるW杯団体戦の開催国となった。大会は計5日間行われ、11月6と7日にリーグ戦による第一ステージ、7日から10日にかけてトーナメントによる第二ステージが開催される。予選抽選会は開催前日の5日に、本戦抽選会はトーナメント進出チーム決定後の7日に行われる予定だ。
出場するのは男子、女子それぞれ12チーム。試合形式は第1試合がダブルス、残り4試合がシングルスとなり、3ゲーム先取で勝敗が決定する。
リーグ戦では、12チームが4チームごとのグループに分かれて戦い、各グループの上位2チーム、計8チームがトーナメントに進出。トーナメントはノックアウト方式の勝ち抜き戦で行われ、3位決定戦は設けられていない。1チームにつき、最大5人までの選手登録が可能で、3人の選手がダブルスを合わせて2試合ずつ出場することになる。
2018年2月にロンドンで行われた前回のW杯団体戦で、日本勢は男女ともに決勝で中国に敗れ、涙をのんでいる。今も「最強王者」として君臨する中国の実力は圧倒的で、W杯団体では男子が7連覇、女子が8連覇と驚異的な記録を打ち立てている。ただし、「優勝が至上命令」となっている中国には多かれ少なかれプレッシャーがかかっているはず。日本はホームの声援を武器に、落ち着いた試合運びで着実に勝利を重ねていきたいところだ。
男子は張本智和、女子は伊藤美誠がチームの軸に
2019年11月のITTF世界ランキングで、日本は男女ともに中国に次いで世界2位の位置につけている。
男子では張本智和(世界ランク5位)、丹羽孝希(同11位)、水谷隼(同13位)、吉村真晴(同48位)、神巧也(同67位)が今大会のメンバーに選出されている。注目はやはり6月に16歳になったばかりながら現在日本人最高位に立つ張本だろう。2017年のITTFワールドツアーで史上最年少優勝、翌2018年の翌年の全日本卓球選手権大会でも男子シングルス史上最年少優勝と大記録を次々と打ち立て、文字どおり「卓球界のニューヒーロー」となった。さらに、リオデジャネイロ五輪で男子団体銀メダル獲得に貢献した丹羽に加え、3度のオリンピックを経験している水谷隼も加わったチームは、歴代ベストメンバーといってもいい。Tリーグでの活躍が目立つ神がどこで起用されるかも、勝負のカギを握りそうだ。
一方の女子は伊藤美誠(世界ランク7位)、石川佳純(同8位)、平野美宇(同10位)、佐藤瞳(同19位)の4選手がエントリー。実力と経験を十分に兼ね備えた盤石の布陣となっている。
現在日本女子のトップに立つ伊藤は、2019年10月上旬に行われたITTFワールドツアー・ドイツオープンでも2年連続の準優勝を達成するなど、好調を維持している。ある記者会見ではラグビー日本代表の勇姿に感銘を受けたと話し、「すごいなと思ったし、私も中国の選手に何回も連続で勝てるような選手になりたいとあらためて思った」と決意を新たにしていた。ダブルスは、ワールドツアーで度々ペアを組んでいる石川&平野ペアが濃厚という見方が強い。
最大のライバルは男子7連覇、女子8連覇中の中国
日本のほかに出場権を持つのは、男子が中国(世界ランク1位)、ドイツ(同3位)、韓国(同4位)、スウェーデン(5位)、ブラジル(同6位)、チャイニーズタイペイ(同7位)、オーストリア(同10位)、イングランド(同11位)、ナイジェリア(同16位)、アメリカ(同31位)、オーストラリア(同34位)だ。
ダブルスの強さでは右に出る者のいない許昕(きょ・きん/シュー・シン)、世界卓球選手権で3度の優勝を経験している樊振東(はん・しんとう/ファン・ジェンドン)、オリンピックで3つの金メダルを獲得している馬龍(ま・りゅう/マ・ロン)、世界ランク3位につける林高遠(りん・こうえん/リン ガオユエン)と最強メンバーを擁する中国は確実に高い壁として立ちはだかる。中国との一戦は苦戦が予想されるが、日本は一勝を挙げることができれば一気に波に乗れる可能性もある。
女子は中国(世界1位)、チャイニーズタイペイ(同3位)、香港(同4位)、韓国(同7位)、ルーマニア(同8位)、アメリカ(同10位)、ウクライナ(同11位)、オーストリア(同15位)、エジプト(同17位)、ブラジル(同27位)、バヌアツ(同59位)とともに、順位を争う。こちらも日本の最大の敵は中国だが、ヨーロッパ選手権を2連覇中のルーマニアも侮れない相手だ。