張本智和(木下グループ)や伊藤美誠(スターツ)の活躍により、Tokyo 2020(東京五輪)でもメダルの獲得が大いに期待される「卓球」競技。卓球をプレーする人向けに、サーブの正しいルールを解説します。
卓球のプレーは、一方の選手による「サーブ」から始まります。そして相手がサーブを返球できなければ、「サービスエース」となり、サーブを行った側に点数が加えられます。オリンピック出場選手のレベルとなれば、簡単にサービスエースは決まりませんが、サーブが得点に直結する可能性があるプレーであることは間違いありません。それだけに「サーブ」には細かいルールが定められています。なお「サーブ(serve)」は「サービス(service)」を短くした言い方となっています。
以下の記したルールが守られない場合、例えば、垂直に上げたボールを空振りしてしまったり、サーブしたボールがネットに当たった後、自分のコートに触れたりした場合は、相手の得点となります。また基本的なことですが、サーブ権は2本ずつで交代となります。
■サーブに関するルール
- ルール1:サーブを行う選手(サーバー)は、フリーハンド(ラケットを持っている腕[ラケットハンド]とは逆側の腕)の手のひらを開き、平らにする。その上につかむことなく、自由に転がる状態でボールを乗せ、静止させる。この状態からサーブは開始される。
- ルール2:サーバーは、ボールに回転を与えることなく、フリーハンドの手のひらからボールを16センチ以上、ほぼ垂直に投げ上げなければならない。また、ボールはラケットによって打たれる(打球)されるまで、何にも触れてはいけない。
- ルール3:ボールは、必ず落下する途中で打球される。
- ルール4:サーブが開始されてから、ボールが打たれるまでの間、ボールは常にプレーイングサーフェイス(卓球台の上面)よりも高い位置、なおかつサーバー側のエンドライン(卓球台の長方形における、短い方の辺)より後方になければならない。
- ルール5:サーブ開始から打球までの間、サーバーまたはダブルスのパートナーの体全体や体の一部、あるいは着用しているユニフォームなどで、ボールをレシーバー(相手競技者)から隠してはならない。
- ルール6:サーバーが打球したボールは、最初に自領(サーバー側)コートへ触れなければいけない。ダブルス種目の場合は、自領ライト・ハーフコート(サーバー側から見て、コートの右半分)に触れる必要がある。
- ルール7:自領コートに触れたボールは、次に、ネットアセンブリ(ネットおよび吊りひも、支柱、取り付け金具など一式)を超えるか迂回した後、レシーバーのコートに触れなければいけない。ダブルス種目の場合は、レシーバーにとってのライト・ハーフコート(サーバー側から見ると左側になる)に触れなくれなくてはいけない。
- ルール8:ボールがネットに当たってから相手コートに入った場合は、打ち直しとなる。
- ルール9:競技者の行うサーブが、主審または副審から見て、正規の条件に合致しているようプレーすることは、競技者の責任となる。
オリンピックやITTF(国際卓球連盟)主催のワールドツアー、ワールドカップ、世界選手権などを観戦する上では、ここまでのルールを理解しておけばOK。なおルールでは、副審が存在しない場合なども想定した細則が決められています。
- ルール10:副審が指名されていない場合、主審は競技者のサービスの妥当性について疑問を持った場合、そのマッチにおいて初めての疑問であればポイントの判定をせず、サーバーにその旨、注意を与えるものとする。
- ルール11:注意が与えられた後、そのマッチ(試合)中において、その競技者またはダブルスにおいてはパートナーが同じ理由、あるいは別の理由で疑わしいサーブを行った場合は、相手競技者にポイントが与えられる。
- ルール12:サーバーが明らかに正規のサービスの要件に合致しないサービスを行った場合は、注意が与えられることなく、相手競技者にポイントが与えられる。
- ルール13:例外として、身体障害により正規のサービスの要件を守れないと主審が認めた場合、主審の権限でサービス規定が緩和されることがある。
■ルールは変更される
卓球のルールは、しばしば変更されます。近年で最も大きなルール変更は、1ゲーム21点先取から11点先取となったこと、ボールの大きさ(直径)が38ミリから40ミリになったことが挙げられます。サーブのルールも変更されており、現行ルールになってから20年も経過していないため、年配の方などは、旧来ルールとの違いを確認されると良いでしょう。