2年に1度の卓球世界イチ決定戦
世界卓球選手権大会が4月21日(日)から28日(日)にハンガリーのブダペストで行われる。この大会は2年に1度行われる、卓球世界No.1を決める世界最高峰の舞台。来年に行われる東京五輪に向けた日本の現在地を知るという意味でも、非常に重要な大会になることは間違いないだろう。
前回の2017年デュッセルドルフ大会では、混合ダブルスで吉村真晴/石川佳純ペアが優勝。男子ダブルスで森薗政崇/大島祐哉ペアが準優勝(丹羽孝希/吉村真晴ペアがベスト4)、女子シングルスとダブルスでそれぞれ平野美宇と伊藤美誠/早田ひなペアがベスト4進出を果たした。今大会では中国の牙城にどれだけ日本が迫れるかに注目が集まる。
その可能性を最も秘めているのが世界ランク4位の張本智和だろう。昨年末、ランキング上位選手で行われるワールドツアー・グランドファイナルでは、世界ランク4位の林高遠(中国)を決勝で破り、史上最年少で優勝を達成。2019年1月には日本男子歴代最高となる世界ランク3位を記録した。いま、世界で最も勢いに乗っているといっても過言ではないだろう。
しかし、張本は世界選手権を前に、右手薬指を負傷。4月上旬に行われたアジア・カップにはケガを押して出場したが、3位決定戦の途中に試合を中断して治療を行うシーンがあった。これを受け、張本は混合ダブルスの出場を取りやめ、男子シングルスと男子ダブルスのみ出場することを決めた。
女子では、世界ランク6位の石川佳純、同7位伊藤美誠、同9位平野美宇らが上位を伺う。4月上旬に行われたアジア・カップにおいて、石川は準決勝で世界ランク3位の陳夢(中国)に敗れたものの、3位に輝いた。
1月の全日本選手権で女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルスの3種目で2連覇を成し遂げた伊藤は、昨年11月にスウェーデン・オープンで優勝。世界ランク6位(当時)の劉 詩雯(中国)、同2位の丁寧(中国)、同1位の朱雨玲(中国)を下しての制覇で、中国勢の牙城を十分に崩すだけの可能性があることを示した大会だった。
平野美宇は前回大会で日本勢最高のベスト4進出を果たしているだけに、その再現を狙いたいところ。
大会8日目(4/28)・日本選手結果まとめ
<女子ダブルス決勝>
伊藤美誠/早田ひな 2-4 孫穎莎/王曼昱(中国)、準優勝・銀メダル獲得
大会7日目(4/27)・日本選手結果まとめ
<女子ダブルス準決勝>
伊藤美誠/早田ひな 4-2 佐藤瞳/橋本帆乃香、女子ダブルス日本勢として48年ぶりの決勝進出
大会6日目(4/26)・日本選手結果まとめ
<男子シングルス準々決勝>
丹羽孝希 3-4 梁靖崑(中国)、敗退
<混合ダブルス決勝>
吉村真晴/石川佳純 1-4 許昕/劉詩雯(中国)、準優勝
大会5日目(4/25)・日本選手結果まとめ
<男子シングルス4回戦>
張本智和 2-4 安宰賢(韓国)、敗退
丹羽孝希 4-2 プツァル(クロアチア)、準々決勝へ
<女子シングルス準々決勝>
平野美宇 1-4 丁寧(中国)、敗退
加藤美優 1-4 劉詩雯(中国)、敗退
<女子ダブルス準々決勝>
伊藤美誠/早田ひな 4-1 チャ・ヒョシム/キム・ナムヘ(北朝鮮)、準決勝へ
佐藤瞳/橋本帆乃香 4-0 鄭先知/劉曼昕(チャイニーズタイペイ)、準決勝へ
※26日の準決勝は日本組同士の対戦となる。
<混合ダブルス準決勝>
吉村真晴/石川佳純 4-1 フランチスカ/P.ゾルヤ(ドイツ)、決勝へ
大会4日目(4/24)・日本選手結果まとめ
<男子シングルス3回戦>
張本智和 4-0 フレイタス(ポルトガル)、4回戦進出
水谷隼 3-4 鄭榮植(韓国) 、敗退
丹羽孝希 4-1 ディヤス(ポーランド)、4回戦進出
森薗政崇 0-4 ボル(ドイツ)、敗退
<女子シングルス4回戦>
石川佳純 3-4 杜凱琹(中国香港)、敗退
平野美宇 4-2 蘇慧音(中国香港)、準々決勝へ
佐藤瞳 2-4 王曼昱(中国) 、敗退
加藤美優 4-0 陳思羽(チャイニーズタイペイ)、準々決勝へ
<女子シングルス3回戦>
石川佳純 4-0 リー・チャン(ポーランド)
平野美宇 4-2 チャン・モー(カナダ)
伊藤美誠 1-4 孫穎莎(中国) 、敗退
佐藤瞳 4-0 ウー・ユエ(アメリカ)
加藤美優 4-2 鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
<男子ダブルス3回戦>
張本智和/木造勇人 1-4 梁靖崑/林高遠(中国) 、敗退
<女子ダブルス3回戦>
伊藤美誠/早田ひな 4-0 陳思羽/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)、準々決勝へ
佐藤瞳/橋本帆乃香 4-0 田志希/李ジオン(韓国)、準々決勝へ
<混合ダブルス>
吉村真晴/石川佳純
3回戦:スディ/ペルゲル(ハンガリー)に4-2
準々決勝:ピスチェイ/バラージョバ(スロバキア)に4-2、準決勝進出
森薗政崇/伊藤美誠
3回戦:張禹珍/崔孝洙(韓国)に4-0
準々決勝:フランチスカ/ゾルヤ(ドイツ)に2-4、敗退
大会3日目(4/23)・日本選手結果まとめ
<女子シングルス2回戦>
石川佳純 オーストリアの選手に4-1、3回戦へ
伊藤美誠 アメリカの選手に4-1、3回戦へ
平野美宇 ウクライナの選手に4-2、3回戦へ
佐藤 瞳 チェコの選手に4-0、3回戦へ
加藤美優 ハンガリーの選手に4-1、3回戦へ
<女子シングルス1回戦>
石川佳純 カザフスタンの選手に4-0
伊藤美誠 チェコの選手に4-0
平野美宇 北朝鮮の選手に4-1
佐藤 瞳 ブラジルの選手に4-0
加藤美優 ウクライナの選手に4-0
<男子シングルス2回戦>
張本智和 スウェーデンの選手に4-0、3回戦へ
水谷 隼 フランスの選手に4-2、3回戦へ
丹羽孝希 イングランドの選手に4-0、3回戦へ
吉村和弘 ウーゴ・カルデラノに2-4、2回戦敗退
森薗政崇 チェコの選手に4-1、3回戦へ
<男子シングルス1回戦>
張本智和 ポーランドの選手に4-1
水谷 隼 キューバの選手に4-1
丹羽孝希 パラグアイの選手に4-1
吉村和弘 イングランドの選手に4-1
森薗政崇 アメリカの選手に4-0
<女子ダブルス>
伊藤美誠/早田ひな
2回戦:スペイン人とカナダ人のペアに4-1、3回戦へ
橋本帆乃香/佐藤瞳
2回戦:インドのペアに4-0、3回戦へ
<男子ダブルス>
張本智和/木造勇人
2回戦:デンマークのペアに4-0、3回戦へ
森薗政崇/大島祐哉
2回戦:フランスのペアに3-4、2回戦敗退
大会2日目(4/22)・日本選手結果まとめ
<混合ダブルス>
森薗政崇(岡山リベッツ)/伊藤美誠(スターツ)
1回戦:ウズベキスタンのペアに4-0
2回戦:トルコのペアに4-0、3回戦へ
吉村真晴(名古屋ダイハツ)/石川佳純(全農)
1回戦:スイスのペアに4-1
2回戦:北朝鮮のペアに4-0、3回戦へ
※混合ダブルスの3回戦は、現地時間4月24日に実施
<男子ダブルス>
張本智和(木下グループ)/木造勇人(愛知工業大学)
1回戦:ロシアのペアを4-2、2回戦へ
森薗政崇/大島祐哉(木下グループ)
1回戦:ハンガリーのペアに4-0、2回戦へ
<女子ダブルス>
橋本帆乃香/佐藤瞳(ともにミキハウス)
1回戦:ベラルーシのペアを4-1、2回戦へ
伊藤美誠/早田ひな(日本生命)
1回戦:クロアチアのペアに4-0、2回戦へ
※男女ダブルス2回戦は、現地時間4月23日に実施
出場選手
<男子選手>
- 張本 智和(木下グループ)世界ランク4位、出場種目:男子シングルス、男子ダブルス
- 丹羽 孝希(スヴェンソン)世界ランク8位、出場種目:男子シングルス
- 水谷 隼(木下グループ)世界ランク13位、出場種目:男子シングルス
- 吉村 和弘(東京アート)世界ランク50位、出場種目:男子シングルス
- 森薗 政崇(岡山リベッツ)世界ランク45位、出場種目:男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルス
- 大島 祐哉(木下グループ)世界ランク25位、出場種目:男子ダブルス
- 木造 勇人(愛知工業大学)世界ランク313位、出場種目:男子ダブルス
- 吉村 真晴(名古屋ダイハツ)世界ランク33位、出場種目:混合ダブルス
<女子選手>
- 石川 佳純(全農)世界ランク6位、出場種目:女子シングルス、混合ダブルス
- 伊藤 美誠(スターツ)世界ランク7位、出場種目:女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス
- 平野 美宇(日本生命)世界ランク9位、出場種目:女子シングルス
- 佐藤 瞳(ミキハウス)世界ランク13位、出場種目:女子シングルス、女子ダブルス
- 加藤 美優(日本ペイントホールディングス)世界ランク22位、出場種目:女子シングルス
- 早田 ひな(日本生命)世界ランク34位、出場種目:女子ダブルス
- 橋本帆乃香(ミキハウス)世界ランク26位、出場種目:女子ダブルス
大会日程
4月21日(日):男女シングルス予選1回戦・2回戦、混合ダブルス予選1回戦・2回戦
4月22日(月):男子シングルス予選3回戦・プレーオフ、女子シングルス予選3回戦、男女ダブルス予選1回戦・本戦1回戦、混合ダブルス本戦1回戦・2回戦
4月23日(火):男女シングルス1回戦・2回戦、男女ダブルス2回戦
4月24日(水):男子シングルス3回戦、女子シングルス3回戦・4回戦、男女ダブルス2回戦、混合ダブルス3回戦・準々決勝
4月25日(木):男子シングルス4回戦、女子シングルス準々決勝、男女ダブルス準々決勝、混合ダブルス準決勝
4月26日(金):男子シングルス準々決勝、女子シングルス準決勝、男子ダブルス準決勝、混合ダブルス決勝
4月27日(土);男子シングルス準決勝、女子シングルス決勝、男子ダブルス決勝、女子ダブルス準決勝
4月28日(日):男子シングルス決勝、女子ダブルス決勝
東京五輪代表争い
本大会は、2020年の東京オリンピック・卓球の日本代表争いにも大きく影響する。世界ランクのポイントは、国際大会の結果に対してのみに与えられるからだ。
男女それぞれシングルスでは、2020年1月発表時の世界ランク日本人上位2位の2名が内定。さらにその上位2名とペアが組める選手をダブルス枠として1名推薦される。男女それぞれ3名、各リザーブ枠1名を加えた計8名となる。
男子では張本、丹羽、水谷以降は、大島祐哉が25位につけている状況。視覚問題を抱える水谷にとっては、上位2人だけでなく大島の存在も脅威になる。
女子では石川、伊藤、平野がランキングで頭一つ抜け出している状況だが、4月19日現在、世界ランク13位の佐藤瞳、同22位の加藤美優も石川ら"黄金世代"に肉薄しており、この世界卓球世界選手権でポイントを稼ぎたいところだろう。
一方、団体戦(ダブルス)代表選考基準は、シングルス、ダブルスどちらでも活躍が期待できる選手となっている。混合ダブルス、リザーブ候補選考にしても、国際的な競争力を持つ選手が望ましいとされる。大きな注目が集まる世界卓球選手権での活躍は、選考結果に直結するのは明らかだ。
早田ひなは、ワールドツアー・チャレンジプラスで2大会連続で金メダルを獲得しながらもシングルス出場を逃した。だが、伊藤美誠とのペアで昨年のワールドツアーを連覇しており、本大会制覇を果たせば、代表入りもグッと近づく。
男子の森薗政崇は、本大会で男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスにエントリーしており、団体・ダブルスでの代表入りを強固にするためにもそれぞれで好結果を狙う。
本格化する東京五輪の代表争いのドラマも本大会の見逃せない見どころだ。