ローザンヌ2020ユース五輪に挑む日本の新星に注目! 鍵山優真ら次世代の注目選手が世界に挑む

男子フィギュアスケートの新星、鍵山優真はメダル有力か

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
日本選手団の騎手を務める鍵山優真。2019年12月に行われた全日本フィギュアスケート選手権では16歳ながら3位入賞を果たしている

15歳から18歳までのアスリートを対象としたユースオリンピックは、4年に一度開催されている。第3回冬季大会は、スイスのローザンヌにて2020年1月9日に開幕。2022年北京冬季五輪の出場をめざす若き日本のホープたちが海外の選手たちと競い合う一方、文化交流も深めながら人間性の成長も遂げていく。

選手の教育や文化の学習も開催意義

ユースオリンピック競技大会は、15歳から18歳までのアスリートを対象とした国際総合競技大会で、オリンピックと同じく夏季と冬季に分かれ、それぞれ4年に一度開催されている。2007年に国際オリンピック委員会(以下IOC)のジャック・ロゲ会長が提案したことが発端で、2010年に第1回夏季大会がシンガポールで、2年後の2012年には第1回冬季大会がオーストリアのインスブルックで開催された。

ユースオリンピックの開催意義は、単に若年層の選手たちの競技成果を争うことだけにとどまらない。IOCはその意義を「異なる文化や背景を持つ人々と出会い、選手人生における重要なスキルを身につけ、オリンピックの意義を体験することでもある」と掲げている。そのため大会期間中は、競技以外に選手の教育や文化の学習を目的としたさまざまなプログラムが実施されている。

たとえば、2016年にリレハンメルで行われた第2回冬季競技大会では、選手たちはオリンピズムや自身のキャリア形成、社会的責任などについて学んだり、開催地の地域の子どもたちに冬季競技を体験してもらう機会を設けたりした。また、選手だけでなく大会運営側にも若年層の人々が関わっており、地元の若者たちがヤングアンバサダーやヤングレポーターといった役割を経験した。

宇野昌磨が銀メダル獲得、他国の選手と交流も

過去の大会を振り返ると、ユースオリンピックをステップとしてオリンピックの舞台まで上り詰めた選手もいる。

日本では、フィギュアスケートの宇野昌磨が筆頭だ。2012年の第1回冬季大会に出場した宇野は、個人で銀メダル、混合団体で金メダルを獲得した。個人戦では、ショートプログラムで6位と出遅れたものの、フリーの演技で逆転して表彰台入りと、後がない状況に追い込まれた時の勝負強さを示した。混合団体戦では、他国の選手たちとチームを組むという経験もした。個人もしくはペアでの競争が中心のフィギュアスケートにおいて、混合団体戦、ましてや他国の選手と同じチームの一員として戦い、交流することはユースオリンピックならではの取り組みと言える。

宇野は同大会でスピードスケートやアイスホッケー、カーリングなど他競技の選手と交流を図ったり、「文化・教育プログラム」の一環として地元の子どもたちとともにロッククライミングやスキー遊びを楽しんだりもした。それから6年後の2018年、宇野は平昌五輪で銀メダルを獲得するが、自身もユースオリンピックについて「すごくいい経験になった」と振り返っている。同大会が選手として、また人間性の面で成長をもたらす部分は大きいと言えるだろう。

メダル候補のフィギュアスケート、鍵山優真が旗手

2020年の第3回冬季大会は1月9日から22日にかけてスイスのローザンヌで開催され、8競技81種目が行われる。今大会の出場選手たちの多くが、2022年に北京での開催が予定されている冬季五輪への出場を見据えているのは間違いない。

日本選手団はカーリングの田畑百葉(ももは)が主将を務める。旗手を担うフィギュアスケートの鍵山優真は、今大会における注目選手の一人だ。2019年12月に行われた全日本フィギュアスケート選手権では、フリーで4回転トウループを2本成功させる強心臓ぶりを発揮し、16歳のジュニアの選手ながら3位入賞。高校1年生での同大会表彰台入りは、1996年の本田武史以来2人目の快挙で、羽生結弦や宇野よりも早い。シニアの大会で自信をつけた鍵山は、今回のユースオリンピックでもメダル候補として有力視されている。

アイスダンスには、西山真瑚(しんご)&吉田唄菜ペアが出場予定となっている。17歳と16歳の2人は、2019年2月に正式にペアを結成したばかりだが、8月にアメリカで開催されたジュニアグランプリ大会に出場し、13組中6位と健闘を見せた。羽生と同じくカナダで練習を積んでいる2人は今後、他国に後れを取っているアイスダンスで世界のレベルへと肉薄することが望まれる。

スピードスケートでは、5000メートルと1万メートルを得意とする蟻戸一永(ありと・もとなが)に期待がかかる。蟻戸は2018年の全日本距離別選手権5000メートルにおいて3位で表彰台に上がり、高校生の大会では長距離のタイトルをほぼ総なめにしている注目株だ。

ショートトラックでは、宮田将吾が次世代のエース候補として期待を集めている。2019年11月に初めて挑んだワールドカップ(以下、W杯)の舞台では、1500メートルで決勝に進出し、6位フィニッシュ。レース中に他国の選手と接触するアクシデントに見舞われながらも、堂々と滑り切った。

スノーボードのハーフパイプにもメダル有力選手がいる。平野流佳(るか)は2019年12月に行われたばかりのW杯で3位入賞を果たした実力者。また、冬季オリンピック2大会連続銀メダリスト平野歩夢(あゆむ)の4歳年下の弟、平野海祝(かいしゅう)も代表メンバーに名を連ねている。

ローザンヌ2020では、数年後には日本をけん引しているであろう若きホープたちが果敢に栄光に挑む。新風のひたむきな奮闘に胸を高鳴らせるのが、ユースオリンピックの醍醐味の一つと言っていい。

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