クライミングの五輪選考基準が決定、一方でW杯ミュンヘン大会上位に日本勢不在の緊急事態も

代表争いは8月の世界選手権からスタート

1 執筆者 佐藤隆弘
東京五輪代表選考基準が確定。しかし、W杯ミュンヘン大会では日本勢が3年ぶりに表彰台を逃すなど、五輪に向けて不安要素も浮上

日本山岳・スポーツクライミング協会は、5月21日、2020年東京五輪日本代表選考基準を発表した。世界選手権で男女それぞれ1名、開催国枠での男女1名は11月以降の代表選考対象大会で決まる。

まず、8月10~21日開催予定のIFSCクライミング・世界選手権(東京・八王子市)で、上位7位までに入った最上位日本人選手1人(男女)が東京五輪代表に内定する。

開催国枠1枠を含めると、日本は最大で男女2人ずつが代表権を得られるため、もう1人は今年冬の五輪予選(フランス・トゥールーズ)、2020年春のアジア選手権(岩手・盛岡市)、同5月の複合ジャパンカップ(開催地未定)の3大会の対象大会を経て決まる。

同協会の合田雄治郎常務理事が示した選手選考方針として、男女それぞれ1人目は総合的に最も優れた選手を、2人目は五輪直前に最も好調な選手を選びたいという。

東京五輪で初採用されたスポーツクライミング競技は、ボルダリング・リード・スピードの複合種目となり、個別種目はない。

身体能力の差が如実に出るスピード種目では欧米勢が圧倒的で、日本勢は大きな結果が出せていないが、コースを読み解く知力や判断力が求められるボルダリング、リードでは世界トップレベルの選手も多い。2016年W杯覇者の楢﨑智亜、女子ではW杯優勝21回を超える野口啓代などがおり、東京五輪の代表候補の筆頭と見られている。

ただし、5月18、19日に行われたW杯ミュンヘン大会では、W杯表彰台の常連となっていた日本勢が2016年4月以来、3年ぶりに姿を消すなど厳しい状況にある。東京五輪代表候補選考基準が発表されたことで、日本勢の士気向上、技術向上につながることが期待される。

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