スタッド・イヴ・デュ・マノワールが落成:伝統あるオリンピック会場の再生と歴史

執筆者 Céline Penicaud
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Inauguration of Yves-du-Manoir Stadium
写真: Olympics.com

3月19日(火)は、フランスのスポーツ史において重要な1日と言えるかもしれない。

この日、スタッド・イヴ・デュ・マノワール(イヴ・デュ・マノワール・スタジアム)がパリ近郊のコロンブで落成した。パリ1924オリンピックのメイン会場であったこのスタジアムは、今回、フランスで唯一、2度目のオリンピックが開催される会場となる。

2024年7月26日から8月11日まで、この伝統的なスタジアムでは、第33回パリ2024オリンピック競技大会のホッケーの試合が実施される予定だ。

「今日のスタッド・イヴ・デュ・マノワールの落成は、オリンピック開催に向けて最終的な取り組みを続ける私たちに大きな確信を与えてくれました」と、パリ2024大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は語った。

「大会組織委員会にとって、これは大きな成果のひとつです。私たちが愛してやまない取り組みの全てがここに集約されているのです。私たちは、これまでにこのスタジアムがフランスのスポーツの歴史、競技大会の歴史にどのように貢献してきたかを理解しています。そして今、新たなスポーツの歴史、フランスのスポーツ遺産となるのです」

ここでは、この伝統的なスタジアムの新しい表情とその豊かな歴史、そして3月18日(月)から23日(土)まで開催される祝典について紹介する。

パリ1924からパリ2024へ:スポーツ競技大会の1世紀

1世紀にわたり、スタッド・イヴ・デュ・マノワールでは、1938年のサッカーワールドカップ決勝やラグビーユニオンフランス選手権の決勝をはじめ、これまでに200以上の主要なスポーツ競技会が開催されてきた。

1883年に競馬場として建設されたイヴ・デュ・マノワールは、1924年のオリンピック競技大会の開催で名が知られるようになり、世界のスポーツの象徴的な場所となった。

パリ1924オリンピックでは、開会式と陸上競技の会場となったスタッド・イヴ・デュ・マノワールは競技大会の中心地として注目された。

このスタジアムは、実際に会場の中で繰り広げられた物語によって歴史に名を残している。例えば、日本でも1982年に公開された映画「炎のランナー(邦題)」で描かれた2人のイギリス人陸上選手、ハロルド・エイブラハムスエリック・リデルのライバル物語が有名だ。

「最後に夏季競技大会が開催されたのは100年前。この会場は大会の中心でした。開会式や陸上競技が行われ、大会の象徴的な会場でした」と、エスタンゲ会長は付け加えた。

「100年後の今、パリ2024のために再びこのスタジアムが活気づくのを見るのは本当に喜ばしい限りです。今回の改修にあたって私たちが素晴らしいと思うことは、質の高い建築技術が施され、また、資材の90%に再生または再利用されたものを使用し、再生可能エネルギーを用いるという前例のない環境目標を掲げて計画されたことです」

「このスタジアムは、今後、フランスホッケー連盟と地元のレガシーとして存続していくことでしょう」

2年にわたる改修を経て生まれ変わったイヴ・デュ・マノワール

パリ2024に求められる基準を満たすため、スタッド・イヴ・デュ・マノワールでは近年、大規模な改修が行われた。

2002年からスタッド・イヴ・デュ・マノワールを所有しているオー・ド・セーヌ県は、3つの競技場、1,000席を有するスタンドなどの2つの建物、7つのマルチスポーツエリアを建設し、1924年以来のスタンドの改修も含め、このスタジアムをさらに歴史的なものにするため9,080万ユーロ以上の資金を投じた。

2022年5月から2024年初頭にかけて、イヴ・デュ・マノワールは新たな環境規制を順守し、その歴史的な価値を維持しながら再開発され、パリ2024オリンピックのホッケー会場として生まれ変わった。

「フランスではあまり人気のない私たちのスポーツですが、このようなスタジアムでプレーできることは特別であり大きな喜びです」と、2021年のU21ホッケーワールドカップで3位に入ったフランス代表チームのメンバー、ガスパール・ザビエはOlympics.comに語った。

「歴史的にも、(前回のオリンピックの)100年後にこの会場でホッケーをプレーすることができるなんて信じられないことです」

写真: Olympics.com

祝賀イベントの日程

スタッド・イヴ・デュ・マノワールの落成を記念して、オー・ド・セーヌ県コロンブにある会場では、3月18日(月)から23日(土)までの期間、市民向けの祝賀イベントが開催されている。

3月18日(月)~23日(土)

入場無料。開場時間は、月・水・木:午後12時~午後6時、火・金:午後2時~午後6時、土:午前11時~午後7時

  • 競技会場の説明
  • 「伝統のスタジアム」パリ1924オリンピックの写真などの展示

3月23日(土)

  • ホッケー試合:CAM 92 vs RCF(午後3時~エリート女子、午後5時~エリート男子)
  • オー・ド・セーヌ地域の提携クラブが提供する無料のスポーツ体験
  • 子ども向けの無料エンターテイメント
  • 音楽、フードなど
写真: Olympics.com