レスリング・樋口黎の覚悟「オリンピックで金メダルを取るための生活を」

パリ 2024

2023年の世界選手権で銀メダルを獲得してパリ2024オリンピックの日本代表に内定した、レスリング男子フリースタイル57kg級の樋口黎は、改めて「体づくり」の重要性を強調し、その覚悟を言葉にした。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
57Kg FS - Rei HIGUCHI (JPN) df. Arsen HARUTYUNYAN (ARM)11238
(United World Wrestling / Amirreza Aliasgari)

階級別に体ひとつでぶつかり合う格闘技において、減量は勝敗を左右する重要な要素となる。体重オーバーになれば失格になり、オーバーしなかったとしても、調整がうまくいかなければ本来の力を発揮することはできない。当然ながら、短期間で調整できるものでもない。

レスリング世界選手権の男子フリースタイル57kg級の決勝が行われた9月18日、準優勝となった樋口黎(れい)は取材陣の質問に答え、改めて「体づくり」を課題に掲げ、「オリンピックで金メダルを取るための生活をやっていかないといけないと思う」とその覚悟を語った。

「(決勝は)惜しい部分もありまたけど、減量も完璧な方ではなかったので仕方ないです。負けをしっかり受け止めたい。来年のパリオリンピックの金メダルを取ることが絶対目標なので、1年かけてレベルアップしていきたい」

最大の課題、減量と体づくり

リオ2016オリンピックのレスリング男子フリースタイル57kg級で銀メダルを獲得し、パリ2024オリンピックに向けては日本レスリング選手の中で内定第1号となった樋口は、長らくその減量と戦ってきた。

オリンピックの男子フリースタイルでは57kg級が最軽量で、65kg級が続く。リオ2016の後、一度は階級をあげたが、65kg級では乙黒拓斗が力をつけており、乙黒は2018年の世界選手権で優勝。翌年の世界選手権代表選考では乙黒との戦いに敗れてその座を譲った。階級を57kg級に戻して東京2020を目指したものの、2021年4月に行われたアジア予選では計量で50gオーバーで失格。代表選考プレーオフでは高橋侑希に敗れ、母国開催のオリンピック出場はならなかった。

あれから2年半がすぎ、樋口は今回の世界選手権を通じてパリ2024日本代表の座を自ら手繰り寄せた。

しかし、自らが「絶対目標」に掲げるパリ2024での金メダル獲得には、体づくりという課題がどうしてもついてくる。

「有酸素運動を長くやらないといけなくなると筋量が減ってパワー不足になる。(今回の大会では)ばてたりはしなかったんですけど、もうひとつパワーをつけつつ、普段の体重ももうひとつ絞って、もう少し楽な状態で試合をできるようにしないといけないなっていう風にも感じました」

反省点を口にした一方で、57kg級で戦うことへの慣れも実感している。

「リオオリンピックのときから計量のやり方も変わって、試合で100%のパフォーマンスを出すことがなかなか難しい状況にはなったんですけど、徐々に57kg級にも慣れてきて手応えを少しずつ感じています」

「試合でさらにいパフォーマンスを出せるように、食事管理、運動量、休養の取り方、睡眠…ありとあらゆることをやって、オリンピックで金メダルを取るための生活をやっていかないといけないと思います」

今年春に結婚した樋口にとって、家族の存在は大きな支えになることだろう。樋口は「応援してくれている人たちにも感謝を述べたいし、まだまだ強くなっていく自分をもっともっと応援してほしいと思いますし、そして応援されるようなアスリートにもりたいと思っています。しっかり(世界選手権決勝での)負けを受け止めて、(パリ2024に向けて)いいスタートを切っていければなと思います」と改めて語ると、さらにその上を目指すことを誓った。

「ここで満足して、この状態を維持しようとしても、それは負けてしまうやつの思考だと思ので、もっともっともっと高みを目指してレスリングというスポーツを追求していきたいですね」。

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