清岡幸大郎、石黒隼士、曽我部京太郎の3名がパリ出場枠を獲得!|レスリング・OQTアジア予選2024
開幕まで100日を切ったパリ2024レスリングの出場枠をかけたアジア地域におけるオリンピック予選トーナメント(OQT)が、4月19日から21日までの3日間にわたりキルギスの首都・ビシュケクにて、UWW(世界レスリング連合)の主催により行われた。
このOQTでは、「36」のオリンピック出場枠が用意されており、各階級のトーナメントで決勝まで勝ち上がった上位2名がフランスの首都で行われる夏のオリンピック出場の切符を手にすることができるレギュレーションで実施された。このため、今大会では決勝および3位決定戦の試合は実施されていない。
日本からは、オリンピック出場枠を獲得できていない男子フリースタイルより4名、グレコローマンより4名、合計8名の日本代表選手が出場した。
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19日に行われた男子フリースタイルでは、65kg級の清岡幸大郎と86kg級の石黒隼士の2名が準決勝までのトーナメントを勝ち抜いて、パリ2024の出場枠を獲得した。
また、最終日の21日に実施された男子グレコローマンでは、67kg級の曽我部京太郎(写真上左)が準決勝で白星をあげ、パリ行きのチケットを手中に収めた。
3選手の試合後のコメント(日本レスリング協会より)は、以下の通り。
清岡幸大郎
「(パリ出場枠獲得に関して)決められたことはうれしいのですが、総合的に見ると課題ばかり。内容は50点くらいかな、と思います。目標はパリ・オリンピックの優勝なので…。負けることのできない一発勝負を勝ち抜けたことで、勝負強さはついて、メンタルの成長は感じます。昨年のU23世界選手権はいい経験になりました(リードしていながら逆転フォール負け)。その動画を見返して、冷静に試合に臨むことができ、最後まで落ち着いてできたんじゃないかな、と思います」
「(初戦の選手について)そんなに意識はしていなかったです。だれが来ても倒す、という気持ちでした。第1試合でいい試合ができれば、第2試合、第3試合につながると思っていました。(10-7のスコアで)もつれたところもありましたが、しっかり動けて、それがよかったんじゃないかな(微笑)、と思います」
「ずっとメンタルトレーニングをやってきて、もうパリの出場権を取っていて、というか金メダルを取っている、という思いで過ごしてきました。(出場枠獲得は)当たりまえかな、という気持ちです。でも、予選に向けて、多くの人から応援を受けて、支えていただきました。自分の気持ちの中ではパリで金メダルを取るための通過点と感じていますけど、支えてもらってここにいるので、当たりまえに感じすぎず、感謝しながらパリへ向かいたい。これまでよりギアを上げて練習したい」
石黒隼士
「うれしいです。不戦勝があり、(昨年世界5位の)バーレーンの選手が上がってくると思っていたら韓国の選手が上がってきたり、いい流れがありました。決定戦はその流れが出たと思います。初戦は硬くなるのが普通ですが、周りの人たちが自信を持てる言葉をかけてくれ、自分の気持ちをつくることができました。(決定戦は33秒の圧勝で)ここで決めなければ、との思いで、ワンチャンスで仕掛けました」
「(合宿のとき『多くの選手の人生を奪ったので頑張る』と話したことについて)出発の前に高谷(惣亮)さんや奥井(眞生)選手など同じ階級だった選手が声をかけてくれ、すごく力になりました。いろんな人から支えてもらっていることは感じています。闘ってきた同じ階級の選手からエールをもらえ、頑張ることができました」
「パリでは、日本選手で優勝のないこの階級での優勝が目標。自衛隊では高谷大地選手(74kg級代表内定)にすごく引っ張ってもらってきました。同じラインに立てたことで、自分が高谷さんを鼓舞できるようにしたいし、高谷さんにいっそう自分を引っ張っていってもらい、切磋琢磨していきたい。自分のレスリング人生最大のヤマ場。レスリング人生をかけてパリに臨みます」
曽我部京太郎
「最初から最後まで攻めて、苦しい場面が何度もありましたが、よかったです。(準決勝の開始早々、自滅でのあわやフォール負けのピンチは)あそこでフォールされたら、自分の人生が終わってしまうと思いました。絶対に自分がパリへ行って金メダルを取る、という思いがありましたので、ここであきらめるのか、と自分を鼓舞して、絶対にフォールされない、という強い気持ちで逃げ切りました。そのあとは、前に出る自分のレスリングを貫きました」
「出場枠を取れてよかった、という気持ちはありますが、これはパリで金メダルを取るための第一段階。これから金メダルへ向けての練習をしていきたい。(家族や日体大・松本慎吾監督が)こんな遠くまで来てくれて、その前で決められたのは本当によかったです。去年の世界選手権は本当に悔しい思いをし、パリでは絶対に自分が金メダルを取る、という気持ちで練習してきました。その思いを胸にマットに立ちました」
「楽しかった。レスリングは楽しんでやるべきだと思います。だれよりも強くなって、パリで楽しんで金メダルを取りたい。(同期の清岡幸大郎が先に出場枠を取って)小さい頃から、負けたくない、という気持ちでやってきたんです。ここで負けたら、置いて行かれる。そんな悔しい思いはしたくなかった。ライバルですけど、お互いに、もっと強くなろうという気持ちを持ってやってきました。2人で金メダルを取ります。たくさんの人が応援し、サポートしてくれました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。パリで金メダルを取ることが本当の恩返しなので、今後も精進していきます」
パリ2024レスリングにおける代表選手選考基準(2022年9月30日付 日本レスリング協会発表)に基づき、このOQTでオリンピック代表枠獲得に貢献した3選手は、パリ2024代表派遣(内定)選手になることと定められいる。
今大会の成績を受けて、パリ2024レスリングの内定選手は、男子7名(フリースタイル:4名、グレコローマン:3名)に増えている。なお、女子はすでに6階級すべてにおいて内定選手が選出されている。
オリンピック代表選手に関しては、各国内オリンピック委員会(NOC:日本の場合、日本オリンピック委員会/JOCを指す)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。
このOQTでパリ2024の出場枠を獲得できなかった男子の5階級については、5月9日にトルコ・イスタンブールにて開幕する世界予選となるOQTのラストチャンスにて、望みをつなぐ。