ゴールボール、ボッチャとは? オリンピックにはないパラリンピック特有のスポーツに注目
オリンピック、パラリンピックで実施される競技には、競泳、陸上、卓球など共通するスポーツが多い一方、オリンピックでは行われないものの、パラリンピックでは採用されている競技もある。また共通するスポーツの中にも細かい違いが多数存在する。
パリ2024パラリンピックの開幕を前に、パラリンピックのみで実施される競技について紹介しよう。
ボッチャとは?
ボッチャは、イタリア語で「ボール」を意味する言葉で、もともと脳性まひの人々のためにヨーロッパで考案された球技。現在は多様な運動機能障がいのあるアスリートが競技に取り組み、パリ2024では男子個人(1対1)、女子個人(1対1)、混合ペア(2対2)、混合団体(3対3)が行われる。これまでの大会の個人種目では男女混合で実施されてきたが、今大会で初めて男女それぞれでメダルが競われる。
目標となるボールにできるだけ近づくよう選手たちは6球ずつボールを投げ(あるいは蹴り)、近い方の選手が得点を得る。4〜6エンド(ラウンド)を行い、合計得点で勝敗が決まる。選手たちは、2手、3手先を読んでボールを投球するなどの正確さや戦略が求められ、「地上のカーリング」とも呼ばれる。
パラリンピックで初めてボッチャが実施されたのは2都市(米ニューヨーク、英ストーク・マンデビル)で開かれた1984年大会で、以来、すべての大会で競技が行われている。日本代表選手が初めて出場したのは北京2008大会で、リオ2016の団体種目で初のメダルとなる銀メダルを獲得。東京2020では個人種目で杉村英孝(ひでたか/BC2)が初めて金メダルに輝いたほか、日本代表チームは混合ペアで銀メダル、混合団体で銅メダルを手にした。
今大会には、日本から杉村をはじめリオ2016銀メダルメンバーの藤井友里子、廣瀬隆喜などボッチャ日本代表「火ノ玉ジャパン」の7選手が出場する。ボッチャの強豪国として知られるのは大韓民国で、これまでの大会で数々のメダルを獲得してきた。
ボッチャ、パリ2024パラリンピック日本代表選手
- 有田正行(ありた・まさゆき/男/44)
- 一戸彩音(いちのえ・あやね/女/18)
- 内田峻介(うちだ・しゅんすけ/男/22)
- 遠藤裕美(えんどう・ひろみ/女/38)
- 杉村英孝(すぎむら・ひでたか/男/42)
- 藤井友里子(ふじい・ゆりこ/女/51)
- 廣瀬隆喜(ひろせ・たかゆき/男/39)
ゴールボールとは?
視覚に障がいがある人のために考案されたゴールボールは、ボウリングとハンドボールを融合させた非常にユニークなチームスポーツ。トロント1976からパラリンピックのプログラムに加わり、男女それぞれで競技が実施されている。女子日本代表はロンドン2012で金メダルを手にしている。
各チーム3人がコートに立ち、相手チームのゴール目掛けてボールを転がして得点を狙い、一方のチームはゴール前で体を張って得点を防ぐ。前後半12分の合計24分の中で攻守を交互に繰り返し、得点を競う。選手たちはアイシェード(目隠し)を着用して試合に臨み、ボールの中に入った鈴の音や相手が動く音によってボールの位置を判断してゴールを防ぐ。このため、観客は静かに観戦することが求められる。
日本女子はアテネ2004で初めて出場して銅メダルを獲得。ロンドン2012では金メダル、東京2020では銅メダルに輝いた。男子は東京2020で初めて出場し、5位で戦いを終えた。
トルコに続き世界ランキング2位の日本代表「オリオンJAPAN」女子は、東京2020銅メダルメンバーの高橋利恵子、萩原紀佳のほか、ロンドン2012金メダルメンバーの小宮正江など6選手がパリに向かう。
一方、世界ランキング6位の日本男子は、キャプテンの金子和也を筆頭に、2大会連続出場の宮食行次、佐野優人、川嶋悠太などの6選手が戦いに挑む。
ゴールボール、パリ2024パラリンピック日本代表選手
男子
- 金子和也(かねこ・かずや/24)
- 佐野優人(さの・ゆうと/24)
- 田口侑治(たぐち・ゆうじ/33)
- 鳥居陽生(とりい・はるき/20)
- 萩原直輝(はぎわら・なおき/27)
- 宮食行次(みやじき・こうじ/29)
女子
- 安室早姫(あむろ・さき/31)
- 新井みなみ(あらい・みなみ/21)
- 小宮正江(こみや・まさえ/49)
- 高橋利恵子(たかはし・りえこ/26)
- 天摩由貴(てんま・ゆき/34)
- 萩原紀佳(はぎわら・のりか/23)
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