東京2020からパリ2024へ:阿部一二三、オリンピック王者だと証明するために

2021年の夏に世界を盛り上げた東京2020からまもなく1年。アスリートたちは次の目標へと進み、その先にパリ2024を見据えている。人々の心を熱くした東京でのパフォーマンスを振り返りつつ、選手らのパリへの歩みを辿ってみたい。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Abe hifumi
(2021 Getty Images)

激しい代表争いを制して東京2020の舞台に立ち、見事オリンピック金メダルを手にした柔道の**阿部一二三(ひふみ)。東京大会で阿部は、妹・阿部詩**(うた)と同じ日に金メダルを獲得し、きょうだい同日金メダル獲得としてオリンピックの歴史に名を刻んだのみならず、「最強のきょうだい」として人々の心を鷲掴みにした。

阿部一二三にとって、オリンピックで得た金メダルは自身の誇りとなり、さらなる高みへと推し進める力にもなっている。そんな阿部の東京2020を振り返ってみたい。

熱戦を制して掴んだ東京2020への切符

阿部は東京2020よりもはるか以前から金メダルへの厳しい道のりを歩んでいた。その最たるものが、66kg級世界王者の丸山城志郎との代表争いだ。

2019年から代表争いがヒートアップした男子66kg級では、2020年12月に阿部と丸山による異例の一騎討ちが実施され、およそ24分間におよんだ「死闘」の末に、阿部が東京2020への切符を掴んだ。

東京大会で阿部は、準決勝でブラジルの**ダニエル・カルグニンに完璧な背負い投げを決めて決勝進出。ジョージアのバジャ・マルグベラシビリ**と対戦した決勝では、中盤に差し掛かったところで、大外刈りで技ありとなりポイントを得ると、そのまま試合が終了。会場内では妹・詩が飛び跳ねて喜んだ一方、阿部の表情が崩れることはなかった。マルグベラシビリと抱き合った後に少しだけ表情をゆるめた阿部は、畳に一礼し、人差し指を天に突き上げて喜びを表現。そして畳を去る際に正座をして深々と頭をさげたのだった。

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パリ2024への道

柔道では、パリオリンピックの出場権獲得のためのポイント獲得期間が2022年6月24日~2024年6月23日と定められ、まもなく始まる。しかし畳の上では、その戦いはすでに始まっている。

今年4月に行われた全日本選抜体重別選手権の決勝で、阿部は再び丸山と対戦。阿部は東京オリンピック後初の大会となったこの体重別選手権で、延長戦の末に反則勝ちで丸山に勝利し、優勝。「オリンピックチャンピオンだと証明するために闘いました」と胸を張った。

ウズベキスタンのタシケントで10月に行われる世界選手権へは、阿部、丸山ともに日本代表として派遣される予定で、丸山にとっては3連覇がかかる戦いとなる。偉大なライバルたちの熱い戦いぶりに注目したい。

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