パラリンピズムを象徴する陸上競技4×100mユニバーサルリレー、日本代表チームの2大会連続メダル獲得に期待がかかる!パリ2024パラリンピック
東京2020パラリンピックで初めて実施された男女混合4×100mユニバーサルリレー。パラ陸上競技で唯一のリレーとなるこの種目は、パラリンピックの多様性の象徴である。障がいの異なる男女4人がトラックを100mずつ走り競い合う。
競技形式
4×100mユニバーサルリレーでは、第1走者の視覚障がいがある選手から始まり、次に切断・機能障がいがある第2走者へと続く。第3走者は、脳原性まひがある選手(立位)、そして最終走者は車いす選手が務めリレーを締めくくる。各チームは、男女2名ずつの混合メンバーで構成されるが、男女の走順はチームによって異なる。障がいの種類の違う男女をいかに組み合わせるかが勝敗のカギを握る。
4×100mユニバーサルリレーでは、バトンは使用せず身体のどこかに触れるタッチで次の走者につなぐ。次の走者にタッチするためのテイクオーバーゾーンは、第1走者から第3走者までは30m、第3走者から第4走者の車いす選手につなぐ区間は40mの長さが設けられている。第1走者の視覚障がいがある選手にガイドランナーがつく場合は、ガイドランナーが第2走者にタッチしてもよい。
陸上競技のクラス分け
クラス分けは、文字と数字によって表示される。「T」はトラックと跳躍種目、「F」はフィールド種目を示している。数字は障がいによって以下のように定められている。数字が小さいほど障がいの程度は重い。
- 11-13:視覚障がい
- 20:知的障がい
- 31-38:脳性まひなどによる協調運動障がい
- 40-47:低身長、上肢の切断およびそれに相当する障がい、下肢の切断(義足なし)およびそれに相当する障がい
- T51-54:車いす
- F51-58:投てき台
- 61-64:下肢の切断(義足あり)
クラス分けについて(公益財団法人日本パラスポーツ協会)
パリ2024パラリンピック・陸上競技混合4×100mユニバーサルリレー日本代表選手
東京2020のユニバーサルリレーで銅メダルを獲得したTEAM JAPANは、2023年7月に開催された世界パラ陸上競技選手権2023パリ大会において金メダルに輝いている。決勝では、1走に澤田優蘭(うらん/T12、ガイド塩川竜平)、2走に辻沙絵(さえ/T47)、3走に松本武尊(たける/T36)、4走に生馬知季(いこま・ともき/T54)が走り、見事なタッチをつないだ。2024年5月の同パリ大会では、日本記録を上回る47秒60をマークし、今大会でもメダル獲得に大きな期待がかかる。
- 澤田優蘭(さわだ・うらん)/視覚障がいT12/33歳/東京都北区
- 辻沙絵(つじ・さえ)/上肢障がいT47/29歳/神奈川県川崎市
- 松本武尊(まつもと・たける)/脳性まひT36・立位/23歳/東京都江戸川区
- 生馬知季(いこま・ともき)/車いすT54/32歳/岡山県岡山市
- 大島健吾(おおしま・けんご)/義足T64/24歳/愛知県瀬戸市
- 高松佑圭(たかまつ・ゆか)/脳性まひT38・立位/31歳/大阪府大阪市
ユニバーサルリレー初代王者、米国代表チーム
2021年9月、東京2020パラリンピックでデビューした混合4×100mユニバーサルリレーでは、45秒52の世界記録を樹立し、他を圧倒したアメリカ合衆国代表チームが初代チャンピオンの座についた。日本代表チームは、47秒98で銅メダルに輝いた。銀メダルは英国チームだった。果たして米国チームは、パリで連覇を果たすことができるだろうか。
どの国の代表チームが勝つにせよ、混合4×100mユニバーサルリレーは、パラリンピズムの4つの価値、勇気、強い意志、インスピレーション、公平を具現化するパラリンピックを象徴する種目であり、パラ陸上競技の中でもひと際注目される花形種目のひとつである。
ユニバーサルリレーを経験したフランス代表選手の声を聞いてみよう
ナンテニン・ケイタ/リオ2016女子400m視覚障がいT13金メダリスト
「2021年のヨーロッパ選手権でリレーを経験し銅メダルを獲得しました。私は、チーム種目が大好きです!だから、もちろん、また経験したいです!必要ならすぐにでもサインアップしますよ!」
マンディ・フランソワ=エリー/ロンドン2012女子100m脳性まひT37金メダリスト
「この経験を本当に楽しむことができました(ヨーロッパ選手権で2つのメダルを獲得)。3人のメンバーと完璧な調和を作り出すのは簡単ではないことを理解しなければなりませんが、何度も何度も練習しなければなりません。ユニバーサルリレーは特別なレースです。技術的にはリレーの引き継ぎが難しいですね。特に私のように腕に問題がある場合は、繰り返し練習することが必要です!この夏のパリで、ユニバーサルリレーに出場することについては、もちろん私はメンバー候補者のひとりです!」
アンジェリナ・ランザ/女子200mと走幅跳のT47ヨーロッパチャンピオン
「リレーの経験はすべて素晴らしかったです。このレースは2018年から始まったので、私たちにとっては全く新しい種目です。年間を通じてこのリレーにメンバー全員で取り組むのはちょっと難しさがともないます。なぜなら、メンバーそれぞれが個々の目標を持っているからです。実際、シーズン中に個人の目標とチームの目標を両立させるのは非常に特別なことです。私を含む他の選手は複数の大会や種目に出場しています。結局のところ、私たちはメンバー同士でなかなか会う機会がなく、どう取り組んでいけばいいのか確認する時間がほとんどありません。フランスチームの合宿は、チームでスキルを向上させる絶好の機会となりますが、そう頻繁に行われるものではありません。4つの異なる障がいがあるメンバーといっしょに取り組むこのリレーが、いかに難しいかを知ってほしいと思います」
パリ2024パラリンピック・陸上競技混合4×100mユニバーサルリレーの競技日程
以下、現地時間(日本は7時間進んでいる)。スケジュールは変更になる可能性もある。
9月6日(金)
- 12時54分~ 予選
- 21時00分~ 決勝