【競泳】世界水泳ブダペスト総括:水沼尚輝、花車優ら男子4選手がメダル獲得…女子は表彰台に届かず

6月25日までハンガリーで開催されたFINA第19回世界選手権大会水泳競技大会「世界水泳ブダペスト2022」の競泳。日本代表は水沼尚輝、花車優、本多灯、瀬戸大也がメダルを獲得。女子では大橋悠依らが決勝に進んだものの、表彰台には届かなかった。世界水泳ブダペスト2022の結果を振り返っていく。

文: マンティー・チダ
写真: Getty Images

FINA(世界水泳連盟)第19回世界選手権大会水泳競技大会「世界水泳ブダペスト2022」の競泳競技が6月25日で閉幕した。男子は100mバタフライで日本人初のメダリストとなった水沼尚輝をはじめ、銀メダル2個、銅メダル2個を獲得。女子はメダルに手が届かなかったものの、3つの個人種目で4選手が入賞を果たした。

■水沼尚輝が100mバタフライで日本人初のメダリストに

男子は2回目の出場となった水沼尚輝が、100mバタフライで怒涛の追い上げを見せて銀メダルを獲得。この種目では日本人初のメダリストとなった。

準決勝では驚異の泳ぎで50秒81をマークして、日本新記録を樹立。世界選手権では、この種目で日本勢11年ぶりのファイナリストになると、決勝では前半の50mを24秒00で折り返す。じりじり追い上げながら残り5m地点で2位に浮上。史上初の快挙を成し遂げた。

準決勝終了時点では「日本新記録を出して、こういう舞台で戦えることを証明したい」とコメントを残していた水沼。「ようやくこの舞台に立つことが出来て、すごく不思議な気持ちだが、僅差で2番というのは応援して頂いた皆さんのおかげ」と日本のファンに感謝した。「次は50秒3を見据えたい」と水沼は早くもアジア記録(50秒39)更新に意欲を示した。

■初代表の花車優が200m平泳ぎで決勝の緊張感と戦いながら銀メダル

男子200m平泳ぎは、初代表の花車優が冷静な試合運びで準決勝を突破すると、決勝では後方からレースを展開。150mのターンで4番手まで押し上げると、残り25mからのスパートで2位に入り、銀メダルを獲得した。

「自己ベストには及ばなかったものの、メダルが取れてほっとしている。粘り強くメダルを取れて、自分の強みが生きた」と振り返る。予選と準決勝では冷静なレースぶりだったにも関わらず、決勝では「緊張してしまった」と独特の雰囲気を感じていた。

平井伯昌コーチから、「最初の2かき、3かきは落ち着いていくこと。ザック・スタブルティ=クック(オーストラリア)と同じレースプランだったので、ザックにしっかりついて行くこと」を指示されていた花車。序盤から先攻争いを繰り広げた武良竜也も4位入賞と続いたことで、平泳ぎは世界と勝負できることを2人が証明してくれた。

■本多灯は200mバタフライ、瀬戸大也は200m個人メドレーで銅メダルを獲得

本多灯は男子400m個人メドレーと男子200mバタフライに出場。400m個人メドレーでは同年代のレオン・マルシャン(フランス)がマイケル・フェルプス氏(アメリカ合衆国)の世界記録に迫る4分4秒22を記録して金メダルを獲得した一方、本多は7位入賞という結果だった。

本多はマルシャンから8秒遅れてゴールをしていた。「同年代の選手がこんなに活躍していて、自分は端っこでこんな泳ぎなのは非常に悔しい。悔しい思いをするのはこの1回で十分」。400m個人メドレー決勝後、本多はこのようなコメントを残していた。

そして、本多が「メインレース」として挑んだ200mバタフライ決勝。この種目で金メダルを獲得したクリストフ・ミラク(ハンガリー)が、世界新記録ペースで序盤から快調に飛ばし、本多は最後方から追い上げを図る。150mのターンでメダル圏内まで押し上げると、最後まで3番手を死守してゴール。本多はこの大会で日本人のメダル第1号となった。

本多は「400m個人メドレーは傍観者になっている自分が悔しかった。世界選手権を振り返って、自分の立ち位置がわかった。今回の世界選手権では、ベストタイムを1回も出せていないので、これが世界なのかと実感した」。そして、「来年は日本開催なので意地を見せたい」とリベンジを宣言した。

Tokyo2020で不本意な成績に終わっていた瀬戸大也は、男子200m個人メドレーで銅メダルに輝き、世界選手権5大会連続のメダル獲得とした。400m個人メドレーでは6位に終わり、「うまく泳げなかった」と振り返っていた瀬戸。200m個人メドレー決勝では、前半から先攻争いを展開しながら粘りの泳ぎで前半を4番手で折り返すと、強化をしてきた平泳ぎで3位に浮上し、最後まで粘り3位を守った。

「ラストレースは納得できる形で日本に帰りたいと思っていた」と決勝のレース後にコメントした瀬戸。改めて口にしたのは「パリまで本気で頑張りたい」だった。「若い選手と一緒に切磋琢磨して高みを目指したい。ラップを見ても絶望的ではないので」と瀬戸は手応えを掴んだ。雪辱へのスタートを無事に切れたようだ。

■入江陵介はシーズンベスト更新で7位入賞、松元克央は決勝に残れず

7回目の世界選手権となった入江陵介は、男子100m背泳ぎ決勝でシーズンベストを更新するが、52秒83の7位で終わった。表彰台に上った3選手はいずれも51秒台だった。

金メダルを獲得したトマス・チェッコン(イタリア)が後半ペースを上げて51秒60の世界新記録をマークするなど、ハイレベルなレース展開。「シーズンベストを出したものの、この記録で喜んではいけない」と振り返る入江だが、「やるべきことはやった」と悔いはない。100m背泳ぎは、世界標準が51秒台後半となり、更なる進化を見せた泳ぎが求められる。

自由形に出場した松元克央は、100m、200mいずれも決勝に残ることができなかった。優勝タイムと100mでは1秒近く、200mでは3秒の開きがあり、自由形においては世界との差を改めて見せつけられた形だった。

■世界の壁に跳ね返された女子日本代表

女子は4選手が入賞を果たしたものの、メダル獲得には至らなかった。Tokyo2020で個人メドレー2冠の大橋悠依は、大会初日の女子200m個人メドレーで波に乗れず準決勝敗退。最終日の女子400m個人メドレーでは序盤から上位に喰らいついたものの、最後に失速して5位入賞で終えた。

オリンピックメダリストとして迎えた世界選手権は、大橋にとって大きなプレッシャーだったようで、「改めて難しいと思ったし、感じている以上に自分の中でプレッシャーがあって、それを処理しきれなかったのが、200mだった」と大橋は世界選手権を総括する。

400m個人メドレーの金メダリストである15歳のサマー・マッキントッシュ(カナダ)を筆頭に、若手の躍進が目立った今大会。様々な葛藤を感じながら「もう少し頑張れそうかな」と大橋は口にする。今後の巻き返しに期待したい。

「泳ぎ切れるのかも心配だった」と心境を明かしたのは谷川亜華葉。慣れない海外生活とも向き合いながら、400m個人メドレーで8位に入賞した。難しい状況でも決勝のレースを泳ぎ切れたことを、今後のいい経験としてほしい。

200m個人メドレーでは、大本里佳がメダルまであと一歩の4位入賞。「10秒台を切ればメダルがあるかもしれないと思っていた」と決勝のレースに臨んでいた大本は、今回の世界選手権で3レースともシーズンベストを更新。「納得いくレースができた。この経験を今後の人生に生かしたい」と視線はもう次へ向けられていた。

女子100m平泳ぎでは、日本記録保持者(1分5秒19)の青木玲緒樹が5位で決勝のレースを終了。スタートから2番手で追走し、50mのターンでは3位で折り返す。残り25mでは8選手が横一線となる大接戦も、タッチの差でメダルまで0.36秒足りず、1分6秒38だった。

「自己ベストに近いタイムであれば、メダルは取れていた。後半勝負のレースにしたかったが伸びなかった」と悔やんだ。ただ、メダルまであと一歩ということを実感することができた。来年の福岡での世界選手権でリベンジに燃えることだろう。

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