サーフィン・稲葉玲王「メダルを日本に持ち帰って恩返ししたい」パリ2024オリンピック日本代表
数々の名シーンが生まれ、観客を興奮の渦に包み、人々に多くの感動をもたらしてきたスポーツの祭典、オリンピック。中心にいるのは、この瞬間のために多くを捧げて自らのスキルを磨いてきたアスリートたちだ。
7月26日〜8月11日の日程で行われるパリ2024オリンピックでは、フランスの首都パリに世界のトップアスリートたちが集結し、それぞれ夢や目標のために全神経を傾けすべてをぶつける。金メダルを獲得するために、過去の自分を超えるために、いつも支えてくれる家族のために、この瞬間を仲間と共有するために…。
選手にとってその時が刻一刻と迫る今、Olympics.comでは日本を代表するトップアスリートの歩みをたどる。ここでは、オリンピック初出場、サーフィン男子日本代表の稲葉玲王(れお)を紹介しよう。
稲葉玲王「すごい波。命がけです」
プロサーファーである⽗親の影響で5歳からサーフィンを始めた稲葉玲王。東京2020オリンピックのサーフィン競技会場となった千葉県一宮町出身の稲葉は、13歳からプロサーファーとして活躍した。一宮町は、東京2020で5位入賞の大原洋人(ひろと)の出身地でもあり、同年の稲葉と大原はライバルとしてしのぎを削った。
稲葉は、2023年ワールドサーフィンゲームズ(WSG)エルサルバドル大会で8位、アジア勢2位となりパリ2024代表に内定した。2024年3月から6月にかけて、パリ2024の会場となるフランス領ポリネシア・タヒチ島チョープーで3回にわたりトレーニング合宿を実施。チョープーの美しいチューブに満面の笑顔で乗り、その様子を自身のSNSで伝えている。「こんな美しい場所でサーフィンをさせてくれる現地のみなさん、ありがとう!」という稲葉だが、初めてチョープーを訪れた15歳の時には1度も波に乗ることができなかったという。
自然の驚異と言えるチョープーの波では、トップサーファーにさえ立ち向かう勇気と覚悟が求められる。畏敬の念を抱かせるほど壮大なチューブとなる波に乗ることは、サーファーにとっての究極の夢でもある。稲葉は、「すごい波。命がけです。迫力がすごい。(チューブライディングを)決めた時には自然にガッツポーズが出る」と出演したテレビ番組でコメントした。また、6月24日に地元・一宮町で開かれた壮行会で稲葉は「(チューブに入った時の気持ちは)言葉では表せない。生きていていちばん気持ちいい瞬間」と話した。
パリ2024サーフィン競技では、稲葉は7月27日の第1ラウンド、第8ヒートから登場する。同ヒートでは、2024年ワールドサーフリーグ(WSL)ランキング10位、日本人の母を持つインドネシア代表の和井田理央(わいだ・りお)と、同21位のレオナルド・フィオラバンティ(イタリア)ら、東京2020に出場した2人と対戦する。
パリ2024日本代表「波乗りジャパン」の五十嵐カノア、コナー・オレアリーも出場するWSLチャンピオンシップツアーで戦うトップサーファーらを相手に、「生きていていちばん気持ちいい瞬間」となるライディングを見せればメダル獲得も不可能ではないだろう。壮行会では、「メダルを日本に持ち帰って、みなさんに結果で少しでも恩返しできればと思います」と意気込んだ。サーファーの誰もが大自然の力に対しリスペクトを示しつつ己の力を試す競技、サーフィン。稲葉は最高の波に乗ることを目指し大自然に挑戦する。
サーフィン日本代表、稲葉玲王の主な戦績
- 2023年7月 千葉一宮オープンQS3000 5位
- 2023年4月 第4回ジャパンオープンオブサーフィン(仙台) 優勝
- 2023年6月 ワールドサーフィンゲームズ・エルサルバドル大会8位(アジア2位)
- 2022年3月 アジアオープン2022 QS1000 優勝
- 2019年4月 千葉一宮オープン 3位
パリ2024オリンピック、男子サーフィン競技の試合日程
以下、現地時間(日本はタヒチより19時間進んでいる)。
※天候や海況等の影響により日程変更がある場合は予備日に行われる。
会場:タヒチ島チョープー
7月27日(1日目)
- 7:00~ 男子第1ラウンド
7月28日(2日目)
- 11:48~ 男子第2ラウンド
7月29日(3日目)
- 7:00~ 男子第3ラウンド
7月30日(4日目)
- 7:00~ 男子準々決勝
- 11:48~ 男子準決勝
- 14:12~ 男子3位決定戦
- 15:34~ 男子決勝戦
予備日:7月31日~8月4日
サーフィン・稲葉玲王
※年齢は2024年7月26日パリ2024オリンピック開会式当日を基準とした。