五十嵐カノアは第2ラウンドへ、稲葉玲王は第3ラウンド進出!/パリ2024サーフィン1日目

執筆者 Hirotaka Hikoi
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写真: 2024 Getty Images

7月27日から30日までの4日間にわたり、サーファーの聖地とも呼ばれる南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシアの島(フランスの海外準県)、タヒチ島チョープーを舞台に開催されるパリ2024オリンピックサーフィン競技。

東京2020でオリンピック種目に採用されて以来、2大会連続で実施されるサーフィン競技初日となった7月27日(現地時間)に、男女各24名のトップサーファーたちが出場した。

波乗りジャパンの稲葉玲王(れお)は、男子第1ラウンドをヒートトップで通過し第3ラウンド進出を決めた。東京2020銀メダリストの五十嵐カノア、初出場のコナー・オレアリー松田詩野(しの)は、それぞれが出場したヒートをトップ通過できず、第2ラウンド(敗者復活戦)に回り第3ラウンド進出を目指す。

第3ラウンド進出を決めた男子選手は、稲葉に加え、イーサン・ユーイング(オーストラリア)、ジョアン・ドゥル(フランス)、アロンソ・コレア(ペルー)、ガブリエウ・メジナ(ブラジル)、ジョアン・チアンカ(同)、ジョン・ジョン・フローレンス(アメリカ合衆国)、グリフィン・コラピント(同)の8人。女子は、キャロライン・マークス(アメリカ合衆国)、ヴァヒネ・フィエロ(フランス)、タイラー・ライト(オーストラリア)、ケイトリン・シマーズ(アメリカ合衆国)、ブリサ・ヘネシー(コスタリカ)、ルアナ・シルバ(ブラジル)、ナディア・エロスターベ(スペイン)、カリッサ・ムーア(アメリカ合衆国)の8人の選手だった。

ここでは、波乗りジャパン4選手の第1ラウンドの戦いをまとめた。

写真: International Surfing Association

五十嵐カノアは3位通過で第2ラウンドへ/男子第1ラウンド第3ヒート

現地時間7月27日午前7時から始まった男子第1ラウンドでは、第3ヒートに「波乗りジャパン」の先陣を切って前回大会銀メダリストの五十嵐カノアが登場。サーフィンのプロツアー、ワールドサーフリーグ(WSL)で2年連続でファイナルを制しているフィリペ・トレド(ブラジル)、2024年ワールドサーフィンゲームズ(WSG)プエルトリコ大会5位のアロンソ・コレア(ペルー)と同組でバトルを繰り広げた。五十嵐は、30分のヒートの中で1本しか波を捉えることができず、3位(スコア4.17)でこのヒートを終え第2ラウンド(敗者復活戦)に進むことになった。

トップは、難しいテイクオフを成功させバレルライドを決めたコレア。このヒートで最高点となる8.50をマークし合計スコア14.33で第3ラウンド進出を決めている。

写真: International Surfing Association

コナー・オレアリーは2位通過で第2ラウンドへ/男子第1ラウンド第4ヒート

続く第4ヒートでは、コナー・オレアリーが、2024年WSG優勝、東京2020オリンピック4位のガブリエウ・メジナ(ブラジル)らと競い合った。セットで入ってくる波の数が少なく、どの選手もなかなか確実な波に乗れない状態が続いたが、メジナが4本目、5本目でハイスコアを重ねた。オレアリーは残り10分を切ったところでようやく2本目となる波を捉え、さらに3本目でスコアを上げたものの及ばす2位でこのヒートを終えた。

メジナが合計スコア13.50でトップ通過。合計スコア9.93のオレアリーは2位通過で第2ラウンドに回ることになった。

稲葉玲王は予選ヒートをトップで通過し第3ラウンド進出を決めた (Photo by Ben Thouard - Pool/Getty Images)

写真: AFP or licensors

稲葉玲王、トップ通過で第3ラウンドへ/男子第1ラウンド第8ヒート

第8ヒートには、オリンピック初出場の稲葉玲王が登場。2024年WSLランキング10位、日本人の母を持つインドネシア代表の和井田理央(わいだ・りお)と、レオナルド・フィオラバンティ(イタリア)ら東京2020出場の2人と対戦した。比較的小さめの波が多いものの、このヒートで最初に波をつかんだのはフィオラバンティ。しかし、その直後、ヘルメットをかぶったグーフィ―フッターの稲葉がバレルをメイク。笑顔でバレルを無事に抜けてこのヒートでトップとなるスコア(7.33)を叩き出した。

和井田、フィオラバンティらがなかなか波に乗れない中、稲葉は2本目も短いバレルを決めてスコアを重ね合計12.76でこのヒートをトップで通過。30分のヒート終了のホーンが鳴り響くと、稲葉は笑顔で戦いを終えた。

松田詩野/7月27日、パリ2024オリンピック第1ラウンド

写真: International Surfing Association

松田詩野、2位通過で第2ラウンドへ/女子第1ラウンド第8ヒート

男子予選ラウンドの後、現地時間午後12時ごろから女子第1ラウンドが行われた。同午後4時に始まったこの日の最終となる第8ヒートで、松田詩野が5度のWSLチャンピオン、東京2020金メダリストのカリッサ・ムーア(アメリカ合衆国)、テレサ・ボンバロ(ポルトガル)らとバトルを繰り広げた。

オープニングウェーブは松田。そして2本目にバレルライドを決め8.33のハイスコアを叩き出した。波のリップに覆われたその先にあるバレルの出口に姿を現した松田は笑顔で小さくガッツポーズ。他の2選手がスコアを上げられない中、残り時間10分を切り、スコアをさらに重ねた松田はこのままトップで逃げ切るかのように思われた。

しかし、波を選び待ち続けたオリンピック王者のムーアは、残り時間5分あまりのところで、待ちに待ったバレルを決め9.00のハイスコアを挙げて、3位から一気に首位に立ち、王者の貫禄を見せた。さらにその直後にもスコアを重ね合計スコア16.50でこのヒートをトップ通過した。

初めてのオリンピックに果敢に挑んだ松田は、合計スコア11.16で2位となったものの、バレルを乗り切りガッツポーズを見せるほどの経験は第2ラウンドで必ず生かされるに違いない。

パリ2024サーフィン競技の日程

以下、現地時間。日本はタヒチより19時間進んでいる。

※天候や海況等の影響により日程変更がある場合は予備日に行われる。

7月27日(1日目)

  • 7:00~ 男子第1ラウンド
  • 11:48~ 女子第1ラウンド

7月28日(2日目)

  • 7:00~ 女子第2ラウンド
  • 11:48~ 男子第2ラウンド

7月29日(3日目)

  • 7:00~ 男子第3ラウンド
  • 11:48~ 女子第3ラウンド

7月30日(4日目)

  • 7:00~ 男子準々決勝
  • 9:24~ 女子準々決勝
  • 11:48~ 男子準決勝
  • 13:00~ 女子準決勝
  • 14:12~ 男子3位決定戦
  • 14:53~ 女子3位決定戦
  • 15:34~ 男子決勝戦
  • 16:15~ 女子決勝戦

予備日:7月31日~8月4日

パリ2024サーフィンの競技形式

サーフィン競技では、選手は波に乗りながらトリック(技)やマニューバー(技の組み立て)を行い、5人のジャッジが、それらの多様さ、タイプ、難度に基づき採点を行う。選手のスピード、パワー、フロー(ひとつの波から次の波へと流れるように動きをつなぐこと)も審査の対象だ。パリ2024ではショートボードが使用されるが、このタイプのボードはスピードが速くて、よりテクニカルな動きを行いやすいため、豪快で壮観なトリックを演出するのには最適である。

男女各24名の選手は、15~45分間のヒートを競い合う。各ヒートでは何度も波に乗ることができるが、最もよい2つのスコアの合計で勝敗が決まる。競技はラウンド1、2、3、準々決勝、準決勝、決勝の6つのラウンドで行われる。

第1ラウンドは、それぞれ3人のサーファーが競い合う8つのヒートからなり、各ヒートの勝者1人は第3ラウンドに進む。残った2人は第2ラウンドを行う。第2ラウンドでは、第1ラウンドの敗者16人が2人ずつ8つのヒートに分かれて競い、ここでの勝者は第3ラウンドに進むことができる。敗者はここで競技終了となる。

第1ラウンドの勝者8人と第2ラウンドの勝者8人、合計16人が第3ラウンドに進むが、ここからは1対1のトーナメント形式の対戦となる。勝者は準決勝、決勝へと進むことができる。準決勝の敗者2人は3位決定戦を行う。